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コラム

コラム:政局・五輪・国内景気、コロナ感染が握る日本の行方

[東京 9日 ロイター] - 政府は新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、12日から東京都などにまん延防止等重点措置を発令するが、果たして感染が沈静化するのか予断を許さない。もし、感染速度が加速し、3度目の緊急事態宣言発令に直面すれば、菅義偉首相が慎重に見極めようとしている衆院解散・総選挙の時期に大きな影響を与える。また、7月に開幕予定の東京五輪にも支障が出かねない。

 4月9日、政府は新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、12日から東京都などにまん延防止等重点措置を発令するが、果たして感染が沈静化するのか予断を許さない。写真は3月、福島県で行われた聖火リレーの式典で代表撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

何よりも感染拡大に歯止めがかからなければ、行動制限の長期化による消費を中心とした国内経済への打撃が大きくなり、今年1─3月期に続き4─6月期の国内総生産(GDP)がマイナス成長になるリスクがある。秋までに必ず総選挙があることを踏まえると、4月末からの連休中の感染者数の動向によっては、大型経済対策の検討に入る可能性もあるだろう。

<感染の勢い次第で変わる首相の解散シナリオ>

首都圏の緊急事態宣言が解除されたのは3月21日だった。それから約3週間で東京都にまん延防止等重点措置を発令することになった政府には、「計算違い」と映ったのではないか。

一時は、訪米で菅義偉首相への期待感が高まり、4月解散の声も与党内にはあったようだが、今は下火になっている。コロナ感染者の急増で投票所がクラスターになる危険性がある状況では、衆院選の実施は難しいからだ。

そこで、うわさされているのが、菅内閣の目玉であるデジタル庁の創設などを含む「デジタル改革法案」が成立しsた後の解散シナリオ。大型連休明けの5月上旬には参院で可決・成立する公算が大きく、その直後の5月解散・6月総選挙という日程だ。

しかし、5月11日までの東京都などへの重点措置発令が終了できる程度にコロナ感染が抑制できていればよいが、逆に感染が猛威をふるって緊急事態宣言に移行するような展開なら、5月解散も消滅することになる。

7月4日に投開票の東京都議選との同日選を狙って、6月解散・7月総選挙の可能性を指摘する声も永田町にはある。ただ、連立与党の公明党は都議選を重視しており、選挙運動が分散されやすい同日選には難色を示している。公明党幹部は繰り返し同日選に反対する意向を示しており、実行に移すハードルは高い。

7月23日に開会式の東京五輪をはさんで9月に解散するとの選択肢もあるが、10月21日に衆院議員の任期満了を迎え、「追い込まれ解散」のイメージが浮上すると与党に不利との観測もある。

さらに菅首相の自民党総裁の任期が9月30日で満了し、9月中の総裁選が予想されている。そこまでに解散がなければ、自民党内に菅首相とは別の総裁で衆院選を戦いたいの機運が生まれる可能性もあり、総裁選の行方は混とんとしかねない。

コロナ感染が抑制できない場合、政局の不透明感は日を追うごとに深まると予想される。

<三木谷氏、五輪開催に反対のツイート>

コロナの影響を考えると、東京五輪への波及の可能性も無視できない。すでにまん延防止等重点措置が発令されている大阪府では、公道での聖火リレー中止を決定。北朝鮮は不参加を表明した。

また、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は7日に自身のツイッターで、東京オリンピック・パラリンピックの開催について「僕ははっきり今年の五輪開催はあまりに、リスクが高過ぎると思っており、反対です」と述べていた。菅首相との距離が近い三木谷氏の発言は、菅首相が世論の動向を計る上で影響を与える可能性があるだろう。

実際、東京都などでの感染が収まらず、5月12日以降に3度目の緊急事態宣言発令となれば、その時に世論全体が開催に賛成なのか、反対なのかによって政府や東京都の判断の方向性は大きく左右されるだろう。

<感染拡大は4─6月期マイナス成長への道>

そして、コロナの感染状況は国内景気が拡大するのか後退するのかを決めかねない決定的な影響力を持っていると言っていい。

まん延防止等重点措置が効果を発揮すれば、落ち込んでいた国内消費が持ち直し、回復軌道に乗る輸出産業の好調さと相まって、4─6月期は1─3月期のマイナス成長からプラス成長に転じることが可能になる。

しかし、感染拡大に歯止めがかからず、緊急事態宣言まで行ってしまえば、旅行、飲食、交通関連などは軒並み大幅な減収となり、連鎖的な経営破綻を生みかねない「負の力」が働くだろう。内需の前期マイナス幅が大きくなり、外需のプラスを飲み込んで2期連続のマイナス成長に転落するリスクが高まる。欧米流の景気判断なら「景気後退」となり、メディアでは「二番底」という経済用語が何度も使用されると予想する。

<衆院選と経済対策>

政局のところでも言及したように、今年は必ず衆院選があり、政府・与党が景気後退リスクを見逃すことはない。コロナの感染増加が継続するようなら大型連休明けにも、大型経済対策の策定に入る可能性がある。経済の落ち込み方によっては、10兆円を超える「真水」の投入もあるのではないか。

しかし、コロナ感染が抑制されれば、行動規制で溜まっていた個人の預貯金の一部が消費に回って「最悪シナリオ」とは別世界の消費が支える国内景気になっている可能性もある。

どちらに転ぶかは、コロナ次第という構図が鮮明になっている。

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編集:久保信博

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