December 9, 2014 / 12:56 AM / 4 years ago

コラム:ドル高は世界経済にとって「1200兆円の頭痛」

 12月8日、ドル高の見通しは、世界経済にとって10兆ドル(約1210兆円)の頭痛の種となっている。ソウルで昨年1月撮影(2014年 ロイター/Lee Jae-Won)

[シンガポール 8日 ロイターBreakingviews] - ドル高の見通しは、世界経済にとって10兆ドル(約1210兆円)の頭痛の種となっている。金融危機以降に安いドルで借金を積み上げてきた債務者は、重大な困難に陥るリスクがあるからだ。特に、借金を返済できるだけの十分なドル建ての収入がないならなおさら深刻だ。金融の安定性にとって大きな脅威となる。

国際決済銀行(BIS)の最新の四半期報告書によると、世界の銀行の民間企業に対するクロスボーダー融資や外貨建て融資の額は合計9兆5000億ドルを超えた。また新興国の民間事業会社は2009─2013年に、5000億ドル以上の資金を世界の債券市場から調達した。

こうした債務の通貨ごとの内訳は明らかになっていない。しかし、かなりの部分がドル建てと考えて差し支えないだろう。これは厄介な問題をはらんでいる。ドルは今年6月末以降、対主要通貨バスケットで12%上昇した。米雇用情勢の改善により、2015年もドル高が一段と進む可能性がある。

債務者にとっては、ドルの上昇と共に借金返済の負担が増すことになる。新興国の多くでは内需が弱含んでいる。それと同時に、世界経済の成長は足踏み状態が続いており、多くの発展途上国にとって主要輸出品である一次産品の価格は急落している。ドルが上昇すればするほど、相対的に貧しい国々の債権者負担は大きくなる。

「債務事故」のリスクが最も高いのは恐らく中国だ。2008年末時点で、世界の銀行の中国本土向けクロスボーダー融資は、新興国向け全体の6%にすぎなかった。それが今では28%にまで膨らんでいる。もし中国の成長鈍化が本土からの資本逃避につながれば、人民元は対ドルで著しく下落することになり、中国の債権者が世界中で借りている1兆1000億ドルの返済は怪しくなるだろう。

中国政府は人民元建て債務の不履行に対しては手立てがあるのだろうが、中国で外貨建て債務の崩壊が起きれば、世界の金融システムにとって深刻な打撃となる。10兆ドルの頭痛は、割れるように痛む偏頭痛になるだろう。

*筆者はロイターBreakingviewsのコラムニスト。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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