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コラム

コラム:歓迎ムード消えた南ア大統領、経済改革は選挙勝利が鍵

[ロンドン 4日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 企業でも政府でもトップは就任早々に厄介な問題に直面しやすいが、南アフリカのラマポーザ大統領の場合は極端だ。

 9月4日、企業でも政府でもトップは就任早々に厄介な問題に直面しやすいが、南アフリカのラマポーザ大統領(写真)の場合は極端だ。ケープタウンで2月撮影(2018年 ロイター/Sumaya Hisham)

4日発表の第2・四半期国内総生産(GDP)統計で今年上半期に南ア経済がリセッション(景気後退)入りしたことが判明し、2月の大統領就任以来の歓迎ムードは一気に消え去った。与党・アフリカ民族会議(ANC)はなお来年の総選挙で勝てるのは間違いない。

しかし選挙ではっきりした勝利を手にできなければ、ラマポーザ氏が与党を掌握し、成長回復に向けた経済改革を進められるか疑わしくなる。

ラマポーザ氏は、スキャンダルにまみれたズマ前大統領が2月に辞任した後の経済状況についてある程度は言い訳が許される。9年間にわたる放漫財政を引き締め、肥大化した国営企業を立て直すのは容易でない。それに最近のランド売りは、南ア政府が大きなしくじりをしたわけではなく、トルコの経済危機や米国の利上げ、貿易摩擦への懸念が主な原因だ。

しかしラマポーザ氏には南ア経済の救世主というイメージがあるだけに、景気後退入りの責任を免れるのは難しい。実際には、農業生産の落ち込みを招いたのはケープタウンでの干ばつや大豆産地の荒天だった。しかし家計消費は1.3%減少しており、有権者は危機感を味わっている。こうした有権者から来年4月か5月に予定されている選挙で支持を得られないと、ラマポーザ氏は苦しくなる。

ANCは地方議会選で野党・民主同盟(DA)にプレトリアとヨハネスブルクに加え、ケープタウンでも敗れた責任を問い、ズマ大統領を辞任に追い込んだ。一方、ANCの得票率は2004年には70%だったが、その後の10年間で62%に低下した。

ラマポーザ氏はANCの得票率を上げることができれば、退潮に歯止めを掛け、ANCを救ったと堂々と胸を張れる。そうなれば白人が所有する農地を取り上げ、銀行を国有化したいと考えている労組やANCの左派勢力が、経済改革の流れを止めるのは難しくなるだろう。しかし有権者の支持率が下がり続ければ、ラマポーザ氏が直面する困難ははるかに大きくなる。

●背景となるニュース

*4日公表の統計によると、南アの第2・四半期の国内総生産(GDP)は前期比0.7%減で、2009年以来のリセッション(景気後退)となった。農業、運輸、小売りなどのセクターで落ち込みが大きかった。

*南アランドは既に幅広い新興市場国売りの圧力を受けていたが、GDP統計の発表後に対ドルで一時3%余り急落。南ア国債の利回りは上昇した。

*ラマポーザ大統領は2月の就任時に、企業の景況感を回復して投資を増やし、低迷する成長に弾みを付けると約束していた。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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