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コラム

コラム:高止まる国内企業物価、波乱の芽 日銀新体制にも試練

[東京 10日 ロイター] - 1月の国内企業物価指数は前年比9.5%上昇と高止まりした。輸入物価の上昇率が減速しているため、一部のエコノミストは企業物価の上昇はピークを付けたとの見方をしていたが、どうやら様子が違うようだ。消費者物価指数(CPI)上昇の圧力は、今後1年間持続すると筆者は予想する。

 1月の国内企業物価指数は前年比9.5%上昇と高止まりした。輸入物価の上昇率が減速しているため、一部のエコノミストは企業物価の上昇はピークを付けたとの見方をしていたが、どうやら様子が違うようだ。写真は都内のオフィスビル。2015年7月撮影(2023年 ロイター/Toru Hanai)

CPI押し上げ要因では、宅配料金の引き上げによって、ネットで購入した商品の送料無料サービスの減少や送料の引き上げも予想され、サービス価格の上昇が本格化する。そこに政府主導の中小企業の価格転嫁促進や、春闘における大幅賃上げも加わると、2023年度のCPI上昇率を1.6%と予想している日銀の見通し引き上げの可能性が高まりそうだ。そのことは新体制の下での日銀の金融政策にも影響すると予想する。

<国内企業物価の上昇が鈍化しない理由>

1月企業物価指数で特徴的だったのは、輸入物価指数(円ベース)が前月比3.9%下落し、前年比も17.8%上昇と前月の同22.2%上昇から減速していたにもかかわらず、国内企業物価指数が前月比0.0%、前年比9.5%と高止まりしたことだ。

その要因として、1)過去の原材料価格上昇分を製品価格上昇に転嫁し切れていない、2)製品値上げへの抵抗感が大幅に低下した──などがありそうだ。

輸入物価指数の減速が国内企業物価指数に本格的に波及するには、相当のタイムラグがある。筆者は国内企業物価の高止まりが半年程度は継続するのではないかとみている。

その結果、CPI押し上げの圧力は今後、相当の期間にわたって継続しそうだ。

帝国データバンクによると、2023年の食品の値上げは4月までに1万品目を超え、前年を大幅に上回るペースとなっている。さらに春から夏にかけて、毎月2000品目から3000品目の値上げが常態化する可能性があるとみている。

米国ではCPI上昇率の鈍化がここにきて鮮明となっているが、「周回遅れ」の日本の物価上昇率が直ちに鈍くなる可能性は低い。今後、1年間は日銀の物価目標の2%を相当程度上待って推移するだろう。

<宅配値上げとCPIの行方>

さらにCPIをめぐる情勢に変化が起きている。ヤマト運輸は個人利用の宅配便運賃を4月3日から約10%値上げすることを発表。佐川急便も4月1日から約8%値上げする。

法人向けの宅配便運賃も値上げされる方向とみられ、ネットを利用したモノの購入コスト全般を押し上げる要因になる。「送料無料」のサービスはいずれ姿を消し、送料の引き上げも今後、目立って来るのではないか。

ネットを利用した電子商取引(EC)の増加によって、送料の引き上げが物価全体に占めるウエートは上がってきており、サービス価格上昇の中心的な存在になる可能性がある。

一方、中小企業の価格転嫁について実態調査を実施した経産省は、価格転嫁に消極的な企業の実名公表に踏み切った。こうした政府主導の中小企業による価格転嫁促進の動きは、横並び意識の強い日本企業の間で威力を発揮するだろう。

その結果、価格を押し上げる効果は政府・日銀の想定を超えて大きくなる可能性がある。

<注目される日銀の物価判断>

ここまでに挙げてきた点は、過去30年間にわたって続いてきた現象とは、不連続な動きであり、「凍結」されてきた物価が連続的に上がり出す予兆と言えるかもしれない。

日銀は1月の展望リポートで23年度のCPI上昇率の見通しを1.6%とした。2%に満たないので大規模緩和を継続していると説明してきている。このまま物価上昇の流れが継続すると、4月の段階で物価見通しを引き上げる可能性が出てくるだろう。

もし、2%を超える物価上昇率が23年度だけでなく、24年度も見通せるかもしれないとなった場合、金融緩和政策と物価目標の関係について、日銀は新たな論理を構築する必要性に直面するかもしれない。

そのような展開の実現可能性が従来よりも高まるのではないか、と思わせるような1月国内企業物価指数の結果だったと筆者の目には映る。

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