May 12, 2018 / 12:31 AM / 4 months ago

コラム:働く女性、「母親ペナルティー」乗り越えるには

[シカゴ 9日] - 今年の「母の日」イベントで、母親がストレスを抱えてリラックスする必要があるように見えたとしても、仕事を辞めるようアドバイスすることは避けるべきだろう。

 5月9日、今年の「母の日」イベントで、母親がストレスを抱えてリラックスする必要があるように見えたとしても、仕事を辞めるようアドバイスすることは避けるべきだろう。写真は2015年8月、米カリフォルニア州オーシャンサイドで、ベビーカーに乗せた子どもと一緒にジョギングする母親ら(2018年 ロイター/Mike Blake)

子どものケアや配偶者に合わせた早期退職などさまざまな理由で仕事を辞める女性は、大きな金銭的打撃を受けることが、多くの研究結果で示されている。

家庭のために女性が支払う代償は「母親ペナルティー」とも呼ばれ、さまざまな学術研究でその影響は数万ドル単位と試算されている。

子どもが1人いる女性が生涯に稼ぐ額は、子どものいない女性に比べて28%少ないと、最近公表された米ボストン大退職研究センターのマシュー・ラトレッジ氏らの研究が指摘。子どもが1人増えるごとに、この額は3%ずつ減っていくという。

ドルで示すと、犠牲の驚くべき大きさが分かる。

子どものいない女性は、月平均3850ドル(約42万円)稼いでいる。母親の毎月の平均収入は、これより1278ドルも少ないと、ラトレッジ氏の研究は示している。

そうなると、離婚したり配偶者と死別した場合に、女性は不安定な状況に置かれることになりかねない。ラトレッジ氏の研究によると、子どもが1人いるだけで女性が受け取る社会保障の給付金は16%減り、子どもが1人増えるごとにさらに2%ずつ減る。

配偶者と死別したほとんどの女性にとって、退職後は社会保障制度の給付金が主な収入源となるため、16%もの減少は大きい。

「母親ペナルティー」は、女性が子どもを育てるために仕事を完全に辞めたり、一時的にパートタイムの仕事に移ることで発生する。彼女たちは、再び労働市場に復帰する際に、給料とキャリアの両面で遅れを取ったことに気付くのだ。

米国勢調査によると、特に弁護士やエンジニアなど専門職の女性が最も大きく影響を受ける。

悪いニュースばかりではない。女性は長く働けば、50代や60代で収入のピークを迎えた時に(子どもがいない女性と比較した場合の)収入ギャップを縮めることができると、ハーバード大医学大学院のニコル・マエスタス准教授の研究は指摘する。

だが問題は、結婚している女性の多くが、母親として犠牲にした収入を取り返そうとしないことだと、マエスタス氏は言う。こうした女性の多くは、配偶者が退職するのに合わせて退職してしまうことが多いという。配偶者より若い人が多いのにもかかわらず、だ。

既婚女性の約半数が、62歳より早く退職している。この年齢で退職すると、一部の社会保障給付金については、現在満額受け取れる年齢である66歳4カ月で退職した場合に比べて、受取額が26.7%低くなる。

<重要な就労期間>

こうした女性は、収入差や将来の年金や社会保障給付金の受取額の差を縮めるために重要な数年間分の就労期間をふいにしていることになる。

マエスタス氏によると、62歳で退職する女性は、あと5年長く働いた場合に退職後のために貯金できたはずの収入平均20万ドルを自ら放棄したことになる。その上、62歳で退職したことで、社会保障の給付額が生涯に渡り減額される。

こうした現実に女性が気づくのは、すでにどうすることもできない段階になってからのことが多い。

「ひどい状況を見てきた」と話すのは、「安定的な退職のための女性研究所」のシンディ・ハウンセル所長だ。

一例を挙げると、ある知人夫婦は、退職後の生活は安泰だと考えていたという。退職後に向けた貯金はせず、家の転売を繰り返して生計を立てるつもりだった。だが金融危機で不動産価値が下落し、計画は裏目に出た。

夫は75歳でパーキンソン病を患っており、妻は肺に持病がある。夫婦は、夫が長年小さな事業を経営して権利を得たものと、妻の配偶者給付金を合わせた年4万8000ドルの社会保障給付金に頼っている。

他に収入源はなく、病院に行くたびに妻は自家用車の後部座席から夫を自分で抱えて下さなければならない状況だ。

「その日暮らしの生活だ」と、ハウンセル氏は言う。

ハウンセル氏が若い女性に送るアドバイスは、以下の通りだ。

20代のうちに退職後に向けて貯金を始めなさい。たとえ金銭的に厳しかったり、雇用先に確定拠出年金(401k)制度がなかったとしても、だ。

「もし子どもを育てるために専業主婦になるなら、夫にあなたのロスIRA(個人退職口座)に毎年限度額まで拠出してもらうようにしなさい」と、ハウンセル氏は言う。

被雇用者または自営業者は、無職の配偶者のために、年間最大5500ドルをIRAまたはロスIRAという2種類の個人退職口座に積み立てることができる。ロスIRAは、退職後に非課税で引き出すことができるため魅力的だ。

また、退職前に社会保障給付金を最大化しておくことも大事だ。「退職した当初は、みな何とかなると考えている。だが問題が起きたり、予期せぬことが起きる。すると、手に入れられる限りのカネが必要になる」と、ハウンセル氏は語った。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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