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コラム

コラム:FEDウォッチャーが見逃さなかった米SLR、日本株上昇のカギに

[東京 18日 ロイター] - 日本株の上昇幅を左右する要因として、米国で実施されている大手銀を対象にした補完的レバレッジ比率(SLR)の規制緩和が継続されるかどうかに大きな関心が集まっている。延長が決まれば日経平均が大幅に上昇するとの声が浮上しているが、実体経済とのギャップは一段と拡大しかねない。

 3月18日日本株の上昇幅を左右する要因として、米国で実施されている大手銀を対象にした補完的レバレッジ比率(SLR)の規制緩和が継続されるかどうかに大きな関心が集まっている。延長が決まれば日経平均が大幅に上昇するとの声が浮上しているが、実体経済とのギャップは一段と拡大しかねない。写真は米連邦準備理事会、2020年5月にワシントンで撮影(2021年 ロイター/Kevin Lamarque)

そこで、この先予想される日本の追加経済対策について、自動車の電気自動車(EV)化やデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める設備投資に対して減税する方針を打ち出すべきだと提案したい。政府にはこの投資減税案を盛り込んでほしい。

<SLRに言及したパウエル議長>

18日の日経平均は一時前日比500円超上昇し、3万円台を回復した。連邦公開市場委員会(FOMC)を開いた米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が、2023年までのゼロ金利維持を明確にし、国債などの購入額減額もしばらく行わないスタンスも提示。市場の安心感を誘った。

ただ、市場の注目点はそこだけではなかった。今年3月末で有効期限が来るSLRの緩和措置について、近く新たな情報を発表するとパウエル議長が会見で述べたことを、FRBの動きをつぶさに観察するFEDウオッチャーは見逃さなかった。

SLRは2008年のリーマ・ンショック後に導入された自己資本規制の1つ。分母は国債を含む有価証券保有額やデリバティブ取引などのエクスポージャー額などで算出。分子を中核的自己資本として算出する。新型コロナウイルスの感染拡大で経済が冷え込んだ対策の一環として、FRBは昨年4月、銀行が保有する米国債やFRBに預ける準備預金を分母の算定から外す緩和策を決定。今年3月末までの時限措置とした。

この結果、米銀は米国債を購入しやすくなっていたが、3月末に有効期限が切れると米国債売却に米銀が走り、米長期金利が急上昇するのではないかとの懸念も広がっていた。もし、この緩和措置が延長されれば、米長期金利の上昇圧力が緩和され、米株上昇の勢いが増し、今回のパウエル議長の発言も相まって、米株上昇の幅と期間の両方とも拡張されるとの観測が台頭している。

<日本株にも上昇加速期待>

米株上昇の勢いが持続すれば、米系投資家のリスク許容量が増大し、日本株への投資も増えそうだとの観測が、東京市場でもジワジワと広がっている。海外勢の比重が大きい東京株式市場では、慎重な国内投資家を尻目に海外勢の買いで勢いが付き、国内勢が追随するパターンが何回も繰り返された。

今回も、SLRという米国の規制が材料であることもあり、国内勢が米系投資家の動きをじっと見守っているとの声も聞かれる。SLR緩和措置の延長が決まれば、日経平均が3万3000円台に乗せるという予想が早くも一分でささやかれている。

<EV・DX投資に減税必要>

一方、実体経済はコロナ禍の影響を受け、サービス分野を中心に落ち込んでいる業種が目立ち、日本の今年1─3月期の国内総生産(GDP)は前期比マイナスの公算が大きい。株価とのギャップは開く一方だ。ギャップが拡大し続ければ、株価急落のトリガーを引きやすくなり、それが企業と個人の心理を冷やし、景気後退に陥る可能性を高める。

また、日本では今年、どんなに遅くとも10月中には衆院選が行われる。景気の冷え込みは与党に不利となるため、2021年度予算案が3月末までに成立すれば、4月以降に追加の経済対策を求める声が与党から湧き起こり、政府が本格的に検討を始めるのもそう遠くないだろう。

その際に、さまざまな景気対策の要望が出てくるだろうが、中長期的な視点に立てば、日本経済の潜在成長率を高める政策の優先順位を一段と高めるべきだ。筆者から見て最も政府が力点を置くべきところは、自動車のEV化に向けた積極投資だ。先行指標である機械受注の動向をみても、ガソリンエンジンの製造に関連した受注は減少しているが、EV化に不可欠な電池や半導体などへの投資は、まだ、大規模には展開されていない。企業の重い腰を持ち上げるためにも、EV関連に「投資減税」を行うことが急がれる。

同様にリモートワークもままならない中小企業も含めたDX投資への思い切った減税も果敢に打ち出すべきだ。リモートワークの長期化に伴って、自宅を改装するサラリーマンや自営業の人々にも、改装を促す支援策を展開するべきではないか。

一律の給付金に対する政府・与党内での批判があるなら、政策効果を勘案した「工夫」が、まさに今の段階で求められていると指摘したい。

●背景となるニュース

・UPDATE 2-米FRB、景気見通し引き上げ ゼロ金利と量的緩和は維持

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編集:久保信博

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