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コラム

コラム:日銀総裁は市場の過熱感否定、コロナ禍の株高長期化か

[東京 16日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は16日の会見で、厳しい実体経済とは対照的に株高が進んでいるのは、将来の企業業績回復を予想している動きと指摘し、過熱感があるわけではないとの見方をにじませた。他方、新型コロナウイルス感染の「第2波」襲来があった場合は経済への影響が長期化するリスクにも言及した。これを市場から見れば、コロナ禍の長期化は金融政策支援を背景にした株高の長期化につながる可能性が高いということではないか。

 日銀の黒田総裁は16日の会見で、厳しい実体経済とは対照的に株高が進んでいるのは、将来の企業業績回復を予想している動きと指摘し、過熱感があるわけではないとの見方をにじませた。写真は2019年7月、都内の日銀で会見する黒田総裁(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

ただ、米連邦準備理事会(FRB)が検討しているイールドカーブ・コントロール(YCC)が導入された場合、ドル安/円高が進むとの観測もある。そのケースでは株安になる展開も予想され、日銀が追加緩和に踏み切る可能性もありそうだ。

<中銀対応、企業倒産リスク軽減>

16日の東京市場では、日経平均.N225が前日比1000円超の上昇となり、終値で2万2500円台を回復。実体経済とギャップがあり、過熱感はないのかとの質問に対し、黒田総裁は2月下旬以降に大幅下落したが、各国の迅速かつ積極的な対応で急速に水準を回復したと指摘。その上で「最近の株も先行き経済活動が再開し企業収益が改善することを反映したものと見ている。ただ、引き続き不透明感は強く、市場も神経質な状況が続いているので、今後とも状況を注視していきたい」と述べ、現在の株高に過熱感はないとの見方を示した。

米欧を含めた先進各国の株高は、各国中銀の積極的な資金供給やクレジット物をどんどんと購入する「信用緩和」によって、マーケットに存在した企業倒産への懸念払拭が大きな原動力になっているとみられている。

この日の会見で、黒田総裁はこうした株高のメカニズムについて詳しくは言及しなかったものの、日銀の対応によって株式市場の緊張感は後退したと指摘。足元の株高には、日銀による大胆な政策対応の効果が出ているとの見方を強くうかがわせた。

その一方、新型コロナウイルスの「第2波」襲来リスクに関しては、ワクチンや治療薬の開発次第で、先行きは極めて不透明感が強いと強調。そのケースでは先進国で再びロックダウンが実施され、経済への悪影響が避けられないと予想した。さらに足元では途上国、先進国での感染拡大が大きなリスクであるとの見解を示した。

経済活動の再開に伴って、景気拡大が軌道に乗れば、現在の「緊急時」に対応した政策パッケージの一部は、どこかの段階で「終了」することが予想される。その時は株式市場が「株高燃料」の削減と見て、下落する場面も出てくるだろう。

しかし、「第2波」襲来となれば、政策パッケージは維持だけでなく増強される可能性もある。今でも実体経済よりも大幅に上方乖離している株価は、感染の再拡大で皮肉にもさらに上昇する可能性が出てくるのではないか。

つまり、日銀はじめ主要国の中銀が株高を「行き過ぎ」とけん制しない限り、緩和マネーとリスクプレミアムの圧縮が相乗効果となって、足元の株高は継続する可能性が高い。そして、「第2波」襲来のリスクで足元で下落した株価も、実際に出現した際は金融緩和効果の長期化を予見して、逆に上がる効果をもたらす可能性がありそうだ。

<FRBがYCC採用なら円高も>

ただ、死角もある。それは円高だ。リスクオフ心理が何らかの理由で台頭した場合に起きやすいが、それだけではない。最近、複数のメディアで取り上げられているFRBによるYCCの検討が現実味を帯びてきた場合、日米の長期金利差の縮小が円高材料と見られる可能性がある。

円高の進展は、日本株下落につながり企業心理を悪化させるという連鎖はいまだに大きな変化がない。円高と株安が連鎖しそうになれば、日銀も「政策効果を見極めたい」と静観できなくなるだろう。その時にどんなカードを切るのか、水面下でシミュレーションが進んでいるかもしれない。

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編集:内田慎一

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