April 27, 2020 / 12:06 PM / 3 months ago

コラム:コロナ危機長期化も、政府・日銀に必要な資本増強スキーム

[東京 27日 ロイター] - 日銀が社債やCP(コマーシャルペーパー)を3倍近く買い増す大胆な追加金融緩和を決定した。この背景には黒田東彦総裁が27日の会見で明らかにしたように、今回の「コロナ危機」が需要と供給を同時にシュリンクさせる特異な現象を招き、リーマン・ショックを上回る打撃を日本経済に与えかねないという強い危機感があった。

4月27日、日銀が社債やCP(コマーシャルペーパー)を3倍近く買い増す大胆な追加金融緩和を決定した。都内で撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

今は今年後半に新型コロナウイルスの感染拡大が終息するという前提に立っているが「不確実性が大きい」とも指摘。長期化リスクにも言及した。そのケースでは大企業でも資本の毀損が現実化しかねず、危機は一段と深まることになる。黒田総裁が指摘した政府との協調の先に、資本増強を念頭に置いた新たなスキームが浮上する可能性もありそうだ。

<コロナショックの特異性>

黒田総裁がこの日の会見で明確にしたのは、リーマン・ショックと今回のコロナ感染拡大を起点にした経済的なショックの違いだ。リーマン・ショックは「米国で金融バブルが弾け、米国の金融システムがダメージを受けて、金融チャネルを通じて波及。経済が低迷し、日本にも影響した」と分析。一方で「今回は感染症の拡大自体と、それに対応した外出自粛などで経済活動が抑制され、企業活動がシュリンクしている」と明快に説明した。

また、需要と供給の両方が同時に影響を受けているとも分析した。世界各国の「移動規制」でサプライチェーンが大きな影響を受け、生産に大幅な支障が生じるという現象も起きているからだ。

このため企業の資金繰りが厳しくなっているとし、その点では「リーマン危機よりも厳しい面がある」と指摘。今回の大胆な企業緊急支援策を決定した理由を説明した。

<年度後半のコロナ終息が前提>

今回の展望リポートでは、2020年度の経済成長の見通しがマイナス5.0%からマイナス3.0%という幅で示された。しかし、21年度はプラス2.8%からプラス3.9%と挽回生産など景気回復期の伸びを想定している。

この前提は、国際通貨基金(IMF)の見通しと同様に20年度後半から感染拡大の影響が鈍化し、終息の動きが見えるというシナリオだ。

だが、IMFは21年の回復の力強さについては大きな不透明感が存在し、成長率はさらに低くなる可能性もあり、世界的流行と拡散防止措置が長引けば、その可能性が高まるとしている。

日銀も2020年度後半の感染終息の動きには、懸念があるのではないか。事実、黒田総裁はその点に関連し、不確実性が大きいとも述べている。

<長期化なら世界と日本の打撃深刻>

コロナの終息が今年度後半から後ずれした場合、何が起きるのか──。まず、内需は移動規制の緩和が進まず、観光や飲食店の活動が十分に再開できないばかりでなく、広範なサービス業に影響が残存するだろう。例えば、野球やサッカーなどのプロスポーツでは無観客試合が長期化し、球団経営に支障をきたすところが出てくるリスクも増大するだろう。

消費者心理の好転も期待できず、消費全体が沈滞したままであれば、企業の設備投資意欲も盛り上がらず、製造業、非製造業を問わず、内需は落ち込んだままとなる可能性がある。

他方、外需も先行してコロナ危機を脱しつつある中国向け輸出は期待できるかもしれないが、中国からの欧米向け輸出が不振であれば、その製品の部品を輸出している日本企業の業績回復もどれほど進むのか不透明だ。まして日本から欧米向けの輸出は、感染が終息しなければ、戦後最悪の水準まで落ち込むことも予想される。

こうした事態に直面した場合、中小・零細企業だけでなく、大企業でも赤字計上の連続化で資本の毀損が懸念される事態になることを今から想定しておくべきだ。

自民党の宮沢洋一参院議員(前税調会長)はロイターとのインタビューで、新型コロナウイルス感染症による経済への打撃が長期化する場合、政府・日銀が一体となって資本注入など企業支援を行える体制を準備すべきと述べた。

宮沢氏は、同党の岸田文雄政調会長にも意向は伝達済みとしており、動き出す可能性がある。

黒田総裁は、この日の会見で政府との協調が重要であることを繰り返し表明した。今後、コロナ危機が想定よりも長期化し、かつ深刻化が想定されるようになれば、毀損した資本の補完は、何より重要性が増す。

具体的な検討は今後、始まるとみられるが、優先株を買う手法であれば、「準国有化」されるという企業の懸念もクリアできる。

政府・日銀内では、密かに次のステージを想定したシミュレーションが進行しているに違いない。

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