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コラム:ロシアゲート追及、モラー特別検察官なぜ適任か
May 19, 2017 / 1:37 AM / in 7 months

コラム:ロシアゲート追及、モラー特別検察官なぜ適任か

Alison Frankel

[ニューヨーク 17日 ロイター] - 米サンフランシスコ連邦地裁のチャールズ・ブレイヤー判事は2016年、フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題を巡り、被害者とVW、州政府の3者間の調停を指揮する申し分のない経歴を持つ人物を任命しなければならなかった。

そして、元連邦捜査局(FBI)長官のロバート・モラー氏が抜擢された。

「誠実で優れた判断力があり、関連した経験のある人物はそういない」と、若いころはサンフランシスコで連邦検事として働いたモラー元FBI長官を40年以上知るブレイヤー氏はこう記していた。

VWの件で、モラー氏はブレイヤー氏の大きな期待に応えた。

首都ワシントンにある自身が勤めていた法律事務所ウィルマ―ヘイルのオフィスで夜更けまで会議を開き、VW、規制当局、被害者による交渉を導く「見えざる手」として活躍した。モラー氏の奮闘もあり、ほんの数カ月足らずでVWは140億ドルの支払いで和解。被害者側と当局からも善意を引き出すことに成功している。

トランプ陣営とロシアとのつながりを捜査する特別検察官として新たな任務に就くモラー氏は、捜査官や検察官、交渉人としての自身のスキル全てが必要となるだろう。ウォーターゲート事件後に制定された法律の下、判事3人から成る委員会によって任命される独立検察官、あるいは司法省によって任命される特別検察官が率いるこのような特別捜査には、政治的困難を伴う。

イラン・コントラ事件を7年にわたり担当したローレンス・ウォルシュ氏や、ビル・クリントン大統領の調査を手掛けたケネス・スター氏のような名高い法律家でさえ、真相を追及するのに時間と税金を使いすぎるとの批判を浴びた。

海兵隊でも活躍したモラー氏にはすでに、複雑な捜査を指揮するにふさわしい相当な経験が備わっている。共和党のジョージ・W・ブッシュ大統領と民主党のオバマ大統領の下で12年間、FBI長官を務めた。同氏はまた、1990年代に司法省の犯罪局トップを務めたほか、1998─2001年はサンフランシスコの連邦検事だった。

 5月17日、トランプ陣営とロシアとのつながりを捜査する特別検察官として新たな任務に就くモラー氏(写真)は、捜査官や検察官、交渉人としての自身のスキル全てが必要となるだろう。ワシントンで2013年6月撮影(2017年 ロイター/Larry Downing)

モラー氏がブッシュ政権下の2004年、当時司法副長官だったジェームズ・コミー氏と共に、ホワイトハウスの法律顧問が到着する前に入院中のアシュクロフト司法長官の元へ駆けつけ、司法省が違法とみなしていた盗聴計画に署名させようとするのを阻止したことは有名な話だ。コミー氏は2007年、このことを上院司法委員会で証言している。

モラー氏が今回の捜査で名を上げる必要がないということを理解するのは重要だ。同氏の業績は数多く、大きい。特別検察官としての仕事は、すでに輝かしいキャリアの仕上げにほかならない。

ウォルシュ氏やスター氏のような独立検察官の活動は司法省の管轄外で行われていた。彼らに説明責任があるのは、ワシントンのコロンビア特別区巡回控訴裁の連邦判事による委員会に対してのみだった。

こうした制度は、ウォーターゲート事件の特別検察官だったアーチボルド・コックス氏を解任するようニクソン大統領が司法長官と副長官に指示した「土曜日の夜の虐殺」のようなホワイトハウスによる直接的な妨害から検察官を守る狙いがある。結局、司法長官と副長官は大統領の指示を拒否したことで辞職に追い込まれ、コックス氏解任は下位の司法省当局者の手に委ねられた。

独立検察官制度に関する法律は1988年、米連邦最高裁によって合憲とみなされたが、議会は1999年に同法の更新を拒否した。

独立検察官とは異なり、モラー氏は司法省の緩やかな監督下で捜査を行うことになる。米刑法にある特別検察官の規定によれば、司法長官(今回の場合は、セッションズ司法長官が忌避しているため副長官)は検察官による判断の説明を求めることができ、外部の法律家が司法省の慣行に反しているとの結論に至った場合はそれを覆す権利がある。

とはいえ、そのような検討において、特別検察官の考えは相当重視される。もしローゼンスタイン副長官がモラー氏の判断を覆す場合、議会への報告が必要となる。同氏を解任できるのもローゼンスタイン副長官だけだ。規定は、特別検察官の解任命令を拒否した司法当局者を辞職させるというニクソン大統領の戦術を、大統領が再び行うことを阻止できるものではないが、もしそうなった場合、政治的代償は天文学的となるだろう。

政権トップに及ぶ捜査には、それを誰が引き受けようと、あらゆる限りの予測不可能な落とし穴が潜んでいる。だが、モラー氏の経歴が信頼できる指標となるなら、トランプ政権、司法省、議会、そして米国民は、「ロシア疑惑」解明に向けタイムリーかつ公正な捜査を期待できるだろう。期待が大きすぎても、モラー氏ならそれを実現できる男かもしれない。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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