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コラム:FOMC声明の見逃せないシグナル
2014年7月31日 / 03:43 / 3年後

コラム:FOMC声明の見逃せないシグナル

[30日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は30日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で、毎月の債券購入(量的緩和)の縮小を継続した。一方でFOMC声明がハト派的とみなされたのは恐らく正しい反応だろうが、市場の楽観ムードに「どんでん返し」をもたらしかねないシグナルも送られている。

 7月30日、FOMC声明がハト派的とみなされたのは恐らく正しい反応だろうが、市場の楽観ムードに「どんでん返し」をもたらしかねないシグナルも送られている。ワシントンのFRB本部で2012年4月撮影(2014年 ロイター/Joshua Roberts)

当面はFRBの金融政策はリスク性資産を支え続けそうで、それに比べて実体経済への影響はより不確実で小さいとみられる。

FRBは予想通り、毎月の債券購入額をさらに100億ドル減らし、依然として10月に量的緩和を終了する道筋にある。

そして株式と国債の相場を押し上げた本当のニュースは声明の中にあり、FRBは声明で労働市場の状況にはまだ満足していないと表明した半面、デフレの脅威についての懸念はやや後退させた。

イエレンFRB議長と彼女の中核的な支持者が失業と賃金の停滞に関心を集中している点を踏まえれば、声明をハト派的と解釈するのは当たらずとも遠からずといったところだろう。だがより長期的には、物価をめぐる認識の変化がより重要であると判明するかもしれない。

ではFRBはどんな新しい文言を盛り込んだのか。

これまでの「失業率の高止まり」という部分は削られ、新たに「労働資源の活用不足が依然として著しい」というフレーズに置き換えられた。

この表現は中立からややハト派的といえる。なぜならFRBは失業率の改善について労働市場の状況を実態よりも良く見せる間違ったシグナルとみなしている、というのがここ数カ月間のコンセンサスになっているからだ。少なくとも株式強気派の観点でみれば、「著しい活用不足」という言葉の美点は、それがどの個別のハードデータとも関係づけられていないところにある。

それによってFRBは労働市場に関する幅広い指標に目を配ることが可能になり、賃金やパートタイム雇用、労働参加率あたりが注目すべき材料となるだろう。幅広い労働指標に相応の回復が見られるまでは、われわれはFRBがいつ実際に利上げするかの予想を本格化する必要はない。

賃金は数四半期、あるいは数年にわたって伸び悩んでおり、計測の仕方次第では数十年停滞している。それを考えれば、労働指標の上向きまで具体的な利上げ時期を考慮しなくてもよいという姿勢が、リスク性資産の良好な環境が続いていくとの希望を投資家に与えるであろうことがわかる。

そこで今度は「どんでん返し」の可能性の話に移る。

FRBはまだインフレへの懸念は示していないかもしれないが、デフレ突入の不安は低下している。

声明は「物価上昇率が2%を恒常的に下回り続ける蓋然性はやや減った」としており、最近の一部の物価上振れと整合的だ。

シティグループの外為ストラテジスト、スティーブン・イングランダー氏は顧客向けノートで「大事なのは、FRBが初めて(物価と雇用という)両方の目標達成に動きつつあるとの強い合図を発したことだ。これは金融政策が一朝一夕にタカ派的になることは意味しないが、名目金利と実質金利をこれほど異例の低さに抑え続けるモチベーションは失われていて、その点こそが今回の声明における新しい要素だ」と指摘した。

<実体経済と株価のかい離>

30日発表された第2・四半期米国内総生産(GDP)速報値の物価指数上昇率がFRBの目標である2%を上回っているという新情報と併せてみれば、ちょっとした問題に突き当たるかもしれない。FRBが物価上昇に遅れないように行動しようとする、との結論に至るわけではなく、FRBがそのように動く公算は実際小さいように思われる。ただ、少なくとも1つの指標に基づけば、FRBからタカ派的な議論が出てくる領域へと、われわれは近づいている。

第2・四半期GDP成長率が4%となったことは、利上げ時期の予想を混乱させそうにはない。

このヘッドラインはしっかりしたものだったが、大半は在庫投資の回復によってもたらされた。4%成長のうち在庫投資の寄与度は1.66%ポイントを占めている。この寄与が真に意味を持つのは、これら在庫が消費された時だ。

また企業設備投資もかなり跳ね上がったものの、成長を押し上げたもう1つの要因である自動車販売は、その大半がサブプライムローンを利用した購入であり、政策担当者に自信を与える要素ではない。

結論は、GDP統計は米経済が賃金上昇につながるような加速をしているというよりも、のろのろとした歩みを続けている姿を示したことだ。

わたしの推測では、FRBは自らのメッセージに対して、金融市場に違った反応をしてほしいのではないだろうか。

もしも今後数カ月で市場金利がそれなりに上昇すれば、来年の利上げで市場が打撃を受けずに済む環境が整うので、FRBにとってはずっと都合が良くなる。

だがそうした事態は起きておらず、FRB、とりわけイエレン議長は雇用を支えることへの関心を高めているようだ。それによって正当化される政策は今のところ、雇用や賃金よりも資産価格により大きな影響を及ぼしているように見受けられる。

実体経済と株価のかい離は今後も広がり続けるだろう。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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