April 7, 2018 / 11:17 PM / 3 months ago

コラム:ロシア「サタン2」試射で再発するミサイル開発競争

[4日 ロイター] - ロシアは30日、史上最大の弾道ミサイルを発射した。西側の防衛アナリストから「サタン2」と呼ばれる総重量200トンの「サルマート」は、ロシア政府によれば、単一の発射地点から地上のいかなる場所でも攻撃可能な射程距離を持つ、史上初のミサイルである。

 4月4日、西側の防衛アナリストから「サタン2」と呼ばれる総重量200トンの「サルマート」は、ロシア政府によれば、単一の発射地点から地上のいかなる場所でも攻撃可能な射程距離を持つ、史上初のミサイルである。写真はロシアのミサイル「イスカンデル」。モスクワ郊外で2015年6月撮影(2018年 ロイター/Sergei Karpukhin)

先月、大統領選を前にした重要な演説でプーチン大統領もこのミサイルについて言及していたが、今回の試験は、ロシアの仮想敵国、特に米国にとって紛れもない脅威である。

30年前の冷戦終結以来、ミサイルや地球上のどこであっても攻撃可能なテクノロジーという点で、米軍は文句なしのトップだった。ところが、米国は突然、最大の仮想敵国が長距離兵器に驚くほどの投資を行っていたことに気づかされたのである。

北朝鮮によるミサイル、核弾頭の実験にはあれだけの注目が集まっているものの、北朝鮮政府は、既存の核保有超大国が1950年代・60年代に獲得していたテクノロジーにようやく追いついたというのが実状である。

対照的に、ロシアと中国は新たな世代の兵器を開発している。両国が力を注いでいるのは、新型の地上発射・水中発射の核弾頭搭載大陸間弾道ミサイルだ。

米国防総省にとって同じく頭が痛いことに、両国が開発する新兵器には、米国の航空機や艦艇、なかでも、世界に展開する米国の軍事力のうち最も強力なシンボルともいえる航空母艦を破壊することを目的とした、恐らく回避不能の小型高速ミサイルが含まれていることだ。

こうした兵器が実際にどれだけの性能を発揮するのかは何とも言えない。だが、それらが存在するだけでも、敵国があえて武力行使に踏み切る、あるいは小規模な紛争に介入することを抑止するには十分ではなかろうか。仮に新兵器が期待に応えるものであるとしても、国防予算の点で圧倒的に世界首位に立つ米国に比べれば、ロシアと中国の全般的な軍事力はなお見劣りがする。

2000年代、ロシアと中国は弾道ミサイル搭載潜水艦に特に関心を注ぎ、新たな潜水艦、母港、ミサイルに投資してきた。だがどちらの国も、数で優る米海軍の弾道ミサイル搭載原子力潜水艦の規模、到達範囲、生残性には対抗できていない。また、警告なしに探知されないまま世界のどこでも攻撃できる米国の「B-2」ステルス爆撃機に相当する兵力は両国とも持っていない。

だが、戦力バランスは変化している。ロシアと中国の軍事プランナーは米軍による優位を注意深く観察し、これを出し抜くための容易な方法として、最先端のミサイル技術に目をつけた。

こうしたミサイルの一部はすでに実戦配備が可能であり、紛争において、米軍にとって深刻な脅威になりかねない。30日に試射が行われた「サルマート」は、ロシアの旧世代ミサイルの代替として2020年代に配備される予定になっている。

ロシアは2日、すでにモスクワ周辺に配備されている「A-135」迎撃ミサイルの試射も行ったと発表した。このシステムは、米国が現在欧州・アジアに配備している迎撃ミサイルに相当するものだが、突入してくる少数の弾頭を撃墜できる能力しかないと思われる。だが、中国が持つ類似の兵器と同様に、西側諸国の戦力が頼みとする人工衛星を破壊できる可能性がある。

ロシア軍当局者によると、新型の「ジルコン」対艦ミサイルは、最高速度が音速の約6倍に当たる時速4000マイル超に達するという。これが事実なら、「ジルコン」は米国のあらゆる保有兵器を上回る性能を持ち、実質的に迎撃不可能になる。

また中国も過去2年、米最大級の軍艦を排除する能力を目指していることから「空母キラー」の異名を取る、独自の中距離ミサイルを誇示している。

ロシア、中国とも、敵地における米軍の戦時作戦能力を限定することを狙って、防空システム・対空ミサイルへの投資を増大させている。ロシアは、米国に敵対する可能性が最も高いイランやシリアなど複数の国にこうしたシステムを輸出している。

自国領土の周辺においても、ロシアと中国はミサイル技術が米国とその同盟国を押し返す鍵になると考えている。

中国は、南シナ海支配のために建設している人工島ネットワークにこのようなシステムを配備していると考えられる。ロシアは再三にわたり、高精度の「イスカンデル」ミサイルをポーランドとリトアニアに挟まれた飛び地であるカリーニングラード、さらには対中国国境に配備する構想に言及している。後者については、ロシアにとって中国は、連携相手であると同時に仮想敵国でもあることを想起させる。

「イスカンデル」は、核弾頭・通常弾頭の双方を搭載可能であり、東欧諸国が米国に対し、もっと多くの「パトリオット」対空ミサイルを自国に配備するよう求める大きな理由になっている。だが、そうした動きは軍拡競争をさらに加速させる可能性が高い。

こうした軍拡競争のエスカレートは、時期的に危険だ。世界各地でサイバー攻撃など新たな形での対立により、「戦争状態」の定義そのものが変わりつつある。上述のような、まさに冷戦スタイルのミサイル競争が復活していることと合わせて、世界は非常に居心地の悪い「恐怖の均衡」へと向かいつつあるのかもしれない。

 4月4日、西側の防衛アナリストから「サタン2」と呼ばれる総重量200トンの「サルマート」は、ロシア政府によれば、単一の発射地点から地上のいかなる場所でも攻撃可能な射程距離を持つ、史上初のミサイルである。写真は、ロシアの超長距離地対空ミサイルシステム「S-400」。ロシア・ボルゴグラードで2月撮影(2018年 ロイター/Tatyana Maleyeva)

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