June 22, 2016 / 2:02 AM / 3 years ago

コラム:ソフトバンク、「後継者」消滅で投資家の混乱に拍車

[香港 21日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ソフトバンクグループ(9984.T)は、跡継ぎを失った。ニケシュ・アローラ副社長は米グーグル(GOOGL.O)から移籍してわずか2年弱でソフトバンクを去る。アローラ氏は孫正義社長の後継者に指名されて多額の報酬を受け、これまでに数十億ドル規模の投資を進めた。孫社長の後継者選びを巡るごたごたで、ソフトバンクと移り気な創業者である孫氏の考えを読み取るのはかつてないほど難しくなった。

 6月21日、ソフトバンクグループは、跡継ぎを失った。ニケシュ・アローラ副社長(写真)は米グーグルから移籍してわずか2年弱でソフトバンクを去る。都内で昨年10月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai/File photo)

最高権力者が自ら創り上げた企業からの引退を拒むのはよくあることだ。孫氏は、60歳になる来年身を引くつもりだったが、少なくともあと5年は社長にとどまり、「いくつかのクレージーな案件を手掛ける」ことを最近決断したと述べた。過去2年間の報酬が2億ドルを超えるアローラ氏は当面社長に就く見通しが立たなくなり、退任を決めた。退任後はソフトバンクの顧問に就任する。また昨年購入したソフトバンク株5億ドル相当は孫氏に売却し、わずかながら損失が発生した。

すべての投資家がアローラ氏の退任を残念に思うわけではないだろう。アローラ氏は短期間に大胆な投資案件をいくつか手掛けた。この中には韓国のオンライン小売り会社クーパンへの10億ドルの出資、インドのEコマース会社スナップディールへの出資、アジアの配車サービス会社オラやグラブへの出資などが含まれる。ソフトバンクの取締役会は20日、利益相反や投資案件の成績不振を理由にアローラ氏の責任を問うた投資家からの申し立てを却下した。

アローラ氏が投資を決めた新興企業が相応の価値を持つかどうかが判明するのにはある程度時間が掛かるが、ソフトバンクのトップ後継問題の発生は同社の資金繰りに厳しさがうかがえる時期とタイミングが一致した。ソフトバンクは最近、中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディング(BABA.N)の保有株の一部売却などにより100億ドルを調達した。またアローラ氏の退任表明と合わせて、ゲーム大手スーパーセルを102億ドルで売却した。こうした取り組みにより、ソフトバンクの負債は圧縮され、米携帯大手スプリント(S.N)の経営をめぐるつまずきで生じた資金ひっ迫は幾分解消するだろう。

ただでさえ抱え込む異業種が非常に多く、その入れ替わりが激しいところに、今回の問題が加わり、投資家の混乱は深まるばかりだ。差し当たり唯一確かなのは、投資家の命運が再び孫氏の腕一本に託されたということだ。

●背景となるニュース

*ソフトバンクグループは21日、ニケシュ・アローラ副社長が退任すると発表した。アローラ氏は孫正義社長の後継者とみられていた。

*ソフトバンクよると、アローラ氏の退任は社長交代時期をめぐり孫氏との間で「ずれ」が生じたのた理由。孫社長が「当面」グループの指揮を執り続ける意向であるのに対して、アローラ氏は「数年のうち」にトップに就きたいと望んだという。

*ソフトバンク取締役会の特別調査委員会は20日、米国の法律事務所が投資家に代わって行っていたアローラ氏に対する申し立てについて、評価に値しないと結論付けた。

*アローラ氏は2014年に米グーグルの最高事業責任者からソフトバンクに移籍。初年度の報酬は1億3800万ドルに上った。今後はソフトバンクの顧問となる。ソフトバンク株950万株は孫氏に売却した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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