August 27, 2018 / 2:33 AM / 22 days ago

コラム:テスラ非公開化断念、マスク氏が払う「代償」

[ニューヨーク 25日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米電気自動車(EV)メーカー大手テスラTSLAO>のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は24日遅く、同社株式の非公開化を断念したと明らかにした。「生煮え」のアイデアをもてあそんだだけで終わったことで、マスク氏はこの先ずっと、過大な約束をして実行が伴わない人物というレッテルを張られる。

 8月25日、米電気自動車メーカー大手テスラのイーロン・マスクCEO(写真)は、同社株式の非公開化を断念したと24日明らかにした。フロリダ州で2月撮影(2018年 ロイター/Joe Skipper)

マスク氏が7日にツイッターで行った「1株当たり420ドルでテスラを非公開化することを検討中で、資金も確保した」という発言は、ただの砂上の楼閣だったことがはっきりした。実際には資金調達のめどがついておらず、米証券取引委員会(SEC)が全面的な調査に乗り出す道が開かれつつある。

過去数カ月のほとんどを工場で過ごし、生産量を目に見える形で引き上げることに尽力してきたマスク氏は、機関投資家と個人の株主を非公開後の同社につなぎ止めておくのがいかに難しいかには思いが至らなかった。マスク氏は、多くの株主が出資を維持してくれるという前提で考えていたのだが。

マスク氏はさらに基本的な判断もできていなかった。24日の説明では、非公開化の手続きが「当初予想したよりも時間を要し、余計な手間もかかる」と述べた。しかしそんなことは、親しいウォール街のアドバイザーとほんの一言二言会話すれば、すぐに分かっただろう。

こうした状況に陥った原因の1つが、マスク氏が抱えている仕事のストレスなのは間違いない。実際同氏はよく眠れず、睡眠薬に頼っていたし、情緒不安定になっていることが最近の米紙ニューヨーク・タイムズのインタビューで分かった。

もっとも同氏の大風呂敷を広げる物言いが始まったのは、何年も前だ。2016年に「モデル3」セダンについて非現実的な約束をしたのが最初で、それから常に後戻りを迫られてきた。

マスク氏の個人的能力という面でも、手を広げ過ぎている。また家族と友人、取引上のつながりがある人物で固めたテスラの取締役会も、そうしたマスク氏の行動を容認してしまった。現在のテスラは同氏が一手に仕切っており、明確な補佐役は存在しない。同氏は、ロケット打ち上げ会社スペースXの会長兼CEOも務め、直近ではトンネル掘削ベンチャー企業まで立ち上げた。

その結果が今日の事態になっている。テスラが黒字化に向けて経営トップの冷静な思考を必要としている折であるのに、今回の非公開化を巡る失態が好例だが、マスク氏の判断はどんどんおかしくなってきているように見える。

マスク氏とテスラの取締役会は現実を把握しなければならない。方針を二転三転させる動きはマスク氏の任務遂行を難しくするだけでなく、トップの地位を維持するのも厳しくなるはずだ。

●背景となるニュース

*テスラのマスクCEOは24日遅く、非公開化計画を撤回したことを明らかにした。取締役会にはその前日に決定を通知した。

*マスク氏はブログで、大半の株主が上場企業の方が望ましいとの意向を伝えてきた上に、個人株主のほとんどに非公開化後も出資を続けてもらう確かな方法がないと表明。さらに一部の機関投資家は、非公開化企業の持ち分について制限しなければならない規定があることも知らせてきたという。

*またマスク氏は、非公開化手続きが「当初想定より時間と手間がかかり、モデル3の生産強化と黒字化に注力し続けなければならないため、これが問題になる」と説明した。

*7日にツイッターで「1株当たり420ドルでテスラの非公開化を検討しており、資金は確保した」とマスク氏が発言した後、テスラ株は10%強上昇。その後同氏は、サウジの政府系ファンドから強力な支持を得たと示唆する声明を公表していた。

複数の報道によると、SECはマスク氏のこれらの発言について調査を進めている。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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