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コラム:米司法長官の「うそ」、どう裁かれるべきか
2017年3月5日 / 00:26 / 8ヶ月後

コラム:米司法長官の「うそ」、どう裁かれるべきか

[2日 ロイター] - 「ロシアと連絡を取らなかった」という発言は、「その女性と性的関係を持たなかった」という言葉と並び、大きな虚言として米国政治史に記録されることになるだろう。

 3月2日、ロシアとの接触について「うそ」をついていたセッションズ米司法長官(写真)は、どう裁かれるべきなのか。ワシントンで撮影(2017年 ロイター/Yuri Gripas)

ジェフ・セッションズ米司法長官は、クリントン元大統領と同じく、弁護士である。ロースクールで授業をさぼっていたのでなければ、右手を挙げて真実を話すと誓いながら、真実とは全く違うことを語るのは悪しき慣習だと知っているはずだ。

クリントン氏は偽証について「『ある』という言葉の意味が何であるかによる」というフレーズを用いて説明した。セッションズ氏は「ない」という言葉の意味を精査することによって、それを超えなくてはならないだろう。

昨晩、眠ってしまった人のために、何が起こったかを説明しよう。決定的な証拠の匂いが米議会の廊下にかすかに漂っている。

1月10日の指名承認公聴会で、昨年の大統領選の期間中にトランプ陣営に関わる誰かがロシア当局者と接触していたという証拠を知ったらどうするかと聞かれ、セッションズ氏は、その当時「ロシアと連絡を取らなかった」と答えている。

しかし複数の司法省関係者と米ワシントン・ポスト紙の報道によると、セッションズ氏は昨年2回、駐米ロシア大使と面会している。

これは記憶の衰えなどではない。不正行為である。しかも米国の司法長官によるものだ。

大統領選でトランプ陣営の選挙活動に加わった当時、セッションズ氏は上院議員だった。国家安全保障担当の大統領補佐官に就任後たった24日で辞任に追い込まれたマイケル・フリン氏と同様、セッションズ氏は選挙期間中、トランプ氏の信頼厚いアドバイザーを務めた。フリン氏はロシア大使との接触をめぐり、ペンス副大統領にうそをついていた。同氏がうそをついた理由は依然として謎である。

今となってはセッションズ氏も、仲間の上院議員を前にして行った証言でうそをついていたようである。同氏は昨年9月、上院にある自分のオフィスでロシア大使と会っていた。7月にも同大使と話している。

30年にわたる情報機関やスパイ活動に関する取材を通じて、元KGB(旧ソ連国家保安員会)でありロシアの専制君主であるプーチン大統領が、信頼できるスパイの取り巻きに囲まれていることを、筆者は知っている。故に、ロシア大使が諜報部員たちと密接に連絡を取り合っていただろうと考えている。米国も含め、多くの国の大使は諜報機関と協力し、情報を共有したり交換したりすることはよくある。

記憶力の良い議員ならウオーターゲート事件を思い出すだろうが、それも無理もない。民主党議員は次々に公聴会を開いて、一人ずつ辞任に追い込むことでトランプ政権を倒そうという構えだ。

「議会で真実を話すと宣誓したにもかかわらず、ロシアとの接触についてうそをついていた司法長官は辞任しなければならない」と民主党のペロシ下院院内総務は1日、そうコメント。「セッションズ氏はわれわれの国の司法長官に適任ではない。辞めるべきだ」と批判した。

共和党のリンゼー・グラハム上院議員はCNNに対し、「FBIが本質的に犯罪と考えることがあるなら、特別検察官が必要となるのは明らかだ。もしそのような日が来るのであれば、それはジェフ以外の誰かでなくてはならないと私は真っ先に声を上げるだろう」と語っている。

なぜなら、セッションズ氏は自身やトランプ大統領を調査することはできない。そのため本件は、トランプ陣営の幹部に対し、宣誓のもとで行われる尋問や大陪審証言、起訴、あるいはそれ以上に悪い事態へと発展する可能性があるからだ。

民主党のロン・ワイデン上院議員は、トランプ政権とロシアの関係を調査する特別検察官の必要性についてグラハム議員に賛同している。両議員とも、まもなくそれを現実のものとするかもしれない主要な委員会の一員である。

上院のしきたりを考えると、情報、外交、軍事の各委員会による非公開の公聴会を開催して、手始めにコミー連邦捜査局(FBI)長官を含む情報当局幹部の話を聞く可能性が高い。

セッションズ氏はコミー氏の上司にあたる。司法長官はFBIの捜査を許可したり却下したりする権限をもっており、FBI長官は司法長官にリポートしなければならない。

今では誰もが知っているように、FBIはロシア政府とトランプ陣営の接触について、その範囲と実体を捜査している。これは敵国の活発なスパイ活動を明らかにすることを目的とした捜査である。

秘密工作、サイバー攻撃、プロパガンダ(別名:偽ニュース)、ウィキリークスやツイッターボットの兵器化など多方面から仕掛けてくるハイブリッド戦争によって、西側の民主主義を妨害しようとする世界的作戦の一環として、プーチン大統領がトランプ氏を大統領にする手助けをしたかったことはよく知られている。

任務は完了した。これはロシアに対する「冷戦2.0」の1回戦だ。

将来を占う水晶玉の持ち合わせはないが、法の支配はいかなる政治家や大統領よりも力があると筆者は考える。もしほころびが次から次へと出てくるなら、セッションズ氏は司法長官を長く務めることはないかもしれない。長期間にわたり、同氏がこの件を調査することはほぼないだろう。

FBIがその任務にあたる。また、下院ではないにせよ上院がこれら国家の重大問題を詳しく調べることになるだろう。メディアは今後も事実を明らかにしようとするだろう。そして最終的に法廷に行き着くのであれば、裁きが下されることになる。

*筆者はピュリツァー賞を受賞した著述家。著書に “Legacy of Ashes: The History of the CIA”(「CIA秘録─その誕生から今日まで」)など。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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