March 14, 2018 / 11:46 PM / 9 months ago

コラム:トランプ氏、国務長官更迭で見せた「大統領らしさ」

[14日 ロイター] - ドナルド・トランプ氏は大統領の仕事を学びつつある。この現職大統領のような指導者は、米国史において、ほかには(もしいるとすればだが)ほとんど見られない。

 3月14日、ドナルド・トランプ氏(写真)は大統領の仕事を学びつつある。ワシントンで昨年12月撮影(2018年 ロイター/Jonathan Ernst)

トランプ氏は、ワシントンの権力層に対し、ほぼ何事に関しても異議を唱える一方、ブリーフィングの書類を読むことにあまり関心を示さなかったり、時間の大半をゴルフコース、あるいはケーブルテレビを見て過ごしたりしているといわれる。

だが、大統領に就任してから1年2カ月が経過した今、トランプ氏が、わが道を行く独自スタイルと権力の融合に成功しつつあるという点は否定しがたい。

ティラーソン国務長官の更迭は、権力を行使する能力と同じくらい、トランプ大統領の自信が今なお大きく膨らんでいることを示している。2人が一時対立していたことは明らかだった。ティラーソン氏は昨年、トランプ氏を「能なし(moron)」呼ばわりしたという報道を否定しなかった。

ティラーソン氏を解任し、後任にポンペオ中央情報局(CIA)長官を充てる人事は、トランプ氏が北朝鮮の指導者、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と会談する意向を示してから数日後に明らかにされた。(ティラーソン氏はのちに、この決定は「驚きではない」と語ったが、突然の更迭について、同氏には事前に伝えられていなかったのではないかとの憶測を呼んだ。)

トランプ大統領が賢く立ち回っているかどうかについては意見の分かれるところだろう。北朝鮮問題を巡っては、いきなり首脳会談から始めるというミスを犯していると、外交政策専門家の多くが指摘している。また関税に関して、トランプ氏はツイッターで貿易戦争をほのめかしているが、そこには通常、そのような手段に出る前にあるべき政策や外交的協議がほぼ欠落している。

銃規制問題では、教師を武装化するというトランプ氏の個人的な(意見の分かれるところだが)見解が議論の中心をなしており、その法制化に政府は努めている。減税は米経済政策の中核を占める。移民政策は主に行き詰まったままだが、トランプ大統領はその方向性を定めつつある。

法制化にあたり、トランプ大統領が自身の考えをどれだけ反映できるかは定かではない。こうした問題は全て激しく二極化している。しかしそこにこそ核心の一部が潜んでいる可能性がある。

たとえ思い通りにいかなくても、トランプ氏のこうした考え方は、2020年の大統領選で再選できるかを占う上で重要となる11月の中間選挙を控え、自身の政治基盤を活性化できるとみられる。

また、突発的な政策表明は、2016年米大統領選におけるロシア介入疑惑に対するモラー特別検察官の捜査から一時的にでも目をそらせるのに一役買っている。トランプ氏にとっていら立たしいことに、同捜査には自身の権力は及ばない。

第45代アメリカ合衆国大統領がその役目に慣れつつあるということは、それほど驚くことではないはずだ。あらゆる国の指導者が同様のプロセスを経験している。トランプ大統領は自信を失ってなどいない。トランプ政権はそれどころか、内部で以前あったような混乱や醜い争いへの対処がますます上達しているのである。

つい昨年まで、トランプ氏のツイッターと公式発表はごちゃまぜになっており、ほとんどついていけない人もいた。メディアで酷評されることも多かった。

とりわけ、2017年5月に欧州で開催された北大西洋条約機構(NATO)首脳会議への出席に関するコメントは失敗した例と言える。しかし最近では、ツイッターをより戦略的に利用しており、しばしば意外な発表を行ったり、貿易や税制などの問題で政治論争の場を提供したりしている。

また、トランプ氏がそのような発言をする際、政権内部では以前よりも統制がとれるようになってきている。例えば、韓国がトランプ氏に北朝鮮による米朝首脳会談の申し出を携えてやって来たとき、誰もが同氏の「ディール・メーク」を行う役割を否定することができなかった。

敵も味方も同様に、政治的制約や個人的な好みが必ずしも合わなくても、進展させるにはトランプ氏をおだてるしかないと分かっている。

実業家だったころのトランプ氏は、非常に少人数のグループで運営し、互いに激しく競わせていたといわれている。世間の注目を集める主な手段は、「おまえはクビだ」が決まり文句である自身のリアリティー番組「アプレンティス」だった。このやり方が大統領職ではうまくいかなかったことは、就任して最初の数カ月で明らかだった。

トランプ大統領が、誰を自身の近くに置けばいいのか決めあぐねていることにいら立ちを覚えているのは明白だ。

ホープ・ヒックス広報部長の辞任は特に打撃となっているだろう。娘のイバンカ氏と共に、トランプ氏のビジネス帝国時代から同氏を支えてきた一握りの人たちの1人だからだ。海兵隊退役大将のジョン・ケリー氏を大統領首席補佐官に昨年任命したことは、秩序ある時代の幕開けを確かに意味していた。だが、ケリー氏やマクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題)の辞任もささやかれるなど、緊張は依然として続いている。

見方によっては、トランプ政権内の、特にホワイトハウスにおける人事変更は近年の政権の中で最も多いといえる。個人的な対立によって政権を去る者もいれば、ロシア疑惑で連邦捜査局(FBI)に虚偽の供述をしたフリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)のように恥ずべき事実が発覚して辞任する場合もある。

だが、そのような対立劇を生き残る人も中にはいる。セッションズ司法長官がそうだ。たいていの場合、閣僚たちは自身が管轄する省で自主性を発揮していたようである。ティラーソン氏の国務省は予算を奪われ、マティス国防長官の下、予算増となった国防総省は勢いを増している。

とりわけマティス氏は注目すべき独自性を発揮している。それが許されているのは、トランプ氏が軍を尊敬しているからかもしれない。マティス氏を「今年の人」に選んだフィナンシャル・タイムズ紙は、世界が夜眠ることができる数少ない理由の1つとして、もしトランプ氏が北朝鮮に一方的に攻撃を仕掛けることを望んでも、マティス氏が立ちはだかることを挙げている。

それが正しい評価かどうかは分からない。もっと言えば、今年はトランプ大統領が自身に対する評価によって制約を受けているという指摘が間違いだと示される年となるだろう。米朝首脳会談は、手順や他の意見に関係なく、トランプ氏が政策を指揮する上で限定的だが実際に権力を行使する最新の機会となる。

トランプ大統領はようやく本領を発揮し始めた。次はどんな手を打つか、思案していることは間違いない。

*筆者はロイターのコラムニスト。元ロイターの防衛担当記者で、現在はシンクタンク「Project for Study of the 21st Century(PS21)」を立ち上げ、理事を務める。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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