April 5, 2016 / 2:32 AM / 4 years ago

コラム:「パナマ文書」はどこまで不正浄化できるか

[ニューヨーク/シカゴ 4日 ロイター BREAKINGVIEWS] - いわゆる「パナマ文書」によって各国の富裕層や有力者による租税回避地利用の実態が明らかになったが、不正浄化には限りがある。

 4月4日、いわゆる「パナマ文書」によって各国の富裕層や有力者による租税回避地利用の実態が明らかになったが、不正浄化には限りがある。写真は1100万件もの文書が流出したパナマの法律事務所モサック・フォンセカの看板。パナマで3日撮影(2016年 ロイター/Carlos Jasso)

パナマの法律事務所モサック・フォンセカから1100万件もの文書が流出し、世界的に海外での課税逃れを追及する動きが始まった。既に指導者1人が批判にさらされ、ほかにも数人が打撃を被る可能性がある。だが民主主義から最も遠い政治体制においては、おのずと効果は限られるだろう。

海外の口座を使った課税回避は場合によっては完全に合法だが、問題含みで無節操なケースも少なくない。例えばアイスランドのグンロイグソン首相は妻と共に租税回避地に保有していた法人を通じて、アイスランドの銀行と利益相反につながる関係があったと批判を浴びている。野党は首相に辞任を要求した。ほかにも何人かの政治家は海外口座の残高の規模について説明に窮するかもしれない。

ハイテク技術が内部告発者の側に特に強力なパワーを与えた。1971年に米国の数十年にわたるインドシナ政策を暴露した「ペンタゴン・ペーパー」には数千件の文書が含まれていた。パナマ文書のデータ量は2.6テラバイトに上り、1971年当時ならばトラック1000台分になっただろう。

しかしその膨大な量にもかかわらず、パナマ文書には限界がある。そこそこ堅固な法制度と権力者に対する複数のチェック機能を備えた国はパナマ文書を手掛かりに、名前の挙がった人物に対する調査に動くだろう。政治体制が不透明で汚職の蔓延する国ではそうはいかない。

例えばオーストラリアは既にこの文書で名指しされた数百人を調査すると発表した。ウクライナのように政情が混沌とした国でもある程度の動きがあるかもしれない。一方、高官の関与が指摘された中国はインターネットのサイトをブロックしてきた歴史を持ち、国民の耳にはモサック・フォンセカの名前すら聞こえてこないかもしれない。ロシアでも、パナマ文書が大きな波紋を広げればそれこそ驚きというものだ。

最も打撃が大きいのは西側の金融機関だろう。UBS(UBSG.S)とクレディ・スイスは(CSGN.S)は近年、富裕層の米国での課税回避を手助けしたとした問題で、多額の支払いにより和解した。つまり今回のスキャンダルに再び巻き込まれ不正が明らかになれば、厳しい制裁を受ける恐れがあるということだ。既にスウェーデン当局は顧客が租税回避地に口座を開き課税を逃れるのを指南したとしてノルデアNDA.STに対する調査に入った。

パナマ文書で比較的汚れの少ない国や組織のいかがわしい箇所はきれいになるだろう。ただ本当に汚れた者たちには、決して鉄槌を下せない。

●背景となるニュース

・パナマの法律事務所モサック・フォンセカの大量の内部文書、いわゆる「パナマ文書」が流出し、数十万人規模の顧客が租税回避地の企業を利用して金融取引を行っていた実態が明るみに出た。こうした事態を受けて各国政府は4日、富裕層や有力者などによる違法行為の有無について調査を開始した。

・流出した文書にはロシアのプーチン大統領の友人のほか、英国やアイスランド、パキスタン各国首相の親族、ウクライナ大統領などの名前が含まれている。文書は100社以上の報道機関が参加する国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が入手した。

・モサック・フォンセカは不正行為を否定した。パナマ文書は世界のエリート層が利益を得ようとして行った複雑な取引の詳細を記しているが、必ずしもすべての取引が違法というわけではない。

・ICIJが入手したパナマ文書については、以下のアドレスをクリックしてご覧ください。

panamapapers.icij.org/

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below