September 8, 2018 / 1:45 AM / 10 days ago

コラム:低収入の大学生に、学資ローンの「落とし穴」

[シカゴ 5日 ロイター] - ディアナ・ブルックスさん(26)の両親は、どちらも大学を出ていないが、娘に対する期待は高かった。

9月5日、ディアナ・ブルックスさん(26)の両親は、どちらも大学を出ていないが、娘に対する期待は高かった。米カリフォルニア州サンディエゴの大学卒業式で2017年6月撮影(2018年 ロイター/Mike Blake)

ブルックスさんは期待に応え、会計学の修士号を取得して公認会計士となった。この職業に就けば、ブルックスさんの子供時代に常につきまとったお金の苦労から開放されるはずだった。

だが、彼女は、そのために7万6000ドル(約840万円)の借金を背負い、返済に苦労している。

「自分で落とし穴にはまってしまった」と、シカゴ地区で監査役として働くブルックスさんは言う。

ブルックスさんは、全米に4400万人いる学資ローンを抱えた社会人の1人だ。教育省によると、その3分の1程度が、返済が苦しくなって破産したり、債務の繰り延べや返済猶予の適用を受けている。ブルックスさんのような状況は、低所得層の出身で、一家で初めて大学に進学した人にありがちな話だ。

ニュースではよく、10万ドル以上の学資ローンを抱えた人たちの恐ろしいエピソードが取り上げられているが、こうした巨額ローンの多くは大学院進学に伴うもので、卒業後はより給料の高い職業が約束されている場合が多い。大学4年間の教育費として5万ドル以上借り入れているのは、卒業生の9%に過ぎない、とブルッキングス研究所のエコノミスト、アダム・ルーニー氏は指摘する。

実際に返済に苦しむ人のほとんどは、借入額が非常に少ない。2015年に起きたデフォルト(債務不履行)の半数は、学資ローンの借入額が1万ドル以下だった。

デフォルトに陥った学生は、低所得層の出身で、卒業前に大学を中退してしまうことが多いという。学位がないため、借入金を返済できるような給料の良い仕事につけないことがほとんどだ。

これを防ぐ方法の1つは、入学前に、その大学の卒業率と、学資ローンを借り入れた人のデフォルト率を確認することだと、アーバン研究所で教育政策を研究するサンディー・バウム氏は言う。

経験則として、平均3万ドル程度の借入れならば、大学卒業後、同程度以上の年収の仕事に就ければ、問題なく返済できるとバウム氏は言う。

<心配ご無用>

ブルックスさんのような状況に置かれた人は、最も心配すべきタイプの人だという。

ブルックスさんの母親は、年収3万5000ドルの看護助士の仕事で、病気の夫と子供たちや孫を含めた計8人の家族を支えた。

卒業の時点で、ブルックスさんには学資ローンだけでなく、生活費や家族のための支出でかさんだ4万ドルのカードローンもあった。その内訳には、父親の葬儀代1万ドルも含まれた。

大半の収入の少ない大学生は、多額の借金を抱えることを恐れて借入額を抑えようとする。そうした学生の多くは、低い時給で週30時間以上働くため、成績が芳しくなく、無給のインターンシップにも参加できず、チャンスを得られないまま中退してしまうことが多い、とジョージタウン教育労働力センターのアンソニー・カーネベール氏は言う。

ブルックスさんはそれとは対照的に、5年で学士と修士の学位を獲得した。そうできない人も多い。

大卒者がいない家庭出身で、6年以内に大学を卒業できる低収入の学生は、11%にとどまると、Postsecondary National Policy Instituteは分析している。大卒者がいる中間所得層の家庭では、この割合は55%に跳ね上がり、その違いが際立っている。

大学中退で、学生がデフォルトに陥るリスクは最大限に高まる。

教育省によると、大学中退者の45%が、学資ローンのデフォルトに陥っている。学士号取得者ではこの割合は8%で、準学士号取得者では22%となっている。

アフリカ系の学生は、学士号を取得してもデフォルトリスクがはるかに高く、白人の4%に対し、実に21%が返済不能に陥っていることが、コロンビア大のジュディス・スコットクレイトン教授がブルッキングス研究所のために行った調査で分かっている。

借金をした学生が、将来性のある仕事に就けなかったとき、ダメージ回復は難しい。その場合、低収入の人向けに学資ローンの返済を減額する教育省のプログラムが助けとなる。

この「収入ベースの返済」プログラムを利用すれば、連邦学資ローンについては、収入に応じた返済可能な水準まで月々の返済額を下げることができる。また、20年後も返済が終わっていなければ、その後の支払いは免除される。

このプログラムを利用するには、収入が一定程度低くなければならない。クレジットカードのローンは対象にならないため、前出のブルックスさんは利用できなかった。

彼女のファイナンシャル・アドバイザーのコールトン・コフィールド氏は、破産を勧めた。一般的に、破産しても学資ローンはなくならないが、クレジットカードの借金は免除される。

だがそれでも、ブルックスさんは楽観的だ。

「10年から15年後には、ボーナスをもらえるようなキャリアを積んでいるはず。そうしたらもう心配ない」

(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

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