August 15, 2014 / 6:17 AM / 6 years ago

コラム:米国の自社株買いブームが失速、株価に試練も

[14日 ロイター] - 過去数年間に重要な株価下支えの源だった企業の自社株買い入れのペースが減速しており、減速の理由と、それが今後どんな意味を持ってくるのかが問われている。

 8月14日、過去数年間に重要な株価下支えの源だった企業の自社株買い入れのペースが減速しており、減速の理由と、それが今後どんな意味を持ってくるのかが問われている。ソウルで昨年1月撮影(2014年 ロイター/Lee Jae-Won)

ソシエテ・ジェネラルのクォンツアナリストが700社を対象に調べたところ、第2・四半期の自社株買いの金額は前期比20%減少し、前年同期も下回った。さらに範囲を広げてS&Pダウ・ジョーンズ指数の構成企業でみると、第2・四半期の自社株買いは第1・四半期より30%も少ない。

第2・四半期のS&P500が前年同期に比べて2割以上も上昇したことを考えると、われわれは明らかに自社株買いの効果が弱まりつつあるのを実感している。株式のバリュエーションに対するある種の居心地良い想定が試されている可能性が高い。

ソシエテ・ジェネラルのアンドルー・ラプソーン氏は「理由は何であれ、米国株の最大の買い手が不在の状態になれば、株価に深刻な影響が及ぶのはほぼ間違いない」と指摘する。

米国企業は3月末までの1年間に5000億ドル以上の自社株買いを実施。大幅な売上高の伸びがない中で、1株当たり利益は顕著に増えた。企業が自社株買いを進める一方で、買い入れた株式を従業員に配分することが多いという事実も相まって、自社株買いに対する批判は強まった。ソシエテ・ジェネラルは、購入した自社株の約25%は、期限が到来した幹部のストック・オプション支給に用いられたと推計する。ただ、この数字はハイテク業界など一部の業界ではさらに高い比率となる。

アップル(AAPL.O)、IBMIBM.Mなどのハイテク企業は最も規模の大きい自社株買いを最も積極的に進めている例だが、自社株買い人気は業界全般に広まっており、多くの成熟企業も買い入れを行っている。

流通株式数を減らし、少なくとも業績面の数字を見かけ上は魅力的なものに高めたという2点から、これらの自社株買いが株価をサポートしたことに疑いの余地はない。

<自社株買いとQEの終了>

もちろん、買い入れの大部分はフリーキャッシュフローによって賄われたものではない。自社株買いブームは社債発行ブームと時期が重なっており、企業は実質的に株式買い入れのためにレバレッジを活用したといえる。

米国内総生産(GDP)に占める企業の負債総額の割合は景気後退前の55%から現在は65%に上昇した。ただ、この割合はこのところやや低下しており、第2・四半期の企業による社債発行額(除く金融)の前期比伸び率は、第1・四半期の10%超からゼロ%近辺まで落ち込んだ。

可能性の1つとして考えられるのは、米連邦準備理事会(FRB)の緩和策縮小に対して遅れて反応が現れていることだ。FRBが国債や住宅ローン担保証券(MBS)を買い入れる際に、投資家が新たな資産を見つけて保有するよう仕向けることで、量的緩和策は理論上は機能する。多くの投資家は現金を保有し、高い利回りを求めているため、FRBが直接的に社債を購入しなくても、社債発行体にとって望ましい環境が生まれる。

しかし、企業は依然として社債発行が容易な環境だと感じる一方で、一部の社債では国債に対する上乗せ金利であるイールド・スプレッドが過去数カ月間拡大している。最上位格付け企業の社債のスプレッドは相変わらず良好だが、トリプルBの社債のスプレッドはこの1カ月間に10%拡大した。高利回りのジャンク債はさらに状況が悪化しており、投資家が求める上乗せ金利が15%上昇している。

絶対利回りの変化は小さいが、おそらく風向きの変化を示唆しているのだろう。

QEの縮小がこの秋に迫る中でこうしたトレンドは加速するかもしれない。企業の社債発行は減少し、投資家は社債保有の対価を要求するようになるだろう。

こうなれば、株式にとって油断のできない状況が生まれる。自社株買いのためにレバレッジを効かせる道が絶たれれば、企業は増益を維持するために実際に売上高を拡大しなければならなくなる。同時に社債市場がタイト化するなかで、投資家は企業の肥大化したバランスシートに対して一段のリスクプレミアムの上乗せを要求するだろう。

レバレッジはウイスキーに似ている。どんどん飲んでいる間は良い心地だが、飲み終わった後につらい症状が現れることが多い。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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