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コラム

コラム:日本の経済政策「梅雨入り」、供給制約で円安の行方見えず

[東京 6日 ロイター] - 米長期金利が5日のニューヨーク市場で一時、3.1%台に上昇した。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ加速だけでなく、中国の厳しい新型コロナウイルス対応やロシアによるウクライナ侵攻の長期化など世界の供給サイドを制約する材料が目白押しになっていることが大きく影響している。

 米長期金利が5月5日のニューヨーク市場で一時、3.1%台に上昇した。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ加速だけでなく、中国の厳しい新型コロナウイルス対応やロシアによるウクライナ侵攻の長期化など世界の供給サイドを制約する材料が目白押しになっていることが大きく影響している。写真は2021年5月、都内で撮影(2022年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

このまま米長期金利がじりじりと上がれば、0.25%で日本の長期金利を抑え込んでいる日銀の金融政策と相まって円安が一段と進展しそうだ。1ドル=135円を突破しても止まらない可能性もあり、円安のゴールが見えなくなってきた。物価高対策をまとめた岸田文雄政権がこの円安をどこまで許容できるのか、日本のマクロ政策の行方も不透明感が増してきたようだ。

<ゼロコロナ政策、中国の供給網に打撃>

市場の目は、4日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果や6日発表予定の4月米雇用統計に集中しがちだが、中国経済の様子がどうもおかしい。中国国家統計局が4月30日に発表した4月購買担当者景気指数(PMI)は、製造業が47.4と3月の49.5から低下。非製造業は2カ月連続の悪化となる41.9と、3月の48.4から大幅に悪化した。

その大きな原因が、中国当局の堅持する「ゼロコロナ政策」にあるのは間違いない。上海では事実上のロックダウン(都市封鎖)によって工場が稼働出来ず、トラックが高速道路上で大渋滞し、コンテナ船が港の沖合で長期間待たされる事態に陥っている。

日米欧の企業は、一部の部品供給が止まって生産が計画通りに進まないケースが続出。中国発の「供給制約」が大きな問題として意識され出している。

<ウクライナ戦争の長期化、原油価格をさらに押し上げ>

また、ロシアとウクライナの交戦状態が継続し、西側諸国が対ロシア経済制裁を強化し、ロシアやウクライナから輸入してきた原材料価格が高騰したままという状況が長期化する様相を強めている。

特にドイツが5月2日、ロシア産原油の即時禁輸を支持する用意があると表明したことで、欧州が数日以内に禁輸を打ち出せる可能性が高まったことは原油価格に大きな影響を与えそうだ。仮に欧州連合(EU)がロシア産原油の禁輸を打ち出せば、原油価格が一段と上昇したり、1バレル100ドルを超す高価格帯での取引が長期化する要因になりそうで、米国を除く西側各国にとってはコストの大幅上昇要因となる。

<日米長期金利差、円安の燃料>

5日のニューヨーク市場で米長期金利が一時、3.1%台の乗せたのはFRBが年末までにフェデラルファンドレート(FF金利)の誘導レートを中立金利かそれ以上に引き上げるとの観測が台頭したからだけではない。中国の供給サイドの不安やウクライナ戦争の長期化による世界的な「供給制約」を受け、FRBの引き締めだけではインフレを抑制するのが難しいとの思惑が広がったためだ。

米長期金利が3%台でじりじりと上昇を続ければ、日米の10年物金利のギャップは拡大を続け、円安が一段と進む「燃料」の補給を受けることになる。筆者は近い将来、ドル/円が135円台に乗せると予想するが、そこがゴールとは断定できなくなったと考える。円安のゴールは「見えなくなった」のではないか。

<岸田政権が容認する円安水準はどこか>

3月の国内企業物価指数は前年比9.5%増だった。輸入物価は契約通貨ベースが同25.2%増、円ベースが同33.4%増となった。その差の8.2%が円安で押し上げられた分だ。4月はその差がさらに拡大すると思われる。円安が物価を押し上げるウエートが高まる分だけ、企業や富裕層のように外貨建て資産運用で逃げられない個人は、不満を募らせることになる。

岸田政権が円安進展をどこまで容認することができるのか。これは、世論が円安を物価高の主犯と見始めた時に大きく変化すると筆者は予想する。

その際に、岸田政権は日銀にどのようは働きかけをするのか、そして日銀はどのような対応を検討するのか。日本のマクロ経済政策の行方は、早くも梅雨入りしたかのように「どんより」と先が見えなくなってきた。

●背景となるニュース

・米金融・債券市場=利回り上昇、米経済の軟着陸に懐疑的な見方

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