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コラム

コラム:株安連鎖、止めるのはFRBのQE期待か 日銀にも注目

[東京 9日 ロイター] - 新型コロナウイルスの感染が米欧で拡大し、市場参加者の「恐怖心」をかき立てて世界の株式市場は「ドミノ倒し」のように大幅下落を続けている。サウジアラビアが突如、原油増産を打ち出し、原油価格が急落したことも「火に油を注ぐ」かたちになった。過去にもあった株安連鎖を止めてきたのは米国の政策期待だった。中でも機動性の高い米連邦準備理事会(FRB)の動向に注目が集まるのは今回も同じだ。

 新型コロナウイルスの感染が米欧で拡大し、市場参加者の「恐怖心」をかき立てて世界の株式市場は「ドミノ倒し」のように大幅下落を続けている。写真は都内の株価ボード(2020年 ロイター/Edgard Garrido)

だが、市場は今年6月以降のゼロ金利政策まで織り込んでも、株安が止まる兆しが見えない。18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後の会見で、パルエル議長は政策の手詰まり感を払しょくするため、量的緩和(QE)政策の可能性に言及するかもしれない。QEへの期待感が世界的な「株安連鎖」を止めることになるのかどうか、大きな「実験」が始まる。

<サウジ原油増産、リスクオフに拍車>

東京市場の関係者にとって衝撃的だったのは、ドル/円JPY=EBSが9日の市場で一時、101円台を付けるまで円高となったことだろう。東京市場の円高恐怖症はトラウマになっていると言ってよく、日経平均.N225はいったん1万9500円を割り込んだ。大引けにかけて買い戻されたものの、前日比1050.99円安と大方の市場参加者の想定を大きく下回って取引を終えた。

ここまで市場心理を悪化させたのは、直接的にはサウジアラビアの動向だ。-石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」の協調減産合意が崩壊したことを受け、4月の生産量を日量1000万バレルを大幅に上回る水準に引き上げる計画があるとロイターが報道。米原油先物CLc1は1バレル=30ドルを割り込む急落となった。

<6月以降の米ゼロ金利織り込む市場>

この衝撃的な価格変動が、世界経済の先行きを「真っ暗」とイメージさせ、一気にリスクオフが進展。短期マネーを運用するファンドの動きを先頭に、あっという間に株売り/債券買いが進み、円高も進んでしまった。

国内銀行関係者によると、今日の円高は、米金利の動きが大きく影響したという。10年米国債利回りUS10YT=RRは一時、0.5%を割り込み、30年米国債利回りUS30YT=RRは1%をあっさり下抜けした。

FF金利先物は、今年6月以降に0%から0.25%というリーマンショック後にFRBが行ったゼロ金利政策に移行すると予想する水準まで急低下した。

つまり、マーケットは今年後半にFRBがゼロ金利まで金利を下げるところで織り込んでしまったわけだ。

すでに今月17─18日のFOMCにおける0.5%の利下げは、当然視されている。

<見えないコロナ禍の出口>

それでも、世界の株式市場では、株安連鎖が止まる気配が見えない。それはなぜか──。新型コロナウイルスの感染拡大が、いつ、ストップするのか今のところわからないためだ。つまり、コロナ禍の「出口」が見えないことが、世界経済と市場を圧迫している。

利下げしてもウイルスを絶滅できないなら、絶滅できる「特効薬」が開発されるまで、経済・市場のメカニズムが破綻しないよう頑張るしかない。特効薬という「援軍」が来るまでウイルス攻撃による経済破壊からシステムを守る「籠城」を強いられている構図だ。

<QEで期待つなぐ戦略か>

ただ、ゼロ金利まで視野に入ってきた現状では、籠城する側の「弾薬」にも限りがあるとわかってしまい、城内の「士気」に関わる問題になりかねない。それを防ぐには、「弾薬はある」と言い続けるしかなく、マイナス金利に抵抗感の強いFRBは、QEという弾薬を用意するのではないか、と予想する。

複数の市場関係者は、FRBがQEの可能性に言及すれば、株安連鎖は止まり、いったんの「小康」を得るとみている。私も同感だ。ただ、どれだけの時間を稼ぐことができるのか、それによってハイイールド債市場など、かねてバブル崩壊のリスクを指摘されてきた市場が「暴発」せずに済むのかどうかは、やってみないとわからないだろう。「実験」と言っていいかもしれない。

<どうする日銀>

一方、18─19日に金融政策決定会合を開催する日銀の動向にも、大きな関心が集まっている。100円に迫る円高は、日銀にとって大きなリスクと映っているに違いない。この円高を止めて株価を落ち着かせ、市場に冷静さを取り戻させる手段をシミュレートしているに違いない。

日銀が「未知の領域」に踏み込むのかどうか、決定会合までの市場動向も大きな影響を与えるファクターになりそうだ。

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編集:石田仁志

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