May 13, 2019 / 2:02 AM / 2 months ago

コラム:中国のジレンマ、イラン産原油の穴どう埋めるか

[ローンセストン(オーストラリア) 9日 ロイター] - 中国の原油輸入量が4月に急増し、これまでの記録を更新した。5月は反動減があるとみられるが、より大きな問題は、この世界最大の原油輸入国が、イラン産の原油なしにどうやっていくのか、という点だ。

5月9日、中国の原油輸入量が4月に急増し、これまでの記録を更新した。写真はペルシャ湾のソルーシュ油田に掲げられたイラン国旗。2005年7月撮影(2019年 ロイター/Raheb Homavandi)

8日に発表された中国の税関統計によると、中国が4月に輸入した原油は日量1064万バレル。米政府がイラン産原油禁輸の適用除外措置を打ち切る方針を打ち出したことを受け、中国の元売会社が在庫を積み増した、というのがおおかたの市場関係者の見方だ。

税関統計の詳細は5月後半まで公表されないが、リフィニティブがまとめた船舶追跡情報と港湾の取り扱いデータは、この見方を裏付けるものだ。

中国が4月に輸入したイラン産原油は日量83万バレル(bpd)と推計されており、3月の54万bpdを大きく上回った。

だが、これは5月に急減しそうだ。これまでのところ、カーゴ1つ分しか到着していないうえ、今後も3カーゴ分にとどまる予定で、総量は26万bpdになるとみられる。これらの数字は今後変わり、増加する可能性がある。

だが、イランから中国まで輸送に最低3週間かかることを考えれば、中国側の石油元売が米制裁に違反してイラン産原油を買い増していたとしても、これから出発するカーゴは月内に到着しない可能性が高い。

ここ数カ月、中国はイランが輸出する原油の約半分を輸入していた。これほどの大口顧客を失えば、イラン側が大打撃を受けることになる。

もちろんイランの原油輸出の分析を巡っては、船舶追跡サービスが全ての船を捉えられていない可能性が高く、闇取引で秘密裏に動く船舶もある、というただし書きが必要だ。

しかし、入手可能な情報を見る限り、イラン産原油の輸出は5月に大きく減速しており、輸送中のもの、到着済みのものを合わせて7隻、輸送量にして1300万バレルしかない。

<中国、原油のジレンマ>

中国に再び目を移し、船舶追跡データを見ると、4月に急増した原油が反動で5月にどの程度減りそうかがよく分かる。

リフィニティブが予測する輸入量は950万bpd前後で、これは海上輸送と、ロシアや中央アジアからパイプラインで輸送されるものの両方を含んでいる。

リフィニティブのデータによると、5月の最初の8日間で、6520万バレルが中国の港で荷揚げされた。これは、815万bpdに当たる。

パイプラインの輸入は通常81万bpdであるため、今月のこれまでの輸入量は925万bpd程度とみられ、4月より13%少ないことになる。

5月の反動減は、それ以降は継続しない可能性がある。中国の石油元売が精製施設のメンテナンス作業を終え、夏の需要ピーク期に向けて生産を増やす可能性が高いためだ。

石油元売に与えらえた輸出枠が、今年は2018年に比べて増加しているという事情もある。これは、よりたくさん原油を輸入し、石油製品を国外市場に輸出できることを意味する。

中国の石油製品輸出は、4月は617万トンで、3月の712万トンから減少したが、1─4月の輸出量は16.4%増の150万bpd相当となっている。

原油輸入量は今月は一服しそうだが、国内需要の拡大と、精製能力の余剰に伴う輸出増で、中国の輸入量は長期的な増加傾向をたどる可能性が高い。

もし中国がイランからの輸入を大きく減らした場合、どこから代わりの原油を調達するかが問題となる。

答えの1つは、サウジアラビアだ。サウジは湾岸地域におけるイランのライバルであり、トランプ米政権の対イラン強硬姿勢を強く支持している。

サウジからの輸入量は、4月の120万bpdから5月は147万bpdに増加すると、リフィニティブは予測する。

それでも、3月の172万bpdに比べて少ないことに留意すべきだろう。これは、サウジには対中輸出を拡大させる余力があることを意味する。価格を維持するための生産制限が緩和されれば、なおさらだ。

だが、中国が問題に直面しているのは、イラン産原油だけではない、ベネズエラ産も、米国の制裁対象になった。

さらに中国は、米中の貿易戦争でまだ関税対象になっていないにも関わらず、米国産原油の買い付けに消極的な様子だ。

米国から中国に原油を輸送するタンカーは、5月は1隻だけ。交渉中は1隻にとどまる。交渉がまとまったとしても、中国に到着するのは6月、または7月になるとみられる。

中国にとって、米制裁を順守する代償は高くつきそうだ。イランやベネズエラ産のより重い原油を中心に原油市場がタイトになるだけでなく、その他の供給国からプレミアムを要求される可能性が高いからだ。

(翻訳:山口香子、編集:久保信博)

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