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コラム

コラム:コロナ禍で消費低迷、サービス業には「3密」の呪縛

[東京 15日 ロイター] - 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、消費の落ち込みが深刻化している。ナウキャストとジェーシービーの調査結果によると、3月16─31日の消費は前年比9.3%減となった。中でも「3密」になりやすいサービス業が同10.5%減とマイナス幅が目立つ。今後、感染ペースが鈍化したとしても「鎮圧」されるまでは、サービス関連消費の苦戦は必至であり、個別企業の業績や株価に反映されそうだ。

4月15日、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、消費の落ち込みが深刻化している。写真は14日、都内の繁華街で、外出自粛を呼びかけると職員ら(2020年 ロイター/Issei Kato)

<3月後半、外食・自動車販売の落ち込み深刻>

ナウキャストとジェーシービーがJCBカードの顧客100万人分の決済データをもとに作成し、直近の消費動向を探る「JCB消費NOW」の3月16日─31日のデータを見ると、コロナ禍の消費実態の姿がくっきり浮かび上がる。

この期間中に東京都などから外出自粛要請が出て、外食が同17.9%減となったほか、旅行が同15.0%減、宿泊が同12.9%減とマイナス幅が大きくなっている。また、自動車小売業が同17.5%減となっているのは、ショールームで話をきくことで接触が増えることに加え、切迫した事態の下で耐久消費財購入の優先順位が下がっていることを示していると思われる。

遊園地、映画館、航空旅客、鉄道旅客が軒並み前年比20%台から10%台の減少に直面。自粛要請などの「移動規制」が長期化した場合、この分野の企業業績が大幅に下押しされ、株価にも下方圧力がかかりやすくなると予想される。

<テレワーク、光熱費押し上げ>

一方、前年比で増加した中に、電気・ガス・熱供給・水道事業がある。2.4%増となったのは、テレワークで自宅にいる時間が増えたサラリーマン家庭で、暖房費などの光熱費が増えた結果と思われる。

各家庭の通信契約の内容によっては、通信費の負担が急増し、会社にそのコストの一部負担を要求する声が、今後は広がってくるかもしれない。

酒屋が同9.8%、喫茶店・カフェが同4.4%とそれぞれ増加したのは、「家飲み」需要の増加と、テレワークと言いながら自宅ではなく、喫茶店などでパソコンを操作している人が予想以上に多いことを示しているようだ。

<接触回避とEコマース増、輸送業に感染リスクも>

もう1つ、Eコマースが同6.1%増と大きく伸びたことにも注目したい。外出自粛要請が影響したのは確かだが、「接触機会」を減らそうとした行動とも言えるのではないか。

そこで、今後の問題として懸念されるのは、商品の運搬を担う輸送業で働く人々の安全の問題だ。4月に入って宅配サービス企業の運転者が新型コロナウイルスに感染したとのニュースが伝わった。米国でもこの分野のサービスにあたる人々から、感染の不安を訴える声が出ており、今後、日本国内の感染者がさらに増加した場合、配送に携わるスタッフの安全確保が急務になると指摘したい。

<3密避ける心理、長期化も>

また、5月6日までの期限で発令された緊急事態宣言は、感染増加が止まらない場合は、延長される可能性もあるとみられている。仮にピークアウトが確認され、宣言が解除されても、直ちにウイルスが世の中から消え去るわけでもない。こうした中で、果たして委縮した消費マインドが、直ちに復活するのかどうかという大きな問題が浮上すると指摘したい。

これから公表される4月前半以降のデータでは、今回以上にマイナス幅が深くなる業種が続出しそうだ。その傾向が仮に5月前半あたりで「底打ち」したとしても、「接触」に対する警戒感は、簡単には払しょくされないと予想する。

とすれば、「密閉」「密集」「密接」の「3密」を招きやすいサービス業の業績低迷は長期化のおそれがあるのではないか。少なくとも「医療崩壊」の危険性が報じられている間は、モノの消費も含め、個人消費の低迷は避けられない。国際通貨基金(IMF)は2020年の日本の実質成長率をマイナス5.2%と予測したが、消費の低迷が長期化するなら、さらに落ち込むリスクもあると予想する。日本の政策当局には、相当の覚悟が求められそうだ。

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編集:石田仁志

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