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コラム

コラム:日本株に試練の秋、世界経済変動にコロナ・政局の重圧

[東京 20日 ロイター] - 新型コロナウイルスのデルタ株拡大や米連邦準備理事会(FRB)のテーパリング(段階的な債券購入の削減)、中国経済の減速機運など2021年9月以降の世界経済は「新たな均衡点」を模索する展開になりそうだ。さらに日本では収束のメドが立たないコロナ感染と自民党総裁選・衆院選という政局問題がのしかかる。秋以降、日本株にとっては試練の連続となる展開が待ち受けていそうだ。

新型コロナのデルタ株拡大やFRBのテーパリング、中国経済の減速機運など2021年9月以降の世界経済は「新たな均衡点」を模索する展開になりそうだ。さらに日本では収束のメドが立たないコロナ感染と自民党総裁選・衆院選という政局問題がのしかかる。写真は株価ボードを見る人。都内で2015年8月撮影(2021年 ロイター/Thomas Peter)

FRBが18日に公表した7月27─28日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、テーパリングに着手する際の雇用面での条件について、現時点では達成されていないものの、大部分の参加者が「経済は各目標に向けて進展し続ける」と想定。「年内に達成される可能性がある」としたことが明らかになった。

市場関係者の多数派は、9月にテーパリング計画の概要を公表し、早ければ11月から実施するとの見方に傾いている。これまでマーケットでは、テーパリングの実施事態は織り込まれているので米株市場は影響を受けないとの声が多かった。

しかし、FOMCを受けた18日のダウは前日比382ドル安となり、翌19日にもダウは66ドル安と続落した。中銀の債券購入に関する実体経済への効果はないという見方が根強くあるものの、市場関係者の中には「マネー膨張が株高のエンジン」という声が多い。

そのマネー供給が、いよいよ絞り込まれるということが具体的な日付を伴って決まることになれば「最高値更新を続けてきたダウやナスダックが、それまでと同じようには上がらなくなるのは、当然の帰結ではないか」(国内証券関係者)との声が力をもつことになるだろう。米株だけでなく、欧州や日本の株価も「天井」が下がってくる展開が現実味を帯びると予想する。

また、デルタ株の拡大が米欧で目立ち始め、米ゴールドマン・サックスは米経済の第3・四半期成長率見通しを9%から5.5%に下方修正した。欧州でも感染者数が増加に転じる傾向を見せており、回復基調の「減速」が今後、さらに鮮明になる可能性がある。

さらに中国でも、足元の景気拡大テンポが弱まっていることが明らかになってきた。中国国家統計局が16日発表した7月の鉱工業生産は前年同月比6.4%増と、6月の8.3%増から伸びが鈍化。ロイターがまとめたアナリスト予想(7.8%増)も下回った。7月の小売売上高は前年比8.5%増。市場予想の11.5%増を下回り、6月の12.1%増から伸びが大幅に鈍化した。

輸出減速や新型コロナウイルスの国内感染拡大、洪水などの打撃を受け、景気下振れ圧力が強まりそうだ。中国の国内総生産(GDP)は、2021年第1四半期に前年比18.3%増となった後、第2四半期に同7.9%増と減速したが、第3四半期はさらに減速しそうな情勢だ。

このような情勢の下で、9月以降の世界経済の展開は、これまでのようなV字回復ではなく、V字とL字の中間のような緩やかな回復になってしまうのではないか。最も影響を受けるのは株価であり、上値が右肩下がりに傾斜してしまうリスクが高まりそうだ。

米長期金利も利上げ局面がはっきりするまで、大きく上がらないだろう。欧州や日本の長期金利はその影響を受けるに違いない。世界のマーケットは「新たな均衡点」を探ることになる。

<感染の出口見えず、政局も重し>

一方、日本ではさらに1)デルタ株の感染拡大ピークが見えない、2)菅義偉首相の自民党総裁選の再選が不透明で、衆院選の結果も見通せない──という2つの大きな「重し」が存在感を増してきた。

日本国内の感染症の専門家は、感染拡大がピークアウトする時期について明言することを避けている。9月12日までの東京都などへの緊急事態宣言の発令が延長される可能性もあり、一般国民からすれば「出口のめども立たない」というのが実情だ。

これでは、秋から冬にかけても宿泊を伴った旅行やレジャー、コンサートやスポーツ観戦などのサービス支出は、2018年から19年にかけての水準を取り戻すことは難しい。G7(主要7カ国)の中で、経済的規制の解除ペースが最も緩慢であり、4─6月期の国内総生産(GDP)成長率も大きく米欧から引き離されている。

さらに22日に投開票の横浜市長選で、菅首相が強く推している小此木八郎候補(前国家公安委員長)が仮に敗れる事態になれば、自民党内で菅首相の総裁再選に「異を唱える」声が増大し、総裁選前の衆院選実施をメインシナリオとする「菅戦略」に大きな影響が出かねない。

他方、株式市場を中心に東京市場の大方の参加者のメインシナリオは「菅再選─衆院選での与党勝利」と言われている。このシナリオにひびが入るような事態になった場合、日経平均の下落要因になるのは必至だろう。

東京市場にとって、秋の相場は「風雲急を告げる」ような展開になる可能性が出てきた。

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