April 25, 2018 / 12:56 AM / 3 months ago

コラム:逆イールドと景気後退の懸念に潜む「落とし穴」

[ニューヨーク 23日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米国債市場は投資家に対して、一種の「くせ球」を投げ込んできているのかもしれない。2年債と10年債の利回りスプレッドは金融危機以降で最小になっている。さらに長期債利回りが短期債より低くなる「逆イールド」の可能性が浮上し、景気後退懸念が広がってきた。

 4月23日、米国債市場は投資家に対して、一種の「くせ球」を投げ込んできているのかもしれない。写真はワシントンのFRB本部。2011年6月撮影(2018年 ロイター/Jim Bourg)

しかしそれは指標として欠点を抱えている。

債券の買い手は通常、投じた資金が目減りしないように、価格に予想物価上昇率を織り込んだプレミアムを乗せることを求める。期間が長くなるほど、プレミアムも大きくする必要があるので、いわゆるイールドカーブは短期ゾーンから長期ゾーンに向かって上向いていくのが普通の形状だ。

ところが最近はイールドカーブがほぼ完全にフラット化している。米連邦準備理事会(FRB)が2015年12月以降で政策金利を1.5%ポイント引き上げたものの、長期債利回りの上昇は鈍かったため、先週は2年債と10年債の利回りスプレッドが一時わずか0.41%ポイントまで縮まった。

今後イールドカーブのフラット化が一段と進むか、長短利回りが逆転するなら、景気見通し悪化のシグナルとなりかねない。逆イールドは、景気後退に先立って出現するからだ。ただしその出現時期があまりに早く、ほとんど役立たないこともある。例えば1998年6月に逆イールドが起きたが、景気後退に突入したのは3年近く後だった。逆イールドを受けて株式から資金を引き揚げた面々は、その後株価がピークを付けるまでの36%の上昇で、もうける機会をみすみす逃したことになる。

イールドカーブが足元のような形状になっているのは、相応の理由がある。まず挙げられるのは、労働市場が比較的引き締まっている状況でも、物価上昇率がなお極めて低い点だ。一部の投資家は、割高化した株式から債券にある程度の資金が移動したのではないかとみている。カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)は今年、既にそれを実行した。また米財務省のデータによると、過去1年間で外国人投資家の米国債保有額がおよそ2750億ドルも増加した。

とはいえこれらの力が永遠に働くわけではない。ドル安で外国人の米国債投資意欲が衰える可能性もある。FRBは緩やかに米国債保有を減らしているし、財政赤字に対する懸念は増大している。議会予算局(CBO)は2020年までに年間の赤字額が1兆ドルを超えると試算した。だからこそフラット化しているにもかかわらず、10年債利回りが4年余りぶりに3%の節目に向かって上がっているのだ。

次の景気後退はいつかはやってくる。だが今のところ、投資家にとっては心配すべきもっと現実的で差し迫った危険が、いくつも存在する。

●背景となるニュース

*米2年債と10年債の利回りスプレッドは17日に0.41%ポイントと、2007年9月以降で最小になった。23日には0.5%ポイントまで広がったが、歴史的にはなお低い水準だ。

*アトランタ地区連銀が算出するGDPナウが最近のデータに基づいて予測した第1・四半期の米成長率は年率2%。ニューヨーク連銀のナウキャストでは、2.9%と見込まれている。

*米商務省は27日に第1・四半期国内総生産(GDP)速報値を発表する。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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