June 26, 2014 / 2:07 AM / 5 years ago

コラム:イラク発「原油高騰」シナリオ、株安・物価高で政策難局も

[東京 26日 ロイター] - ガソリン店頭価格が5年9カ月ぶりの高値を付けた。イラク情勢の緊迫度合によっては、一段の値上がりも予想される。エネルギー価格の高騰は、物価や企業収益などのルートを通じ、政府・日銀の政策にも影響を与えかねないインパクトを秘めている。物価上昇と企業収益圧迫という現象が表面化するかどうか、注視する必要性が高まってきた。

 6月26日、ガソリン店頭価格が5年9カ月ぶりの高値を付けた。エネルギー価格の高騰は、物価や企業収益などのルートを通じ、政府・日銀の政策にも影響を与えかねないインパクトを秘めている。都内で2008年2月撮影(2014年 ロイター/Yuriko Nakao)

 <ガソリン価格、5年9カ月ぶりの高値>

資源エネルギー庁が25日に発表した23日現在のガソリン店頭価格は、1リットル当たり167.4円と5年9カ月ぶりの高値を付けた。値上がりは9週連続で、イラク情勢の緊迫化を背景にした原油価格上昇の影響を受けている。

米WTI原油先物は106ドル台と約3年ぶりの高値水準で推移し、ドバイ原油も110ドル台と約9カ月ぶりの高値圏で取引されている。

この先の展開について、原油の専門家の間では、見方が分かれているようだ。楽観派は、イラク原油の約90%が未だに戦闘地域ではない南部で産出されており、警備も厳重で直ちにイラクの原油生産が落ち込むリスクは低いとみている。

一方、厳しい見方の背景には、イスラム教スンニ派過激組織「イラクとレバントのイスラム国」(ISIL)が勢力圏を広げ、中東全体でシーア派とスンニ派の対立が深刻化すれば、中東全体の情勢が不安定化し、原油生産の落ち込みがイラクだけでなく、他の産油国に広がるという懸念がある。

米欧日の超金融緩和でマネーはあり余っており、中東全体が緊張度を高めた場合、原油価格は120ドルを突破し、150ドル方向に値上がりするとの観測もある。

 <原油高騰なら、CPI上昇と株安の展開か>

どちらに転ぶのか、今のところ予断を許さない情勢だが、もし、原油価格が大幅に上昇する方向になれば、世界経済に与える影響は、かなりの規模になるだろう。

また、日本経済やマクロ政策に与える影響も、決して小さくはない。日銀の黒田東彦総裁は23日の講演の中で、消費者物価(除く生鮮、コアCPI)の上昇率が、夏場にかけて1%近傍まで低下する可能性に言及したが、ガソリン価格が一段と上昇し、エネルギー価格の上昇傾向が継続するようなら、CPI上昇率は横ばいから拡大へと変化する可能性がある。

一方、経済情勢を先取りする株式市場では、原油価格が120ドルを突破して上がり続けるなら、世界的な景気停滞と日本企業のコスト上昇を懸念し、株価が下落に転じるリスクも出てくる。

 <景気後退と物価上昇の並立、難しい政策対応>

ここから先は、「頭の体操」的なシミュレーションになるが、原油価格が150ドル近辺まで値上がりし、株価が大幅に下がって企業心理や消費マインドが悪化する一方、コアCPIがジワジワと2%方向に上がり出した場合、政府・日銀はどのような対応をするのだろうか。

財政面からのテコ入れということで、2014年度補正予算の編成が話題になりそうだが、同時に消費税の10%への再引き上げの是非をめぐり、賛成と反対の声が錯綜しそうだ。

政府は日銀に対し、追加の金融緩和を求める可能性があるが、物価が2%に接近しつつある中で、日銀が追加緩和を決断するのかどうかかなり微妙な局面もあり得そうだ。

この際に、政府・日銀の政策判断に大きな影響を与えるのが、長期金利の動向だと予想する。今は0.6%を下回っている長期金利が、1%方向に上昇を始めているのか、それとも0.6%前後で低位安定しているのか。

原油価格が大幅な上昇を始めた場合、政府・日銀が今は想定していない情勢変化が現実化し、政策判断に苦悩する可能性もある。原油上昇が起きれば、「暑い夏」になっているかもしれない。

●背景となるニュース

・ガソリン9週連続値上がり イラク戦闘で167円超

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below