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コラム

コラム:米株と債券共倒れ、金利上昇と景気後退で投資家に逃げ場なし

[オーランド(米フロリダ州) 13日 ロイター] - インフレと経済データは、投資家に「安全な場所へ逃げ込め」と大声で叫んでいる。しかし、身を隠す場所がなかなか見つからなければ、どうしたらいいだろう。

 6月13日、インフレと経済データは、投資家に「安全な場所へ逃げ込め」と大声で叫んでいる。写真はニューヨーク証券取引所のトレーダー(2022年 ロイター/Brendan McDermid)

物価が40年ぶりのペースで上昇し、市場の借り入れコストと予想政策金利を押し上げたため、資産市場は急落、投資家のリスク選好姿勢は消滅し、ボラティリティが急上昇している。

問題がインフレだけなら、ヘッジやポートフォリオ多様化のための投資家の選択肢は、もっと単純だっただろう。だが、成長の基盤は弱く、今後1年ないし1年半の間にリセッション(景気後退)入りする確率は日ごとに高まっている。

先週発表された6月のミシガン大消費者信頼感指数は1970年代の統計開始以来、最低を記録。リセッションへの警戒を呼びかけるベルが、これでもかと鳴り響いている。

今回の「暴風雨」の大きな問題は、60歳以下の金融市場関係者に不況と物価高が共存する「スタグフレーション」に巻き込まれた経験がないという点にある。ほとんどの投資家は、当て推量でことを進めている。

重要なことに、投資家が通常なら当てにする、従来の資産の安全な逃避先は、もはや選択肢ではない。債券は暴落し、円は1998年以来の安値を付け、ドルの実質金利はマイナス7%だ。

BMOウェルス・マネジメントのチーフ投資ストラテジスト(CIO)、ユンユー・マ氏は「市場が米連邦準備理事会(FRB)の引き締めが終わったと感じるまでは、困難な状況が続くだろう。そして、終着地点はまだ、見えていないと言って間違いない。われわれは窮地にある」と述べた。

<急落する米国株>

だが、「窮地」という言葉は控えめ過ぎるかもしれない。今年の市場は異常なまでにFRBの政策金利見通しについて修正を迫られ、無傷で済む資産クラスや金融市場は、ほぼ皆無だろうというのが率直なところだ。

米金利先物市場はFRBの利上げが来年半ばに4%弱でピークを迎えると予想しており、わずか2週間前の3%弱から急激に切り上がった。

当然のことながら、株式60%、債券40%という構成の典型的なポートフォリオは、今年に入って運用成績がひどい状態になっている。

トゥルーイストのアナリストによると、株式と債券の構成比率が60%、40%の米資産ポートフォリオは、10日時点で年初来の下落率が15%に達した。

構成やレバレッジによっては、年初来の落ち込みがもっと大きい株式・債券ポートフォリオもある。

S&P総合500種指数は年初来で20%下落し、弱気相場の領域に入りつつある。レイモンド・ジェームズのプライベート・クライアント・グループのラリー・アダム最高投資責任者(CIO)は同指数について、長期狙いの投資家が「魅力的な機会」と認識する3400まで、さらに10%下げるだろうとみている。

シティのアナリストは、企業業績の見通しが一段と悪化し、米国株はさらに10―15%下落する可能性があると警告している。

シティが過去90年間を分析した結果、S&P500種の「景気後退入り前」の下落率の中央値は23.6%、景気後退からの回復期の上昇率の中央値は28.4%だった。つまり、米経済が景気後退に陥るなら株価にはさらに大きな下げが予想されるということだ。

<売られた債券>

以前であれば投資家は、このように株式市場で被った損失を債券買いで埋め合わせただろうが、今回は違う。

バンク・オブ・アメリカ米国債指数は今年に入って10%以上、米社債指数は14%それぞれ下落し、いずれも少なくとも四半世紀で最悪の年になりそうな流れだ。ジャンク級社債指数は10%下落し、年間の下げが2008年以来最大となりそうだ。

では、投資家はどこに逃げ込めばいいのだろう。

シティのアナリストは、ジャンク債よりも金、あるいは投資適格級社債の購入を推奨し、エネルギーセクターも「興味深い」としている。株式では、景気の影響を受けにくいディフェンシブ銘柄を勧めており、とりわけヘルスケアセクターは不況時にアウトパフォームする傾向があるとしている。

金は2月のロシアによるウクライナ侵攻後の2週間で9%上昇し、年初来ではおおむね堅調に推移している。ただ、急騰後は下げ基調となり、猛烈なインフレとも格闘している。

ビットコインはどうだろうか。暗号資産(仮想通貨)市場が大きく揺れる中で、ビットコインは今年に入って半値に下げ、13日だけで12%も下落。仮想通貨は推奨派が唱えるような、インフレヘッジや分散投資ではないことが明白になった。

BMOウェルス・マネジメントのユンユー・マ氏によると、不動産は「適切な」分散投資の手段となる。また、投資家は幅広いポートフォリオの一部にエネルギー、鉱業、貴金属、農業などの商品バスケットを組み込むことを考えるべきだという。

「(しかし)最良のシナリオでも、市場が爆発的に上昇して、年末に向けて持ち直すことは期待できない。むしろ、ゆっくり、じわじわと上昇し、インフレがある程度緩むという感じだろう」とマ氏は述べた。

(筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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