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コラム:トランプ氏の航空管制民営化案、実現は望み薄か
2017年6月6日 / 06:07 / 6ヶ月後

コラム:トランプ氏の航空管制民営化案、実現は望み薄か

[ニューヨーク/ワシントン 5日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ米大統領が発表した航空管制システムの改革案には、トランプ氏らしからぬ具体的な方策が盛り込まれた。内容は2000語余りに及び、簡略だった4月の税制改革案とは見違えるほどだ。永続的な問題に対する賢明な解決策にもなっている。しかし、この案でさえ実現は困難とみられ、もっと曖昧な政策に至っては推して知るべしだろう。

 6月5日、トランプ米大統領が発表した航空管制システムの改革案には、トランプ氏らしからぬ具体的な方策が盛り込まれた。しかし、この案でさえ実現は困難とみられ、もっと曖昧な政策に至っては推して知るべしだろう。写真は、ロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港の管制塔。バージニア州で撮影(2017年 ロイター/Kevin Lamarque)

多くの米国の航空交通技術は時代遅れで、過密状態や遅延を悪化させている。連邦航空局(FAA)による現状の運営と設備更新は、税金と料金徴収を組み合わせて賄われている。多くの先進国は航空管制業務を分離し、自主的な運営と資金調達を可能にしている。

カナダは1996年、ナブ・カナダと呼ばれる非営利会社に航空管制業務を移管した。航空会社や労働組合、政府などの利害関係者からなる取締役会によって経営されている。トランプ氏の政権チームが具体的な提案を行えたのは、この実例によるところが大きい。提案はまた、下院運輸経済基盤委員会のビル・シュスター委員長が昨年出した法案にも立脚している。

非営利モデルにすれば、納税者が負担する必要はなくなる上、航空交通に対する責任の所在を明確にし得る。新会社は必要とされる技術開発投資の費用を賄うために、資金を借り入れることも可能となる。また、営利企業に利益が吸い取られるのではないかという、インフラ民営化に付きものの懸念も払拭できる。

これらは全て理にかなっており、現状は誰にとっても受け入れがたい。しかし、だからといってこの計画が具体化するということを意味しない。トランプ氏の計画はシュスター案に比べ、非営利会社の取締役会に送り込む航空会社の代表が少ないため、航空会社の抵抗も予想される。

民主党議員らは、航空の安全と併せ、連邦政府職員ではなくなる従業員の保護について懸念を示している。一方、地方空港や非商業便の運営者はアクセス減少や費用上昇を恐れている。カナダが非営利方式に移行してこのかた議論が続いてきたにもかかわらず、米国でいまだに何も進展していないのには理由があるのだ。

トランプ氏は他のインフラに関する発表も今週行う。多くは明確なものではないだろう。うわべだけはアピールするかもしれないが、詳細抜きでは明快な支持を得られないし、反対論の噴出も避けられない。航空交通ですら離陸できないのなら、他の提案はゲートで止まったままかもしれない。

●背景となるニュース

*トランプ米大統領は5日、連邦航空局(FAA)から航空管制業務を分離して民営化する計画を発表した。トランプ氏は、約20年前にカナダで実施された例を参考に、管制業務を非営利会社に移すよう議会に提案している。

*トランプ氏の発表は、米国の老朽化したインフラを更新する計画を公表する「インフラ・ウイーク」の一環。

*航空管制業務の民営化計画は議会で高いハードルに直面することになる。民主党に加え、共和党の一部も反対しているためだ。トランプ氏はしばしば、現在のシステム近代化の努力は時代遅れだと主張している。

*政権は、航空管制システム改革の「良い基盤」として、下院運輸経済基盤委員会のビル・シュスター委員長が2016年に出した法案を称賛している。法案は、航空システムを1996年に民営化したカナダをモデルとしている。シュスター氏は修正法案の議会提出に向けて取り組んでいる。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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