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コラム

コラム:米「双子の赤字」、ドルへの影響力復活も

[オーランド(米フロリダ州) 23日 ロイター] - 米国の「双子の赤字」がドルにとって重要な材料と考えられていた時代を思い出せるだろうか。

 11月23日、米国の「双子の赤字」がドルにとって重要な材料と考えられていた時代を思い出せるだろうか。写真はペンシルベニア州ウィローグローブのショッピングモール。2020年11月撮影(2021年 ロイター/Mark Makela)

ドル相場を注視する人々の視野に、米国の経常赤字と財政赤字が入っていたのはもう随分と昔のことだ。だが来年、世界経済が活況を維持し、米経済が他の地域より優勢であり続けるなら、話が変わってくるかもしれない。

米国の経常収支は悪化している。4-6月期は1900億ドル程度の赤字で、国内総生産(GDP)の3.4%に相当。これは過去最悪の6%強だった2005年と06年の半分程度にすぎないかもしれないが、絶対額としては07年以降で最も大きい。対GDP比は過去5四半期連続で3%を超えている。

米議会予算局(CBO)の見積もりでは、来年の連邦政府の財政赤字は1兆ドルを上回り、少なくともGDPの4.7%に達する。対GDP比は過去最高だった昨年の14.9%、今年見込みの13.4%からは大幅に下がる。とはいえ、歴史的にはなお高水準だ。経常赤字と合わせて考えると、ドル安を防ぐには米国に膨大なドル資金が流入しなければならない。

確かに、双子の赤字が来年のドルを左右する一番の要因にはならないだろう。その役割を務めるのは金利差で、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを準備している一方、欧州中央銀行(ECB)や日銀などが政策変更を自重している関係で、これはドルに有利に働く。

構造問題が突然、ドルに打撃を与えそうにないとみなせる重要な理由はほかにも2つある。1つ目は米国の「例外主義」。つまり、ドルが準備通貨の地位を得、米国債が世界の金利の指標となり、ウォール街が世界の金融市場を主導しているということだ。従って、米国の経常赤字は他のどの国の経常赤字とも同列には扱えない。

もう1つは為替レートの「適正価値」モデルにおいて、対外収支の流れは長期的に大きなウエートを占めるものの、短期的な相関性は弱い点だ。

しかしドル強気派は、双子の赤字を甘く見ない方が賢明だろう。ドイツ銀行のストラテジスト、アラン・ラスキン氏は、ドルが持続的に軟化し始めたなら、間違いなく最初の兆候だと指摘。米経常赤字の対GDP比が4%ないしそれ以上になれば、ドルにとって警戒信号が灯るとの見方を示した。現実性は乏しいが、対GDP比が5%かそれを超えると、より大幅なドル安につながるという。

<ドルは過大評価か>

ドルは今のところ不均衡拡大に留意した値動きにはなっていない。FRBが来年の利上げに向けた態勢を整えていることを支えに、主要6通貨に対するドル指数は年初来で7%上昇し、年間で6年ぶりの大幅高を記録しそうな勢いだ。

それでもゴールドマン・サックスのアナリストチームは、米経常赤字の拡大を踏まえればドルは最大で13%過大評価されていると主張する。同チームの計算に基づくと、米経常赤字の対GDP比は2.5%前後が持続可能な基準なので、現在の数字はドルにとっては逆風。「財政刺激策がなくなっても経常赤字が大幅のままであれば、対外収支を均衡させるために最終的にはドル安が必要になるのではないか」という。

では米国にはどこから資金が入ってくるのか。今年は米国株が天井知らずの値上がり局面となったため、世界中からの需要を引き寄せ、価格上昇と資金流入の好循環を生み出した。S&P総合500種は年初来で25%上がり、年間でも過去最高値を記録してもおかしくない。

エグザンテ・データのアレックス・エトラ氏が計算したところでは、米経常赤字の穴埋めという面では、海外の準備資産運用担当者に代わって欧州の株式投資家の存在感が強まっている。赤字拡大が続くようなら、ドルへの重圧は確実に強まるだろうという。

もっともHSBCの米州調査責任者ダラ・マー氏は、米国では過去50年ずっと双子の赤字が続いてきたと反論。むしろドルを巡る主要テーマは、リスク許容度か相対金利のどちらかだと説明した上で、「現在の主要テーマは相対金利だ。構造問題はせいぜい二次的(なテーマ)にすぎない」と付け加えた。

(筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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