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コラム:ソフトバンク、業績の解読が一段と困難に
August 8, 2017 / 3:04 AM / in 4 months

コラム:ソフトバンク、業績の解読が一段と困難に

Quentin Webb

 8月7日、ソフトバンクグループの4─6月期連結決算は、テクノロジー分野に投資する「ビジョン・ファンド」を含んだ初の決算であり、グループが一層複雑化し、業績の解読がますます難しくなったことを浮き彫りにした。写真は、孫正義社長。都内で7月撮影(2017年 ロイター/Issei Kato)

[香港 7日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ソフトバンクグループ(9984.T)が7日発表した4─6月期連結決算は、取得した米半導体エヌビディア株の評価益が利益を大きく押し上げた。今回はテクノロジー分野に投資する「ビジョン・ファンド」を含んだ初の決算であり、グループが一層複雑化し、業績の解読がますます難しくなったことを浮き彫りにした。

ソフトバンクは5月にファンドの初回出資930億ドルを完了し、この際エヌビディア株(NVDA.O)を取得した。同株の急上昇による1070億円の評価益が寄与し、グループの営業利益は予想を上回る4790億円に達した。

もちろん、紙の上の利益も素晴らしいことには違いない。エヌビディア株の急上昇は、孫正義社長が投資について鋭い嗅覚の持ち主であることを証明した。

しかし、ソフトバンクの実態把握が難しさを増したことも明らかになった。利益が予想とかけ離れた数字になったことは、ファンドの設立によって収益が大きく振れやすくなった証拠だ。

しかもソフトバンクは米携帯電話子会社スプリント(S.N)の不振を修復するため、猛烈な勢いで大型買収を検討している。今年は既に米フォートレス・インベストメント(FIG.N)を33億ドルで買収したほか、中国の配車サービス大手、滴滴出行(ディディ・チューシン)に50億ドルを出資。他にも数多くのスタートアップ企業に出資している。

これほど目まぐるしく買収する投資家が、規律を保ち続けるのは珍しい。孫社長はソフトバンクの中核事業に注力する時間をほとんど持てなかったはずだ。

ソフトバンクは今や、大型のプライベートエクイティにしてベンチャーキャピタル投資家であり、同時に通信、電子商取引、ハイテクなど既存の出資先の運営にも関与する企業になった。株主はこうした企業と取っ組み合うことになる。ビジョン・ファンドは大きなリターンをもたらしてくれる可能性があるが、それは何年も先かもしれない。多くを左右するのは投資の量ではなく質だ。ファンドの利益分配、手数料、税金、マネジャーのインセンティブなども重要になってくる。

ソフトバンク株が、個々の事業の合計から推計される値に比べて大幅に割安な水準にとどまっているのは、この複雑さが理由かもしれない。株価は昨年51%上昇したが、ソフトバンクが筆頭株主である中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディング株(BABA.N)が81%も上昇したのに比べれば、ぱっとしない。一部の投資家はソフトバンクの実態を把握しきれないのだろう。

●背景となるニュース

    *ソフトバンクグループが7日発表した7─9月期決算は、ビジョン・ファンドの評価益に支えられて営業利益が予想外の伸びを示した。今回は同ファンドを連結した初の決算。

    *営業利益は50%強増えて4790億円(43億ドル)、売上高は2兆2000億円。トムソン・ロイターがまとめたアナリストの予想平均は営業利益が3260億円、売上高が2兆2000億円だった。

    *米半導体会社エヌビディア株の評価益により、ファンドは営業利益に1050億円分寄与した。

    *ソフトバンクは5月にファンドの初回出資を完了した際、エヌビディア株を取得したことを明らかにした。ブルームバーグによると、ソフトバンクの取得分は40億ドル相当で、出資比率は4.9%となる。

    *筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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