May 24, 2019 / 10:42 AM / 3 months ago

コラム:米が通貨安国に高関税、対中新兵器か 強い副作用も

[東京 24日 ロイター] - 米商務省は23日、ドルに対して自国通貨を低い水準に誘導している国の製品に対し、関税を課す新たなルールを検討を検討していると公表した。中国を念頭にしているとみられ、対中交渉で新たな「武器」を手に入れたかたちだ。

 5月24日、米商務省は23日、ドルに対して自国通貨を低い水準に誘導している国の製品に対し、関税を課す新たなルールを検討を検討していると公表した。トロントで6月撮影(2018年 ロイター/Chris Helgren)

しかし、中国が米国の想定通りに妥協しない場合、高関税攻勢が中国経済を動揺させ、グローバル経済に打撃となりかねない強い「副作用」もある。

ロス商務長官は、海外輸出業者に対し、米国内産業に損害を与える為替補助は商務省による相殺が可能であることを通告することになると指摘。結果として、米国内の労働者や企業に不利になる為替政策を外国が活用することは不可能になるとしている。

通貨の過小評価を判断する際に、どのような基準を使うかについて、商務省は明らかにしていない。

今回の商務省の対応は、今後、大きな波紋を世界経済に投げかける可能性がある。一つは、中国経済へのインパクトだ。

2000億ドル規模の中国から米国への輸出品に対し、25%の関税をかけることはすでに決まっている。6月下旬には、3250億ドル規模の対米輸出品に25%の関税がかかる可能性がある。

国際通貨基金(IMF)の試算によれば、3250億ドルに対して25%の関税賦課が決まれば、中国の成長率を最大で1.5ポイント押し下げる。

<不気味な為替と関税のリンク>

そこに自国通貨安を理由にした高関税が加われば、中国経済が受ける打撃は表面上の想定を超えるリスクがある。

これまで市場関係者の多くは、米国が3250億ドルに対して高関税を課せば、グローバルな株価下落に端を発して、世界経済への打撃が拡大。米経済が受ける「返り血」も多くなり、トランプ大統領の再選戦略にもマイナスで、実現可能性は低いとの予想が多かった。

しかし、現実には商務省における手続きは着々と進み、中国が6月下旬までに譲歩しない場合、対米輸出の全量に25%の関税がかかることになってしまった。

中国側の出方次第では、今回の為替と関税をリンクさせた「新手法」が発動されないとは言い切れない。

<米中のはざま、日本の行方>

また、しばらくはこの新システムの想定する国が中国だったとしても、時間の経過とともに別の国が仮想の対象国にならないとも限らない。

どのような基準を当てはめて通貨安の水準を算定するのか、商務省は明らかにしていないが、仮に10%のかい離があるとして、10%の関税を賦課されて影響が軽微で済む国はないのではないか。

日本にとっても「不気味な」存在になることは間違いなく、為替と関税をストレートに結びつけた新手法の影響度は、慎重に推し量るべきだろう。

米国が打ち出した、ファーウェイ[HWT.UL]を対象にした実質的な禁輸措置は世界の多くの企業に影響を及ぼし出しているが、見方によれば、米国がIT覇権を中国に奪われないため、かつて旧ソ連圏の封じ込めを狙ったCOCOM(対共産圏輸出統制機構)の対中バージョンを策定しようとしているのかともみえる。

もし、その見方が正しいなら、今回の商務省の新手法も、中国の成長の頭をたたくことに主眼があり、現実に発動される可能性を考えるべきなのではないか。

米国との外交関係が最も重要である日本には、同時に中国とその周辺諸国が最大の貿易相手国であるという現実がある。政治的、戦略的な対応と経済的な対応が別の次元で切り分けられ、米中双方と現実的に対応できることが日本にとってベストだったはず。

しかし、その前提が崩れ、米国との関係を優先し中国との距離が出てきてしまうようになれば、日本と日本企業の苦悩は大きくなるばかりだ。

足元の世界市場を見比べて、日本の株式市場のパフォーマンスがさえない背景には、そうした「矛盾」を見透かした海外勢の動向も影響している可能性がありそうだ。

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