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コラム:ソフトバンク、スプリントの合併断念でも失望は無用か
2017年11月8日 / 00:28 / 13日後

コラム:ソフトバンク、スプリントの合併断念でも失望は無用か

[香港 6日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米携帯電話3位のTモバイルUS(TMUS.O)と、ソフトバンクグループ(9984.T)傘下の第4位スプリント(S.N)が4日、合併に向けた協議を打ち切ったと明らかにしたが、ソフトバンクの投資家はうまく対処できるだろう。

 11月6日、米携帯電話3位のTモバイルUSと、ソフトバンクグループ傘下の第4位スプリントが4日に合併に向けた協議を打ち切ったと明らかにしたが、ソフトバンクの投資家はうまく対処できるだろう。写真はソフトバンクのロゴ。都内で7月撮影(2017年 ロイター/Issei Kato)

同社の孫正義社長は何年もの間、断続的にはっきりしない協議を続けてきたが、今週ついに合併交渉を中止した。数十億ドルとみられていたシナジーを得られなかったわけだが、株主には少なくとも2つの慰めがある。

バーンスタインの試算によると、2社の合併により、スプリントの株主は約100億ドル、TモバイルUSの株主は約130億ドルの金銭的恩恵が得られるはずだった。これは、スプリントの企業価値270億ドルと比べるとかなりの金額に上る。さらに、ソフトバンクの株式保有比率は83%を占め、企業価値の6分の5はソフトバンクのものとなる。

スプリントは、日本におけるソフトバンクの通信事業に比べ引き続き弱い。ソフトバンクが6日発表した4─9月期決算で国内事業の比率は、売上高の35%、営業利益の50%以上だった。それとは対照的に、スプリントは売上高の5分の2、営業利益の18%にとどまった。

それでも孫社長は、スプリントはグループ戦略上重要だとして、中長期的に経営権を維持する姿勢を示している。傘下に収めた英半導体設計ARMホールディングスなどとの、垣根を超えた協力が拡大する前兆かもしれない。ソフトバンクの、全く異なる事業間の連携が強まれば、収益性が証明されるかもしれない。

最新の決算では、いくつかの有益な全体像も示された。

孫社長はスプリント以外にも、「ビジョン・ファンド」などを進行中だ。この巨大なハイテク投資ファンドの規模はいまや、980億ドルを突破。猛烈な速さで動いており、すでに約150億ドルを投資し、米配車サービスのウーバーだけで100億ドルを出資する予定だ。

米半導体エヌビディア(NVDA.O)の株価が大幅上昇したことだけを見れば、前四半期にスプリントより多くの営業利益を上げた背景に新生ビジョン・ファンドがあったことが分かる。それは単なる帳簿上の利益でしかなく、すでに評価額が高くなっているスタートアップ企業へ多額の投資をするという孫社長の決定を考えれば、同ファンドからの最終的な払い戻しが保証されているとは言い難い。

社長がきちんと仕事をし、抜け目ない投資家が大勢、彼の賭けに乗ったなら、報酬は積み重なっていくだろう。最終的に、ソフトバンクとは「スプリント」(短距離走)というより「マラソン」なのだ。

●背景となるニュース

*ソフトバンクグループが6日発表した4─9月期決算(国際会計基準)は、営業利益が前年比35%増の8748億円だった。ビジョン・ファンドの評価益に加え、スプリントの改善も利益を押し上げた。[nL3N1NC2SW]

*米携帯電話3位のTモバイルUSと4位のスプリントは4日、合併に向けた協議を打ち切ったことを明らかにした。両社は共同文書で、協議打ち切りの理由について、合意できる条件を見つけられなかったと説明した。[nL3N1NB062]

*ソフトバンクは6日、スプリントの株式を上場基準に抵触する可能性がある85%以上にならない範囲内で買い増すと表明した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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