August 5, 2015 / 3:25 AM / 5 years ago

コラム:ロボット・AI・IoTが導く日本の製造業「ルネサンス」

[東京 5日 ロイター] - 日本の製造業が、本格的な設備投資増強に動き出した。中でも注目するのはキヤノン(7751.T)の完全自動化工場だ。このロボットを駆使した動きは、1、2年のうちに他の日本企業も巻き込んで、人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)の技術革新と連動し、日本の成長力を大きく押し上げる「潜在力」を秘めている。

 8月5日、ロボットを駆使した動きは、1、2年のうちに他の日本企業も巻き込んで、人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)の技術革新と連動し、日本の成長力を大きく押し上げる「潜在力」を秘めている。埼玉県加須市の工場で7月撮影(2015年 ロイター/Issei Kato)

米欧企業を追い抜いて、新産業システムが花開き「ルネサンス」の時が来るのではないかと予想する。

<可能性秘めるキヤノンの完全自動化工場>

キヤノンは子会社の大分キヤノンの敷地内に、ロボットなどを駆使した完全自動化工場に必要な技術を研究・開発する「総合技術棟」を建設し、2016年10─12月から稼働させる予定。

その技術を国内4工場のラインに採用し、順次完全自動化していく計画という。米国やドイツでもロボットを活用した自動化の試みは進んでいるが、複数の関係筋によると、どこも人手がゼロになる「完全自動化」は達成していない。

キヤノンの計画が順調に進めば、世界初の「完全自動化工場」になる可能性がある。

キヤノンの試みは、他の国内製造業も注視し、水面下で同様な研究・開発をしているもようで、1、2年内には国内製造業のいくつかの生産拠点で、完全自動化工場が相次いでスタートする可能性がある。

<AIとIoTが連動する製造業革命>

「完全自動化工場」という存在は、製造業の革命を意味していると認識している人は、まだ、経済界でも多くないようだ。

国内メディアの報道の中には、「人手不足対策」や「コストカット」に焦点を絞った解説が出ているが、完全自動化のシステムは、そうした点にとどまらない大きな可能性を秘めている。

キヤノンは、新設する研究棟での技術に関し、自社のカメラ生産に投入するという以外、具体的な情報を公開していない。

だが、この技術が進歩していけば、生産ラインに乗せる「対象物」は、カメラに限定されないはずだ。

さらに推し進めて考えていけば、完全自動化のシステムを販売し、それを主力商品にすることも可能だと考える。

完全自動化ラインに投入するロボットには、AIが搭載されることになると予想するが、AIは製造業だけでなく、さまざまなサービス分野でも活用が期待される「汎用性」がある。

AI技術の開発を進めていけば、幅広い分野で生産性が上昇するだけでなく、新しいビジネスが展開されるだろう。

また、完全自動化システムと密接な関係にあるのがIoTだ。ある部品や製品がどこに存在するかをリアルタイムで把握するシステムが、IoTを駆使して完璧にできれば、完全自動化工場の生産性は、飛躍的に上がることになるだろう。

<経営者のアニマルスピリット、お目覚めか>

足元における設備投資は、製造業で活発化してきている。日本政策投資銀行が4日に発表した設備投資計画調査によると、大企業・全産業の2015年度設備投資計画は前年比プラス13.9%だった。特に製造業は14年度実績比プラス24.2%と、バブル全盛時代の1989年度以来の高さとなった。

好調な企業業績で積み上がった豊富なキャッシュフローを抱え、久々に日本の製造業経営者のアニマルスピリットが刺激されているのではないかとも思える。

実際、政投銀の調査によると、製造業の投資動機は、新製品・製品高度化16.4%(前年16.2%)、研究開発9.6%(同8.2%)、人手不足などに伴う合理化・省力化12.9%(同12.4%)という前向きな設備投資のウエートが高まっている。

また、日本企業の「変革志向」は設備投資だけでなく、販売の主体を「モノ」から「システム」に移行させている面でも見ることができる。

例えばパナソニック(6752.T)は「線路メンテナンス用にタブレット端末を作業員が所持し、画像やデータによってメンテナンス状況を送受信するシステムや、駅の大型情報スクリーンと連結したシステムの販売拡大を狙っている」(モノづくりイノベーション推進室・企画課長の一力知一氏)という。

このシステムを輸出する延長線上に「完全自動化システム」を輸出する姿があるのではないか。単品のモノでは、中国や韓国のキャッチアップを許したが、複雑に組み合わされた技術の結果である「システム」で競争力を確保すれば、再び日本企業は優位に立てる可能性がかなりありそうだ。

「ロボット」「AI」「IoT」をキーワードにした日本の製造業のルネサンスは、かなり現実味を帯びている。

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