February 8, 2019 / 7:39 AM / 5 months ago

コラム:シーメンスとアルストムの鉄道事業統合、却下は妥当

[ロンドン 6日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 欧州連合(EU)欧州委員会のベステアー委員(競争政策)は、独仏両国政府の圧力に屈せず、シーメンス(SIEGn.DE)とアルストム(ALSO.PA)の鉄道事業統合計画を阻止することで、正しく行動した。

 2月6日、EU欧州委員会のベステアー委員(競争政策)は、独仏両国政府の圧力に屈せず、シーメンスとアルストムの鉄道事業統合計画を阻止することで、正しく行動した。写真はアルストムのロゴ。仏ベルフォールで撮影(2019年 ロイター/Vincent Kessler)

独仏両国は、EU競争法を改正すると息巻き、地域の巨大企業誕生に積極的な人物への欧州委員交代さえ支持するかもしれないが、それは誤りだろう。

ルメール仏経済・財務相などの統合支持者は、シーメンスとアルストムの鉄道事業が一体になれば、中国国有の中国中車(CRRC)(601766.SS)の攻勢にも対抗可能だと主張していた。CRRCグループの売上高は、シーメンスとアルストムの合計の約2倍に達し、スケールメリットと追随を許さない研究開発予算を持つ。

しかしベステアー氏は6日、統合が欧州における鉄道信号装置と高速鉄道車両の競争を大きく低下させて、鉄道運営会社のコストを押し上げ、最終的に旅行者により多くの出費を強いるとの判断を示した。CRRCは中国国外でほとんど事業展開していない以上、この統合計画はシーメンスとアルストムの株主を不確実な将来の脅威から守るための保険をかける負担を、欧州の消費者にお願いする構図になる。

ルメール氏とアルトマイヤー独経済・エネルギー相は、地域ナンバー1クラスの企業をもっと簡単に生み出せるように競争法の内容を変更する取り組みを既に進めている。ロイターが5日に伝えたところでは、フランスが提起した1つの案では、EU加盟各国の担当閣僚が競争問題で発言権を得られる。独仏両国は年内に任期を終えるベステアー氏の後釜に、もっと「物分かりの良い」委員を据える人事を推進する可能性もある。

そうしたやり方は間違っている。第1に、競争政策は国家に後押しされた巨大中国企業から守りを固める上でふさわしい手段ではない。もし欧州がそうした企業を、政治的に影響が大きいか、高度な技術を必要とするセクターから排除し続けたければ、現在華為技術(ファーウェイ)を対象に検討されているように、主要インフラ契約入札に関する調達基準を厳格化したり、あるいは禁止すれば良い。それ以外のケースなら、割安な域外からの輸入品を受け入れる方が理にかなっている。

第2に、競争法を緩和すると、米国や中国など本来欧州よりも規制が弱い地域で見られるようなマイナスの要素が入り込んでしまう。全米経済研究所(NBER)が昨年まとめた2つの調査によると、産業集中度が高まれば賃金の伸びが抑えられることが分かっている。また中国では、CRRCのような国有企業の経営は概して非効率だ。リフィニティブのデータに基づくと、CRRCの場合、向こう3年間の資本の年間リターンは約5%にとどまる見込みなのに対して、アルストムは12%に達する。

独仏両国がシーメンスとアルストムの鉄道事業統合挫折に対して見せた反応は、競争問題についてのお粗末な考え方を映し出しているように見える。

●背景となるニュース

・欧州委員会は6日、シーメンスとアルストムの鉄道事業統合計画を承認しない決定を下した。競争を阻害し、価格上昇につながることを理由としている。

・シーメンスとアルストムは、それぞれの鉄道事業を一体化して中国中車などとより効率的に競争していくことを目指し、独仏両国政府も計画を支持していた。

・欧州委のベスエアー委員(競争政策)は「十分な是正措置がなければ、この統合計画は、乗客の安全を守る鉄道信号システムや、次世代高速鉄道車両の価格上昇につながる」と指摘し、両社の譲歩案が要求水準に達しなかったと付け加えた。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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