May 10, 2018 / 4:26 AM / 15 days ago

コラム:OPEC減産合意、対イラン制裁で「終焉」か

John Kemp

 5月9日、米トランプ大統領がイラン核合意離脱と同国への制裁を表明したことで、石油輸出国機構(OPEC)と主要産油国の減産合意は事実上終わりを迎えた。写真はOPECのロゴ。ウィーンで昨年11月撮影(2018年 ロイター/Heinz-Peter Bader)

[ロンドン 9日 ロイター] - 米トランプ大統領がイラン核合意離脱と同国への制裁を表明したことで、石油輸出国機構(OPEC)と主要産油国の減産合意は事実上終わりを迎えた。日量数十万バレルに及ぶイラン産原油の輸出が途絶える見通しとなり、合意は大幅な修正を迫られるだろう。

米国の発表後、サウジアラビアは直ちに声明を出し、他の産油国や消費国と協力して原油の供給不足を和らげると約束した。

短期間で原油の生産と輸出を増やせる国は実際のところ、サウジ、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェート、ロシア、米国に限られる。

このうちサウジとその盟友アブダビ、クウェートは即座にイランの分を穴埋めできる生産余力を持つ。

米国のシェールオイル企業も生産拡大の能力があるが、時間を要する上、油種がイラン産と異なり代替に向かない。

ロシア企業も生産余力を持っている可能性があり、1年間あれば確実に生産を増やせる上、イラン産と油種が近い。

米国とサウジ上層部の間では、米国がイランへの圧力を強化するのと引き換えにサウジが原油価格の高騰を抑えるという合意ができていたものとみられる。

ムニューシン米財務長官は8日「原油を増産する用意のある複数の関係者と協議してきた」と述べた。

振り返れば、トランプ大統領が4月20日にツイッターで、OPECのせいで原油相場が上昇していると批判したことは、サウジとの合意に向けた駆け引きの一環だったと見ることができる。

合意の大枠は明らかになっていないが、両国間の了解は、対イラン制裁に実効性を持たせる上で不可欠だ。

米ガソリン価格は既に1ガロン=3ドル弱と2014年末以来の水準に上昇。11月の米議会中間選挙を控え、米政治家はガソリン高に拍車をかけたと責められるのは避けたいところだ。

OPECとロシアなど主要産油国は2016年12月に減産で合意した後2度延長し、現在の合意は少なくとも今年12月まで続く見通しとなっている。

既にベネズエラの生産急減により実際の生産量は合意を大幅に下回っており、世界の原油在庫はOPECの予想を上回るペースで取り崩されている。イラン産油の輸出が途絶えれば供給不足に拍車が掛かり、価格の上昇が加速しかねない。

原油価格がさらに上昇すると、米シェールオイル企業が生産を増やしたり、石油消費が減速する恐れがあるため、OPECにとっては悩ましいところだ。またトランプ政権だけでなくサウジとしても、米国その他のガソリン価格を押し上げたとの責めを負うのは避けたいだろう。

これらを総合すると、サウジとOPEC加盟諸国は増産を強く迫られることになる。

米政府は混乱を避けるため、対イラン制裁に最大6カ月の猶予期間を設けている。またイラン産油の輸入国に対しては、輸入削減の意思を示すことを条件に除外措置を講じる用意がある。

理論上はその通りだが、米財務省は既に、将来除外されたいなら直ちにイラン産原油の輸入を削減し始めるべきだとの考えを示している。つまり制裁は事実上今すぐ段階的に実行に移され、数カ月中にイラン産原油の輸出が減り始める可能性がある。

このため、OPEC加盟国は原油高の加速を避けたいなら、減産合意が切れる12月を待たず、今すぐ対応し始めなければ手遅れになるだろう。

もっとも、OPECは合議制で運営されており、今回の問題ではサウジとイランが直接対決することになるとあって、新たな生産合意を結ぶのは難航しそうだ。

従って、形式上は現在の合意を維持したまま、加盟国が事実上それを破ることになるかもしれない。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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