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コラム:米大手行、資本上乗せ規制への認識に甘さ
2016年11月22日 / 04:36 / 1年前

コラム:米大手行、資本上乗せ規制への認識に甘さ

[ロンドン 21日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 世界20カ国・地域(G20)の金融当局で構成する金融安定理事会(FSB)は、金融システム上重要で資本上乗せが義務付けられる銀行30行の最新リストを公表したが、ここからは米大手行がリスク抑制の世界的な取り組みが自らに及ぼす影響を甘く見ている姿勢が読み取れる。

 11月21日、金融安定理事会は、金融システム上重要で資本上乗せが義務付けられる銀行30行の最新リストを公表したが、ここからは米大手行がリスク抑制の世界的な取り組みが自らに及ぼす影響を甘く見ている姿勢が読み取れる。写真は、資本バッファーの上乗せが大きいカテゴリーに変更となったバンク・オブ・アメリカの看板。アリゾナ州で2011年1月撮影(2016年 ロイター/Joshua Lott)

今回のリストではシティグループ(C.N)やバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)(BAC.N)、ウェルズ・ファーゴ(WFC.N)など4行が資本バッファーの上乗せが大きいカテゴリーに変更となった一方、3行が上乗せの小さいカテゴリーに変更された。

リストの掲載行は昨年と同じ。全体としてみればデリバティブのポジションや評価の難しい資産が大幅に圧縮され、各行のエクスポージャーの総計は抑制された。しかしこうした改善よりも、2014年末から15年末にかけて国境を越えた銀行間の活動が増えたことによるリスク増大の影響の方が大きかった。国内経済でも地味ながら重要な決済業務や顧客資産管理業務の面で大手行への依存が高まり、その結果FSBの基準では全体のリスクは高まった。

個々の銀行のカテゴリー変更の中には遅きに失したように見えるものもある。BREAKINGVIEWSが昨年のリストを分析したところ、HSBC(HSBA.L)がリスク加重資産の2.5%相当の資本バッファーの保有を義務付けられたのは公平さを欠いた判断だった。FSBの裁量による微調整を無視して厳密に考えれば、モルガン・スタンレー(MS.N)の資本バッファーは50ベーシスポイント(bp)低く算定されるのが妥当で、シティグループはもっと高いカテゴリーに入るべきだった。最新のリストではこうした不一致が解消された。

一方でシティ、ウェルズ・ファーゴ、バンカメの3行がバッファーの大きいカテゴリーに変更された事実からは、米大手行の間でこうしたFSBの分類において何が何でもリスク資産を減らそうとする努力が少なかった様子もうかがえる。

大手行に課せられる資本バッファー規則は段階的に導入されて2019年には完全実施となる計画だから、もちろん銀行はリスク抑制に努めるだろう。例えばBREAKINGVIEWSの試算によると、JPモルガン・チェース(JPM.N)が規則の完全実施までにバッファーの低いカテゴリーに移れば、最低自己資本の要件が76億ドル減少する。米国の銀行は今のところ安穏としているが、いずれは「大き過ぎてつぶせない」銀行に課せられる締め付けが効いてくるのは間違いない。

●背景となるニュース

*金融安定理事会(FSB)は21日、世界の金融システム上重要な銀行(G─SIBs)30行の最新リストを公表した。

*シティグループ、バンク・オブ・アメリカ、中国工商銀行、ウェルズ・ファーゴの4行はシステミックリスクの度合いを勘案し、必要な資本バッファーがより大きいカテゴリーに変更された。一方、HSBC、バークレイズ、モルガン・スタンレーの3行はバッファーが小さいカテゴリーに変更となった。その他に変更はなかった。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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