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コラム

コラム:イエレン氏更迭発言、「トランプ大統領」リスク露呈

[ニューヨーク 6日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 実業家のドナルド・トランプ氏は、米共和党の大統領選候補指名を確実にしてからの2日間、こうした立場を思い切り楽しんでいる。だからではないだろうが、またしても大統領としてふさわしいとされる作法に反する発言が飛び出した。今度は、米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長を交代させる意向を表明したのだ。

 5月6日、実業家のドナルド・トランプ氏(写真)は、またしても大統領としてふさわしいとされる作法に反する発言が飛び出した。ウエストバージニア州で5日撮影(2016年 ロイター/Chris Tilley/File Photo)

交代理由は、イエレン議長の仕事が不適切であるからというわけではない。トランプ氏は5日、フェデラルファンド(FF)金利を0.25%としているFRBの金融緩和政策には賛同する姿勢を示した。同氏は「強いドルの概念は好ましい」としながらも、ドル高は市場と貿易に悪影響を及ぼすと指摘。一方で金利が上昇すれば、米国の利払い費用が増大すると説明した。

その上でトランプ氏は、自分が大統領に就任すれば、イエレン議長が共和党員でないというだけの理由で、自身のテレビ番組「アプレンティス」の決め台詞「おまえはクビだ」をイエレン氏に言い放つと主張。党派的な対立が鮮明な現代米国政治においてさえ、この発言には驚き呆れるほかない。

FRBに対する信認は、米国の議会と政府から独立していることに起因する面が大きい。この自治権は、例えばベネズエラや中国などの中央銀行とFRBとの違いを明確にするものであり、かつ世界の準備通貨としてのドルの地位を築き上げてきた重大な要素でもある。

歴代の米大統領がFRB議長の人事にほとんど介入しなかったのは、こうした理由があるからだ。これに対しトランプ氏は、2018年に任期切れとなるイエレン議長の後任人事に介入する意向を示唆した。

民主党のオバマ大統領は2009年、当初はブッシュ大統領に指名されたバーナンキ議長を金融政策の継続性が望まれるとの理由で再指名した。また同じく民主党のビル・クリントン大統領も共和党員のグリーンスパン議長を2回、再指名している。1983年には共和党のレーガン大統領が民主党員のボルカー議長を再任させている。

FRB議長に関する伝統を覆すことは無論、既存政治の打破を目指すトランプ氏の選挙戦の一角を構成している。トランプ氏はCNBCテレビで米国の金融政策について「非常に足場の脆弱な問題に関する話」なので、「極めて慎重に」対処する必要があると主張した。その意味では、所属政党だけを理由としてイエレン議長を交代させるのは、極めて不注意な行動といえよう。そしてトランプ大統領が誕生した場合には、このように慎重さを欠く判断がもっと多く下されかねない。

●背景となるニュース

*ドナルド・トランプ氏は5日、CNBCテレビのインタビューでイエレンFRB議長を2018年の任期満了時に交代させる意向を示した。

*トランプ氏はイエレン議長の手腕自体は評価しており、現在の低金利政策には賛同すると表明。だがFRBの議長には共和党員を指名するのが適切であろうと述べた。

*トランプ氏はイエレン議長について「彼女の任期が切れた際、私は彼女を交代させることになる可能性が何よりも高い。それが適切と考えているからだ。彼女は低金利を支持する人物であり、そうした意向を常に示してきた。私も正直なところ、低金利が好ましいと考えている。仮に金利を上げて、ドルが過度に強くなり始めれば、非常に大きな問題をいくつか抱えることになる」と話した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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