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コラム

コラム:OPEC+、原油90ドル台目指せば需要崩壊へ 50ドルも

[ローンセストン(オーストラリア) 6日 ロイター] - 石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」は10月に日量10万バレル減産することを決定したが、これについては実質的に市場への影響はゼロと見なしたくなるところだ。

 石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」は10月に日量10万バレル減産することを決定したが、これについては実質的に市場への影響はゼロと見なしたくなるところだ。写真はOPECのロゴ、2015年8月にウィーンで撮影(2022年 ロイター/Heinz-Peter Bader)

確かに、目標生産量のわずかな調整は世界の需給バランスに大きな違いをもたらさない。しかし、今回の発表はOPECプラスが原油価格を防衛する意思を示したという点で意義がある。

OPECプラスは希望する価格水準を明示していないが、現状と最近の行動から1バレル=90ドル超が目標のようだ。

OPECプラスにとって問題なのは、世界経済がエネルギー価格主導のリセッション(景気後退)に向かっている可能性がある今、この水準を目指すと、需要が崩壊してから半年後には50ドルの水準を守るためにより強い行動を取らざるを得なくなるリスクが高まることだ。

OPECプラスは、今年は日量約40万バレルの供給過剰、2023年には同約30万バレルの供給不足に転じるという技術委員会の見解に基づき今回の決定を行ったようだ。

サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相を含む一部のOPECプラス関係者は、現物の受け渡しを伴わないペーパー原油市場は薄商いで不安定で、現物市場では明白になっていない需要減退を織り込んでいるとのメッセージを発している。

これは現状では妥当な主張かもしれない。しかし、北半球が真冬を迎えるまでに状況は全く変わっているというリスクがある。

ウクライナ戦争の影響でロシアのパイプラインによる天然ガス供給が失われ、エネルギーコストが高騰し、欧州は景気後退に向かうとみられる。

天然ガスと液化天然ガス(LNG)の価格高騰は、一般炭を過去最高値に押し上げる効果をもたらしている。また、主に運輸分野で使用されるディーゼル燃料が発電用として価格競争力を持つようになったため、ディーゼル価格も高止まりしている。

価格高騰により、欧州の金属製錬所などエネルギー多消費型産業はすでに操業停止や生産縮小を余儀なくされている。小規模事業者や消費者にコストが転嫁されるため、状況は今後数カ月でさらに悪化するのみとなりそうだ。

<リスクの高まり>

一般的に高インフレと金利上昇の影響が完全に表れるにはある程度の時間がかかる。世界経済にとってのリスクは、エネルギー需要のピークである冬の時期に全てのマイナス要因が同時に打撃となり始めることだ。

これまでの世界経済縮小期には原油価格が下落したが、今回もそうなる可能性が高い。そうなるとOPECプラスは経済の現実にそぐわない原油価格水準を守ることが難しくなる。イランの核プログラムを巡る米国とイランの合意の可能性も問題をさらに複雑にしている。

需要に疑問符が付いているのは欧州だけではない。エネルギー価格の高騰はアジア経済にも打撃を与え始めており、中国はすでに低迷している状況に拍車がかかっている。先週の深センと成都のロックダウン(都市封鎖)により、同国の石油需要に対する懸念が強まっている。

全体として、年末時点で原油を1バレル=90ドル超とすることはますます困難になっている。OPECプラスのリスクは、もし供給制限によって原油価格をその水準にとどめようとするならば、世界的な景気後退をより深く、より長期化させるだけだということだ。

(筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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