December 22, 2017 / 2:36 AM / 25 days ago

コラム:次の相場暴落につながりかねない「5つの要素」

Richard Beales

[ロンドン 20日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 金融市場で何が次の相場暴落を引き起こすだろうか。暴落が発生するには1つのきっかけが、またそれが続くには別の要素が必要になる。BREAKINGVIEWSは、いくつかの注目すべき要素を点検してみた。その概要は以下の通り。

<中銀のサプライズ>

米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長やイングランド銀行(英中央銀行、BOE)のカーニー総裁は、投資家への不意打ちを避ける努力を積み重ねてきた。しかし来年中央銀行がそれをやり遂げるのは今までより難しくなりそうだ。

FRBの場合、イエレン氏は間もなく退任し、パウエル理事が議長に就任する。パウエル氏の手腕が未知数である上に、同氏とその他の理事は結局、市場の想定よりも急速なペースで政策変更しなければならなくなるかもしれない。

カーニー氏は英消費者物価指数(CPI)の動きから目を離すことができない。11月のCPI前年比上昇率は3.1%に達している。さらに突然上振れする兆しが見えれば、BOEは非常に緩やかに利上げするという市場の期待は吹き飛んでしまう。

FRBが進めるバランスシート縮小も、相場変動を増幅させかねない。10年にわたる超低金利局面を経て、市場には金利上昇で悪影響を受ける膨大なポジションが蓄積され、なおかつ想定外の場所に存在する。<ETF>

簡単に利用できる上場投資信託(ETF)の急速な成長と進化は、投資家にとって好材料と言える。最近のEYの調査では、ETFの資産総額は約4兆4000億ドルと、2005年以降で10倍強も膨らんだ。EYによると、今後数年は年間15%のペースで増えていく見通しという。

これはどこから見ても良い話だが、その裏でいくつかのリスクが忍び寄りつつある。1つはETFが追随しようとしている分野がどんどん広がっていることだ。例えば債券ファンドは急増し、いわゆるスマートベータと呼ばれる特定のヘッジファンドの戦略から、「トリプルショートS&P500指数」ETFのような株価の逆張りをレバレッジをかけて行う取引までを代わりに手掛けられるような商品が提供されている。

そうした商品に付随するリスクの一部は、2008─09年の金融危機時に多くの銀行や投資ファンドが悩まされた問題を再燃させつつある。つまり市場が開いている時間に売買可能なETFと、取引量が減っていく裏付け資産との間に存在する流動性のミスマッチだ。10年前、マネー・マーケット・ファンド(MMF)は安全だという長らく続いた信仰が崩れたことが資金流出を助長したのと同様に、ETFを構成する重要な特徴への信頼感が失われれば、事態悪化に拍車がかかる恐れが出てくる。

<クライシスアルファ>

大手年金基金やその他の機関投資家は、株価上昇を喜んでいる。FTSE全世界指数は14日までの上昇率が20%となり、S&P総合500種も18%上がっている。一方で投資家には次の下げ局面への不安もある。

そこで「クライシスアルファ」「クライシス・リスク・オフセット(CRO)」などさまざまな呼び名がある投資手法にある程度の資金を投入する考えが流行の1つになっている

このやり方は、大きな値下がり局面でプラスのリターンを確保することを想定しており、多くのモデルに共通する特色の1つは、流動性がある多くの市場で基本的にモメンタムに追随する「マネージド・フューチャーズ」という戦略を採用している点だ。世界金融危機の際も、こうした戦略で大幅な収益を得たファンドがあった。

ただし、マネージド・フューチャーズや登場からの歴史がさらに浅い他の手法は、かつての「ポートフォリオ・インシュアランス」の二の舞に終わる危険もある。ポートフォリオ・インシュアランスは投資家の損失を最小化すると期待されていたが、1987年10月の株価暴落を拡大させただけだった。

ウィントンのデービッド・ハーディング氏は、自身が最近の相場下落局面でマネージド・フューチャーズ戦略が奏功したからといって次もうまくいく保証はなく、表面的にカウンターシクリカルな戦略であっても、特にあまりに多くの投資家が同じアイデアを採用すれば、最終的には失敗しかねないと警告する。

<ヘッジファンド発の問題>

まずヘッジファンドへの評価に公平を期すためには、彼らは08─09年の金融危機の「主犯」ではなかったと認めなければならない。それでも1998年のロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)問題で分かったように、高いレバレッジと、同じ取引に集中する点がシステミックリスクを招く恐れはある。

運用資産1600億ドルというヘッジファンド世界最大手のブリッジウォーター・アソシエーツは、主要戦略として「リスク・パリティ」を打ち出している。これは幅広い資産や想定可能な市場の動きにほぼ均等にリスクを分散する手法で、実際にブリッジウォーターの成績や評判は良好だ。しかしそれはまだ持続的な債券の弱気相場で通用するかどうか試されておらず、ほとんどの保有資産が一斉に値下がりすれば無傷ではいられないだろうと多くの顧客が懸念している。

一方で大多数の中小ヘッジファンドは、07年8月にコンピューターに基づくクオンツファンドが陥ったような市場における同一行動のわなにはまってもおかしくない。あまりにも多くの投資家が一度にポジションを手じまおうとすれば、歯止めのきかない相場下落につながる。

<仮想通貨>

長いスパンで運用を考える投資家にとって、1日で20%近く下がった1週間後に80%も高騰する資産があるという話をまともに感じるのは難しい。ところがビットコインは11月終盤から12月初めにそうした事態が起きた。ビットコインは関連するブロックチェーンとともに通貨として利用されると言われているにもかかわらず、新技術に精通した投機筋が取引を牛耳る度合いはかつてないほど高まっている。そうであるなら、年初から今月14日までにビットコインの価格がおよそ17倍に跳ね上がったのもうなずける。

コインデスクによると、ビットコインやその他仮想通貨の発行残高は3500億ドルを超えた。その大半はあくまでバーチャルな書面上の存在とはいえ、デジタル経済の成長と金融市場の発展が融合した事実を象徴している。

もし技術上の欠陥を突くハッキングや需要の急減によって仮想通貨の価格が崩れれば、悪影響は現実世界に波及することが証明されるだろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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