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コラム

コラム:ワクチン効果の先に「株安」シナリオも、FRBに注目

[東京 11日 ロイター] - 英国やロシアで新型コロナウイルスのワクチン接種が始まり、米国でも近日中に接種が開始される。世界のマーケットはワクチン効果の進展を好感し、株高で反応してきた。ところが、ワクチン効果が劇的に浸透すると、どこかで株安が到来するシナリオが浮上している。景気回復を反映した米長期金利の上昇が、その主因として意識されている。

12月11日、英国やロシアで新型コロナウイルスのワクチン接種が始まり、米国でも近日中に接種が開始される。写真は8日、英ニューカッスルで、接種のたえ準備されたファイザーのワクチン。代表撮影(2020年 ロイター)

株安を回避させたいなら、米連邦準備理事会(FRB)は米国債の購入を大幅に増加させるだろう。これは現在の日銀の政策と近似することになる。長期金利が上昇した場合、FRBがどのように決断するのか、2021年の大きな分かれ目になるだろう。

コロナワクチンへの期待感が、市場関係者の中では極めて高い。10月以降の世界的な株高は、主因が主要国中銀の超金融緩和による過剰流動性だとしても、買い材料の主役はワクチンだった。英国やロシアではすでに接種が始まり、米国でも食品医薬品局(FDA)の諮問委員会が10日、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルスワクチンの緊急使用の支持を決定。FDAは数日内に緊急使用許可を出すとみられ、その後、ワクチンの供給と接種が始まる見通しだ。

国際通貨基金(IMF)が10月に公表した見通しでは、2021年の世界経済の成長見通しがプラス5.2%、米国は3.1%、日本は2.3%。ワクチンの効果が想定を超えて浸透した場合、IMFの見通しを上振れて成長率が加速する展開も予想される。

そこで、株価が一段と上がるのかというと、新しい制約が登場しそうだ。それは米長期金利に代表される長期金利の存在だ。足元では0.9%前半での推移だが、世界経済の復調や想定を上回る成長加速が予見できた場合、1%を突破して1.2%台の方向へ上昇する公算が大きい。

その時に何が起きるのか。長期金利の上昇を嫌気した株式市場からのマネー流出だろう。今年10─12月期も米長期金利が1%に接近しかけるような動きを見せると、米株が調整色を強める展開があった。

1%を突破してさらに勢いづいた場合、株式市場が驚いて下落幅を拡大させる展開が予想される。

FRBは6月以来、毎月少なくとも米国債と住宅ローン担保証券(MBS)の合計1200億ドルを当面購入する姿勢を打ち出しているが、株価急落リスクが顕在化しそうになれば、米国債の購入量引き上げに踏み切り、長期金利の抑制姿勢をあらわにし、景気拡大と長期金利の緩やかな上昇を両立させ、株価の急落を防ぐ対応に出る可能性があると筆者は考える。

これは、日銀の現在のイールドカーブ・コントロール政策(YCC)に近似した政策と言えるだろう。

コロナワクチンの効果が絶大になると、日米の金融政策の中身が似通ったことになるという「未来」も、想定の範囲内になってきたと言えるのではないか。

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編集:内田慎一

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