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コラム:マクロン仏大統領、成功の「秘訣」は
2017年6月26日 / 23:32 / 5ヶ月前

コラム:マクロン仏大統領、成功の「秘訣」は

[23日 ロイター] - フランスの新大統領エマニュエル・マクロン氏の「成功の秘訣」が、少しずつ明らかになりつつある。マクロン大統領は、1年もたたないうちに元大臣から国家元首へ、新米政治家から第1党のリーダーへと上り詰めた、そのスピードと勢いによって欧州を驚嘆させている。

 6月23日、フランスの新大統領エマニュエル・マクロン氏(写真)の「成功の秘訣」が、少しずつ明らかになりつつある。ブリュッセルで22日撮影(2017年 ロイター/Gonzalo Fuentes)

マクロン氏はまた、自身の魅力や討論での鋭さ、そして左派や今では右派からもアイデアや政策を自身のそれに取り入れるなど、イデオロギー面での創造力によって、世界をも驚かせている。

マクロン氏をそこまでに至らせたのは冷酷さである。同氏は今月、閣僚4人を辞任させた。そのうち3人は協力関係にある中道政党「民主運動」出身であり、もう1人は同氏の政党「共和国前進」設立に大きな役割を担った人物である。

疑わしきは罰せず、という話は出てこない。彼ら全員が(比較的軽度な)汚職の調査を受けている。まだ予備調査の段階だが、そのような疑惑は彼らを追いやるには十分だった。

フランスのメディアは21日、マクロン氏が閣僚を厳しく管理しているという内容の匿名コメントを数多く報じ、同氏が非情であるとの印象を高めた。「彼らが統治するのをやめさせる並外れたエゴ」と、ある匿名の党関係者は語った。

マクロン大統領には、非情さと管理能力の両方が必要だろう。同氏は現在、経済や地位、そして楽観主義の後退が見られるフランスにおいて、歴代の前任者たちが失敗してきた、2重の任務に取り組んでいる。

その任務とは第1に、フランスを復活させることだ。そして第2に、欧州連合(EU)の再生において、ドイツと対等なパートナーとなるべくフランスを再建することだ。

マクロン氏は、まずフランスの復活に取りかかっている。大統領選と下院選での圧勝は見事であったが、マクロン氏は6月の下院選における投票率の記録的な低さに不安を覚えることになるだろう。また、中道路線とは、左派と右派の両方を敵に回すということを思い知らされるだろう。

マクロン氏はすでに、解雇を容易にして、雇用を増やすという労働市場の柔軟性向上について、さまざまな労働組合と協議を行いたい意向を明確に示している。

だがそうすることによって同氏は、あるコメンテーターいわく、長いあいだ変化を拒んできた組合との「あらゆる闘いの根源」に直面することになる。それは、異なる経験と反射の衝突を生み出すだろう。マクロン氏が若く、エリート街道を走ってきた一方、組合は雇用保障と賃金上昇を交渉のすべてとする産業化時代の産物である。

 6月23日、フランスの新大統領エマニュエル・マクロン氏(写真)の「成功の秘訣」が、少しずつ明らかになりつつある。パリで撮影(2017年 ロイター/Charles Platiau)

EUはさらに大きな課題である。その理由の一部として、マクロン氏が自国ほどEUをコントロールできないことが挙げられる。EUのリーダーだと誰もが認めるが孤独なドイツのメルケル首相は、マクロン氏の当選によって安堵したのは明らかだ。マクロン氏が5月に勝利した直後、メルケル首相は同氏について、「大勢のフランス国民だけでなく、ドイツの、ひいては欧州全体における非常に多くの人々の期待を背負っている」と語った。

しかしメルケル首相は9月24日のドイツ連邦議会選で厳しい闘いに直面するとみられており、有権者離れを防ぐためマクロン氏への対応を慎重に見極めなくてはならない。「ドイツの支持がフランスの政策決定に取って代わることはない」と、メルケル首相はマクロン氏を熱く歓迎した後、平然とこう述べた。「優先事項として、私たち自身の政策を変更すべき理由が私には分からない」と。

ドイツが主張する財政ルールや、フランスと他の「地中海クラブ」諸国が債務の積み増しをやめなくてはならないとするドイツ政府の態度を緩和することを、メルケル首相は考えてもいないと言っているのだ。

次に、ギリシャの後を継ぎ、欧州が抱える懸念の中心となっているイタリアの存在だ。ユーロ圏で第3位の経済大国であるイタリアの今年の成長率見通し1%というのは、欧州で最も緩やかに成長している国々よりも劣っており、危険なほど債務を抱えるイタリアの経済と銀行セクターの役にほとんど立っていない。

イタリアでは反EU気運が高まっている。同国でも来年初め、もしかしたら年内にも総選挙が実施される可能性がある。最近行われた市町村の首長を選ぶ地方選では、EU懐疑派の反体制政党「五つ星運動」は大敗を喫したが、各種の全国調査では依然として首位に立っている。

決して無視できないベルルスコーニ元首相は自身が率いる中道右派政党「フォルツァ・イタリア」を再結成する一方、同じく右派の「イタリアの同胞」など右派政党すべてがEUへの不信感を表明しており、彼らが結託して中道左派与党の民主党をつぶしにかかる可能性がある。

政治的に混乱し病んでいるイタリアは、EU改革に大きな危機をもたらす。ギリシャとは異なり、イタリア経済は債務不履行(デフォルト)から救済するにはあまりに大き過ぎるからだ。

マクロン氏は、もしEUの屋台骨をメルケル氏と共に担っていくつもりなら、難航する英国のEU離脱交渉や、移民政策などのEU政策に対するポーランド、ハンガリー、スロバキアといった中欧加盟国の反発に加え、こうした問題を乗り越えていかなくてはならない。

マクロン氏には追い風が吹いている。だが、逆風も同様に強力だろう。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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