October 5, 2018 / 10:43 AM / 14 days ago

コラム:リスクオン相場に陰り、久方ぶりに原油高がかく乱要因に

[東京 5日 ロイター] - 米株高がリードしてきたリスクオン相場に陰りがみえてきた。基調転換を促すかもしれない大きな要因が原油高だ。原油高が物価を押し上げ、米長期金利の上昇を促せば、米株が天井を形成しかねない。

 10月5日、米株高がリードしてきたリスクオン相場に陰りがみえてきた。ブエノスアイレスで先月撮影(2018年 ロイター/Marcos Brindicci)

日本経済に目を転じると、原油高が時間差で消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)を押し上げるが、賃金の伸びが鈍い中で消費に悪影響を与えるリスクもある。かく乱要因としての「原油高」が久々に主役になるかもしれない。

<米株高の前に立ちはだかる長期金利上昇>

3日のニューヨーク市場で、北海ブレント先物LCOc1が1バレル=85.58ドルと2014年11月以来、約4年ぶりの高値まで上昇。米WTI原油先物CLc1も75.78ドルまで上がった。

4日には、米長期金利US10YT=RRが3.2%台へと7年ぶりの高水準に上昇。これを受けてダウ.DJIは前日比200ドルを超す下落となった。

ニューヨーク市場では、5日に発表される9月雇用統計における時間当たりの平均賃金に注目が集まっている。賃金が上がれば物価が押し上がるという「正攻法」な反応だが、実はそれだけが長期金利上昇の要因ではない。

景気拡大と賃金上昇というサイクルに、原油上昇という要因が加わって、一段と物価押し上げに注目が集まり、長期金利の上昇に拍車をかけかねないという懸念がありそうだ。

<下落要因の中で上がり出した原油>

足元での原油上昇は、 米在庫の予想外の増加やサウジアラビアやロシアの増産情報など、原油価格を押し下げる材料を押し切って展開されている。別のもっと大きな上げ要因があるということだ。

それは、米国による対イラン制裁の存在だ。トランプ米大統領の打ち出したこの「外交カード」が、需給のひっ迫懸念を連想させ、原油価格の大幅上昇という見通しに力を与えている。

また、足元での米経済の過熱ともみえる拡大の大元も、トランプ減税が起点になっているとの見方が多い。言わば「トランプ発」の政策が、米長期金利上昇の背景にあるとみていいだろう。

<原油高による物価上昇、注目されるFRBのスタンス>

米のイラン制裁が原油高の原因として存在している以上、原油高の基調が短期的に変わる見通しはない。そのように判断する欧米の投資マネーの主体が多くなっているため、しばらく「壁」になっていた米長期金利3%を突破し、さらに上昇する勢いをみせていると考える。

米長期金利が3.5%に接近し、さらに突破するような流れになれば、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策は、トランプ大統領が「警鐘」を鳴らしても、利上げ路線を簡単には修正しないだろう。

そうだとすれば、4日のニューヨーク市場ではっきりみえた「米長期金利上昇/米株下落」という構図が、大きな流れとして定着する可能性もある。

<日本では携帯値下げ圧力を吸収する可能性>

米国だけでなく、欧州や日本など主要7カ国(G7)にとって、大幅な原油高は「コスト上昇」として、久々に市場から意識される展開がいよいよ始まることも覚悟しなくてはならないかもしれない。

その時、日本の経済にどのような変化が起きるのだろうか──。

日本のコアCPIは、ガソリンなどの石油製品も含まれるため、一定の時間差を伴って原油高を反映した指数の上昇が予想される。

携帯電話料金などの引き下げが来年前半にも予想される中、原油上昇に伴う物価上昇圧力が、物価低下圧力を相殺し、コアCPIを1%台前半から半ば付近まで押し上げる余地もあるのではないか。

<懸念される消費へのマイナス>

ただ、今年の春闘による賃上げの実績が、政府が希望していた3%を下回った結果、現状で個人消費を拡大させる購買力の大きな増加は起きていない。

そこにエネルギー関連のコスト増が加わると、個人消費に悪影響を及ぼすルートも想定しておく必要がありそうだ。

特に冬場の暖房で灯油を多く消費する北海道、東北、北陸などの地域では、エネルギーコストの上昇が、個人消費の力をそぐ方向で働くのではないか。

株高・円安という追い風で、景気拡大を図ってきた政府・日銀にとって、予想を上回るテンポで上がってきた原油価格が、日本経済にとってどのような影響を及ぼすのか、重要な局面がいずれ来ることになりそうだ。

市場参加者の中でも、年末から年明けにかけた市場価格の見通しが交錯しているが、物価上昇を「デフレ脱却」の明確な証拠として、手放しで喜べない展開もありそうだ。

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