December 15, 2018 / 4:36 AM / 3 months ago

コラム:OPEC減産合意、威光の陰り隠せず

[ロンドン 7日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 石油輸出国機構(OPEC)はある程度の勝利は手に入れた。OPECと非加盟産油国は7日、10月の生産水準から合わせて日量120万バレルの減産を実施することで合意。懸念されていたような減産幅がもっと小さくなる、あるいはまったく減産できないといった事態に比べればずっとましな結果になった。

 12月7日、OPECと非加盟産油国は、10月の生産水準から合わせて日量120万バレルの減産を実施することで合意。懸念されていたような減産幅がもっと小さくなる、あるいはまったく減産できないといった事態に比べればずっとましな結果になった。写真はOPECのロゴ。ウィーンの本部で撮影(2018年 ロイター/Leonhard Foeger)

しかし原油価格をコントロールしていると思いたいOPECにとって試練の1週間だったことには変わりない。

減産の割り振りはOPEC加盟国が80万バレル、ロシアが20万バレル、その他の非加盟産油国が20万バレルとなった。こうした合意がなければ、北海ブレント価格は1バレル=60ドルを大幅に割り込んでもおかしくなかった。OPECが意見の取りまとめに苦労していただけに、そうなることは十分な現実味があった。

もっとも合意した減産幅では、供給過剰を取り除くにはなお不十分だろう。10月時点でOPECの生産量は日量約3300万バレルで、国際エネルギー機関(IEA)が来年の原油需給均衡に必要とみなす生産量の3150万バレルを大きく上回っていた。

サウジアラビアのムハンマド皇太子の立場では、自国の財政収支を均衡させる価格水準が1バレル=80ドル前後である点を踏まえれば、恐らくより大幅な減産が望ましかったはずだ。それが実現しなかったことで、原油市場に対するサウジの伝統的な影響力は損なわれている。そうなったのは他の2つの主要産油国であるロシアと米国が、市場に大量に原油を供給しているからだ。

ロシアと米国はいずれもサウジが減産を進めようとするのを抑制する役割を果たしている。ロシアの場合、サウジよりも採算水準が低く、トランプ米大統領を激怒させたり、あるいは米国のシェール生産を促進するような大規模減産ではほとんど得をしない。また米国はトランプ氏自身が繰り返し、10月に付けた直近高値の86ドルという原油価格は受け入れられないと強調している。

サウジにとっての朗報は、足元で減産しつつトランプ氏の怒りを和らげる方法がありそうなことだ。OPECは来年4月に今回の減産合意を再点検する予定で、もしトランプ氏がイラン制裁を強化して原油価格が跳ね上がるようなら、OPECが方針転換する余地がある。このやり方は、記者殺害事件を巡る問題で米国の支援を必要としているムハンマド皇太子にも追い風になる。

とはいえOPEC全体で考えれば、差し引きでマイナスの影響が残る。比較的生産量が少ないカタールがOPEC脱退を表明したことは、OPECが加盟する価値が高いクラブではないという印象を与えた。サウジが減産をまとめたことにより破局は避けられたかもしれないが、OPECの威光が衰えているという基本的な見方は変わっていない。

●背景となるニュース

・OPECと非加盟産油国が7日、日量120万バレルの減産に合意すると、原油価格は5%余り上昇した。

・イランはOPECとして来年1月から80万バレルの減産を認める代わり、自国は減産の対象外とすることでサウジと妥協が成立した。あるOPEC関係者がロイターに語った。

・ロシアのノバク・エネルギー相はロイターに対して、20万バレル前後の減産を通じて協力する用意ができていると発言。関係者によると、他の非加盟産油国が計20万バレル減産できるので、OPECと非加盟産油国の減産幅は120万バレルに達する。

・OPECと非加盟産油国は来年4月の会合で、今年10月の生産水準に基づいた今回の減産合意を再点検する。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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