July 3, 2018 / 5:45 AM / 3 months ago

コラム:株式市場で強まる3つの「不吉なシグナル」

[ロンドン 2日 ロイター] - 株式市場のボラティリティはまだ恐怖感が与えるほどの高水準ではないが、じりじりと上向いている。ただそれよりもっと明確に見て取れるのは(1)循環物色の動き(2)セクターごとのボラティリティ(3)各セクターと市場全般の値動きの相関性──がそろって強まっていることだ。

 6月2日、株式市場のボラティリティはまだ恐怖感が与えるほどの高水準ではないが、じりじりと上向いている。写真はニューヨーク証券取引所で6月28日撮影(2018年 ロイター/Brendan McDermid)

特に米連邦準備理事会(FRB)が先導する形で世界から流動性が引き揚げられ、貿易紛争の脅威が日増しに高まっている今の局面では、これらは不吉なシグナルとなりかねない。

シカゴ・オプション取引所(CBOE)のデータに基づくと、S&P総合500種と各構成セクターの値動きは今年になって昨年よりも相関性が強まり、ボラティリティは成長セクターを中心にどのセクターでも上昇した。

2月上旬にボラティリティ・インデックス(VIX)が急騰した点を踏まえれば、今年ボラティリティが高まっている事態に驚くべきではない。急騰はごく一時的だったとはいえ、2月5日のVIXの上昇幅と上昇率はともに過去最大を記録した。

しかしその点や最近数週間でVIXがまた徐々に上がってきていることを考慮に入れてもなお、予想変動率を指すVIXの水準自体はまだ本格的に跳ね上がったわけではない。過去5年間の平均は14.6%、6月29日の終値は15.2%だった。

もっとも実現ボラティリティは既に相当高い。CBOEのデータによると、S&P総合500種の実現ボラティリティは昨年平均が8.14%だったのに対して、今年上半期は19.95%と2倍以上になっている。

セクター別ではハイテク、一般消費財、素材といった成長分野の実現ボラティリティが倍増しており、投資家の間に現在過去2番目の長さとなっている米景気拡大がいつまで続くか疑念が生まれ始めている様子が分かる。

<試されるアクティブ運用の手腕>

各セクターとS&P総合500種の相関性は、相場上昇よりも下落時に強まる傾向がある。市場に売りが広がるまでは分散化投資がうまく機能しているが、最後は一斉に値下がりするという理屈だ。

これは2月のボラティリティ急騰後に起こった事態だ。現在はもっと緩やかに値下がりしたり、上値を抑えられているような展開で、これは循環物色を後押しする。

シーブリーズ・パートナーズ・マネジメントのダグ・カス社長は、今年下半期の株式市場について、ボラティリティが高まり、循環物色がより活発化するとともに、銘柄間における勝ち組と負け組の格差が拡大するという特徴を持つとみている。

カス氏は「少なくとも年内残りほとんどの期間で、また11月の中間選挙が近づくとともに、ボラティリティ(上昇)と循環物色が加速する公算が大きい」と記し、機会を巧みにとらえた冷静な投資をすることが求められるとの見方を示した。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが実施した6月の機関投資家調査では、景気循環株からディフェンシブ株へ乗り換える動きが確認された。最も投資を減らしたセクターは銀行、増やしたのは公益だった。

またいわゆる米国の「FAANG」と中国の「BAT」と呼ばれる有力ハイテク株の買いが、5カ月連続で一番人気の取引に挙げられており、今後循環物色によってこれらの銘柄から資金が出て行ったとしても不思議はないだろう。

循環物色の活発化とともに、個別銘柄のS&P総合500種に対するリターンの差もばらつきが大きくなってくる。

理想的には、投資家はS&P総合500種を上回るリターンを提供してくれる銘柄やセクターをオーバーウエートし、S&P総合500種に出遅れた分野をアンダーウエートにしたいところだが、各セクターの値動きがより同調する局面でそれは難しい。だからこそ、アクティブ運用を手掛けるマネジャーがどれだけ「アルファ値(ベンチマークを上回る成果)」を生み出せるかが問われる。

UBSのアナリストチームは、今の米国株はボラティリティ上昇と個別銘柄のリターンのばらつきの拡大が「数年にわたって」続く時期の序盤に差し掛かっているとみており、「アクティブ型マネジャーが金融危機以降ずっと待っていた市場環境だ。彼らが主張していたような成績を残せるかどうかがこれからはっきりしていく」と指摘した。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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