December 14, 2018 / 8:04 AM / 10 months ago

コラム:PSAタバレス氏、ルノーのトップ就任は「得策」か

[パリ/ロンドン 13日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 仏自動車大手ルノー(RENA.PA)にとって、日本で逮捕されたカルロス・ゴーン会長兼最高経営責任者(CEO)の後任に最もふさわしいのは、仏PSAグループ(PEUP.PA)のカルロス・タバレス氏だろう。タバレス氏はルノーと日産に30年在籍してゴーン氏の補佐役を務めた経歴を持ち、職務の引き継ぎにこれほど適した人材はいない。

 12月13日、仏自動車大手ルノーにとって、日本で逮捕されたカルロス・ゴーン会長兼CEOの後任に最もふさわしいのは、仏PSAグループのカルロス・タバレス氏(写真)だろう。ジュネーブで3月撮影(2018年 ロイター/Denis Balibouse)

しかしタバレス氏にはPSAをフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)(FCHA.MI)(FCAU.N)との経営統合に導くという選択肢もあり、ルノーのトップに収まるよりもこちらの道を選んだ方が得策だろう。

タバレス氏は、米ゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N)から昨年18億ユーロで買収したかつての赤字部門、オペル・ボクソホ-ル事業の立て直しが道半ば。同部門は会計上の調整が奏功して今年上半期の営業利益率が5%となり、タバレス氏が2026年の達成を目標として掲げた6%に近づいた。FCAを率いた故セルジオ・マルキオンネ氏は、自動車メーカーは経営統合によって無駄な設備投資を抑えるべきだと発言したが、この主張を地で行ったことになる。

タバレス氏はPSAとFCAを合併することで、マルキオンネ氏の衣鉢を継ぐかもしれない。モルガン・スタンレーの試算によると、FCAの企業価値は240億ユーロと2019年の予想利益の4倍にすぎず、同社最大のブランド「ジープ」の評価額すら下回っている。

フォード・モーター(F.N)やGMなど米自動車メーカーは、反競争法に抵触する恐れがあるため、FCAとの事業統合でプジョーと競合することはないだろう。一方、ドイツの高級車メーカーはフィアットが得意とする欧州の低価格帯市場に参入することはないだろう。中国のメーカーが「ジープ」や「クライスラー」といったブランドに触手を伸ばそうとしても米政府が阻止しそうだ。ルノーは日産と提携しており、FCAと最も相性が良いのはPSAだ。

全額株式による買収の場合、FCAの経営権を握るアニェリ一族は、FCA株のPSA株に対する価格の上乗せ分があるため、新会社の持ち分がPSA、フランス政府、東風汽車集団(0489.HK)の3者の合計の2倍以上となる。Breakingviewsがリフィニティブのデータで試算したところ、PSAがアニェリ一族と対等に渡り合うためには約60億ユーロをつぎ込む必要があり、そうなれば110億ユーロの保有キャッシュの大半が失われる。

しかしそれでもPSAはFCAとの事業統計を検討する価値がある。UBSが弾き出した2019年の業績予想に基づくと、PSAのオペル買収による経費節減効果は合計売上高の2.6%相当。PSAとFCAの事業統合による効果がこの半分だとしても、税金の支払いなどを考慮した年間のコスト削減効果は両社の合計企業評価額の半分強となる。タバレス氏にとって、政治的にもめているルノー・日産連合の経営に当たるよりも魅力的に違いない。

●背景となるニュース

・ルノーは提携相手の日産自動車に対して、13日の取締役会を前にルノーの取締役に接触しないよう求めた。ロイターが12日、複数の関係筋の話として伝えた。日産は元会長であるカルロス・ゴーン容疑者の不正行為の証拠を共有しようとした。

・ルノーと同社筆頭株主のフランス政府は11月19日のゴーン容疑者逮捕以来、ゴーン容疑者の不正行為などに関する日産の内部調査の結果を提供するよう一貫して求めていた。

・ゴーン容疑者は12月10日、役員報酬を少なく記載したとして、金融商品取引法違反の疑いで再逮捕された。ゴーン容疑者は逮捕後に日産の会長を解任されたが、ルノーでは会長兼最高経営責任者(CEO)にとどまっている。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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