October 25, 2019 / 10:03 AM / 24 days ago

コラム:地味だった消費増税前の駆け込み、年金世帯が主因か

[東京 25日 ロイター] - 駆け込みと反動が小さかったと言われた今回の消費増税。だが、その裏には年金受給世帯が全体の過半数を占め、個人消費からバイタリティーが失われた構造が隠されていたのではないか。実際、住宅や自動車の駆け込みがほとんどなかったのに対し、家電や日用品などに駆け込みが集中した。

 10月25日、駆け込みと反動が小さかったと言われた今回の消費増税、その裏には年金受給世帯が全体の過半数を占め、個人消費からバイタリティーが失われた構造が隠されていたのではないか。写真は東京・巣鴨の商店街。10月1日撮影(2019年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

政府・日銀は今後、増税後の消費への影響を精査していくことになるが、高齢化率の高い地方を中心に予想外に消費が弱くなる現象が出てくる懸念があると予想する。

<家電・日用品に偏った駆け込み需要>

冷蔵庫や洗濯機などの白物家電は、9月の出荷額が前年比20.2%増の2385億円だった。家電量販店では、大型テレビやパソコンなどの販売も前年比で2桁%増となったところが続出した。

政府・日銀のヒアリングによると、9月の最終週に家電の販売が急増。結果として家電の駆け込みの規模は、前回の2014年増税時に匹敵する規模に膨れ上がったもようだ。

また、バス・トイレタリー製品を含む日用品の駆け込み需要も活発化。9月の全国スーパー売上高は、前年比2.8%増と6カ月ぶりにプラスを記録した。

米日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)(PG.N)の今年7─9月期売上高は前年比7%増の177億ドルだったが、日本での販売は同10%を超える伸びとなった。増税前の駆け込み効果とみられている。

一方、一戸建て住宅やマンション販売は9月に前年割れしているもよう。9月の自動車販売台数は前年比12.8%増となったが、1─9月でみると同2.8%増にとどまる。業界関係者は、9月の駆け込みが想定の3分の1程度にとどまったとみている。

14年と今回を比べると、値段の高い住宅や自動車などへの消費者の「食指」は動かず、手ごろな価格で購入できる身近な物に駆け込みの対象がシフトしたことがわかる。

資金的に余裕のある富裕層が宝飾品などをまとめて購入したことは、9月の百貨店売上高が前年比23%増になったことで示されている。しかし、これは個人消費全体を示したデータとはいえない。

<年金受給世帯、全体の52.3%>

なぜ、駆け込み需要が地味になったのか──。端的に言えば、高齢化の進展で年金受給者の割合が増え、家計に余裕がなくなってきているからではないか。

厚生労働省の2018年国民生活基礎調査によると、公的年金・恩給受給者のいる世帯は2668万3000世帯で、全世帯の52.3%を占める。6年前の2430万世帯から238万世帯増え、シェアも1.9ポイント上昇した。

65歳以上の高齢世帯の年間所得は、全世帯平均の550万円台の約60%にとどまっており、年金受給世帯の増加は、個人の購買力を弱める方向に作用していることをうかがわせる。

つまり、増税前、自動車や住宅などには年金世帯の駆け込み需要は集まらず、生活防衛から日用品などの前倒し購入が行われた可能性が高い。そのため、日用品などの反動減は長期化する可能性がある。

さらに2%の増税分によって、家計の収支が悪化しないよう、消費全体を長期的に抑制させることが予想される。

特に高齢化世帯が多い地方では、今年末から来年にかけて「節約」ムードが強まり、地方経済の沈滞が一層、目立つ展開になりそうだ。

米中貿易摩擦の影響で、世界貿易は前年比マイナスに転落しつつあり、輸出型の製造業野業績悪化は長期化が予想される。

そこに内需の柱である個人消費にも「重し」がのしかかることになると、2020年の国内経済はかなりの不透明感に包まれることになり、政府・日銀の適切な景気判断が一段と重要になる。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below