July 19, 2019 / 1:25 PM / a month ago

コラム:緩和前向きの米欧、日銀はモメンタムと下振れリスクが焦点に

[東京 19日 ロイター] - 米欧中銀の首脳部から、追加緩和に「前向き」な発言が相次いでいる。目標水準に達しない物価と景気の先行きに横たわる下振れリスクの存在を緩和を決断する際の「大義名分」にしようと模索しているのが共通項だ。この情勢の中で、日銀はどのような判断を下すのか。やはり物価と金融・経済情勢の2つが枢要な材料となり、「モメンタム」と「下振れリスク」がキーワードになるだろう。白熱した議論が展開されそうだ。

 7月19日、米欧中銀の首脳部から、追加緩和に「前向き」な発言が相次いでいる。写真はG7財務相・中央銀行総裁会議に出席した黒田日銀総裁(中央)、左はビルロワドガロー仏中銀総裁、右はルメール財務相、仏シャンティイで17日撮影(2019年 ロイター/Pascal Rossignol)

<FRB幹部から緩和容認発言>

ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は18日、自身のリサーチから得た教訓として、金利とインフレが低水準にある場合、経済的な問題が現実化するのを待つ余裕はないと指摘した。

米連邦準備理事会(FRB)が物価の目安として重視しているコア個人消費支出(PCE)価格指数は、5月に前年比1.6%上昇と目標の2%を下回っている。ウィリアムズ総裁は「人々はこのような状況(物価目標を下回った水準での推移)が続くと考え始める可能性があり、フィードバックループが形成されて、インフレがさらに長期にわたって押し下げられる可能性がある」と述べた。

クラリダFRB副議長は18日、FOXビジネス・ネットワークのインタビューで「事態が相当に悪化して、劇的な形で利下げに踏み切らざるを得ない時点まで待つ必要はない」と述べるとともに、米国内の景気は良好だが不透明感が増したと分析。インフレ指標が軟調で、世界の指標は失望を誘う内容との見方を示した。

2人とも、物価に対するリスクを強調しており、クラリダ副議長は景気の下振れリスクの存在にも言及、連続的な利下げ局面に入るとの市場観測を否定しなかった。

<物価押し上げに行動する決意、クーレ氏が言及>

一方、欧州中銀(ECB)のクーレ専務理事は17日、「理事会は緊急事態の際には行動する決意であり、インフレ率が目標に向けて推移し続けることを確実にするため、あらゆる手段を適宜、調整する用意がある」と語った。

また、ユーロ圏経済については、今年1─3月期の国内総生産(GDP)伸び率が前期比0.4%増だったが、4─6月期、7─9月期に成長がいく分鈍化する兆しがみられると指摘。世界的な不確実性の影響で貿易が低迷し、製造業が打撃を受けているとした。

クーレ氏も物価が目標を下回っていることと、景気の下振れリスクの双方に言及し、早期の緩和実施の可能性をにじませた。

ECB理事会と米連邦公開市場委員会(FOMC)のちょうど中間にあたる今月29、30日に金融政策決定会合を開く日銀にとっても、米欧中銀と似た環境に直面している。

19日に発表された6月全国CPIは、コア(除く生鮮)が前年比0.6%増と2%の目標から相当離れた水準となっている。日銀は「仮に物価安定目標に向けてのモメンタムが損なわれるなら、迅速に追加緩和を検討する」(17日に仏シャンティイで黒田東彦総裁が発言)との立場を繰り返し説明している。

5月の同0.8%増から伸び率が鈍化したが、この動きだけでモメンタムが維持されていないとみるのかどうか。今回の数字だけでは、追加緩和に踏み切るには材料不足とされるのではないか。

<注目されるECBの動向>

ただ、世界経済の先行きを予想する際に考慮する「不透明感」については、米欧中銀と同じ認識のはずだ。

簡略化して言えば、米中貿易戦争の長期化が予想される中で、中国の需要が低迷し、世界貿易が縮小傾向をたどり、輸出産業の収益が打撃を受けることを起点に、国内経済の主体である家計と企業の心理がどの程度、打撃を受けるのかが焦点になる。

日本の場合、株式市場がドル/円.N225の水準に強く影響を受け、円高の進行が株安を招きやすい地合いになりやすい。それだけに米欧中銀の政策決定が、為替市場にもたらす影響も視野に、日銀は政策判断を下すことになるだろう。

「モメンタム」と「下振れリスク」を勘案した場合、米欧中銀の政策決定の内容次第で、政策維持から追加緩和まで、いくつかの選択肢が考えられると予想する。

その場合、より変動要素の多いECBの政策決定内容次第で、日銀の議論の中身が変わってくる可能性がありそうだ。29、30日の決定会合は、これまでにも増して白熱した議論が交わされるのではないか。

●背景となるニュース    

・WRAPUP 1-FRB副議長とNY連銀総裁、景気支援に向けた迅速な行動支持

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