March 19, 2018 / 8:25 AM / a month ago

コラム:クアルコム買収、前会長の試みは無鉄砲

John Foley

 3月16日、米半導体大手クアルコムのポール・ジェイコブズ前会長が、自らが同社を買収することを検討しているが、無鉄砲な行為であるのは間違いない。写真は同社のロゴ。バルセロナで2月撮影(2018年 ロイター/Yves Herman)

[ニューヨーク 16日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米半導体大手クアルコム(QCOM.O)のポール・ジェイコブズ前会長が、自らが同社を買収することを検討している。厚かましい、感傷的、あるいは妄想などさまざまな言い方はできるが、無鉄砲な行為であるのは間違いない。

クアルコムは、ライバルのブロードコム(AVGO.O)の買収攻勢を何とかかわしたばかり。今、本当に必要としているのは買い手よりも仲介者的な存在と言える。

ある企業を非公開化すべき理由は常に2つ。新オーナーがより適切な経営ができる、もしくは市場が正当な評価をしていないという見方が前提になる。ブロードコムは前者の道を採用し、クアルコムのさえない収入の伸びや相対的な営業利益率の低さを引き合いに出した。だがジェイコブズ氏はそうした問題に取り組める人物ではない。逆にそれができるのであれば、会長時代にとっくに実行していただろう。

企業評価を論じる方がもっと説得力がある。これはクアルコムとアップル(AAPL.O)の対立に関わる話だ。アップルは販売したすべての携帯電話についてクアルコムに特許技術使用料を支払うとみなされていたが、実際にはクアルコムと計算方法を巡って交渉しながら、サプライヤーには使用料支払いを控えるよう指示している。

この問題がいかに重要かは、ある単純な計算で分かる。年間2億5000万台の端末で1台当たり10ドルの使用料を徴収できれば、クアルコムは1年で25億ドルの収入を得られ、そのほとんどが利益に充当される。投資家が現段階でアップルからの使用料支払いをまったく織り込んでいないとすれば、ブロードコムが提案していた1170億ドルに近い企業価値は十分に正当化される。

しかしジェイコブズ氏は、アップルとの関係を修復する上でふさわしい人物でもない。理論的に言えばそうした役割を果たせる1人として、ソフトバンクグループ(9984.T)の孫正義会長兼社長が挙げられる。孫氏はアップルと長期的な関係を築いている上に、傘下のビジョンファンドはアップルとクアルコムの双方を頼りにしている。一方でロイターが報じたように、ジェイコブズ氏はビジョンファンドにクアルコム買収のための資金提供を打診中だ。だから孫氏が、クアルコムとアップルの橋渡し役を果たしてくれる可能性はある。

では孫氏が積極的にクアルコム買収に動こうとするだろうか。クアルコムは第5世代通信規格(5G)で先頭を走る企業として注目度の高い資産だ。さらにジェイコブズ氏を取締役会に加えれば、外国人による所有に対する懸念というブロードコムが挫折した問題も、ある程度和らげることができる。

それでもクアルコムは政治的に取扱いが難しく、既にソフトバンクのサプライヤーになっているほか、企業規模は巨大だ。ソフトバンクにとっては、何らかの外部支援を受けたとしても恐らくは取得するには大き過ぎるだろう。ジェイコブズ氏、またこの問題に関与するようならば孫氏も、その大胆な意気込みを他の方面で発揮する方が得策だ。

●背景となるニュース

*クアルコムのジェイコブズ前会長は取締役会に対して、自身が同社買収を提案するかもしれないと伝えた。ロイターが15日、関係者の話として伝えた。

*ロイターによると、ジェイコブズ氏はソフトバンクグループのビジョンファンドなど複数の投資会社と協議し、買収資金確保を目指している。

*ライバルのブロードコムは14日、トランプ大統領の命令を受けてクアルコムを1170億ドルで買収する提案を撤回した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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