January 18, 2019 / 11:04 AM / a month ago

コラム:米中対立激化なら、多国籍企業のビジネスモデルに激震

[東京 18日 ロイター] - 米中経済摩擦が戦略的な対立へと発展した場合、米中の平和的な「相互依存体制」を前提にしてきたグローバル企業の既存のビジネスモデルは大幅な転換を強いられることになるだろう。

 1月18日、米中経済摩擦が戦略的な対立へと発展した場合、米中の平和的な「相互依存体制」を前提にしてきたグローバル企業の既存のビジネスモデルは大幅な転換を強いられることになるだろう。新しいモデルへのシフトには、相当程度の時間が必要になり、サプライチェーンの変更などに伴うコストも急増すると予想する。写真は北京の人民大会堂で共同声明を発表した後に握手するトランプ米大統領と中国の習近平国家主席。2017年11月撮影(2019年 ロイター/Damir Sagolj/File Photo/File Photo)

新しいモデルへのシフトには、相当程度の時間が必要になり、サプライチェーンの変更などに伴うコストも急増すると予想する。景気変動のサイクルだけを見ていては、大きな構造変化に対応できなくなるかもしれない。

<ファーウェイ締め出しの意味>

世界の金融・資本市場では、米中間の対立が「貿易不均衡の拡大」に起因しているとの見方が当初、大勢を占めていた。「米中貿易戦争」の名称は、その考え方に基づいている。

しかし、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]に対する米連邦検察当局による捜査が明らかになり、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは16日、同社を起訴する可能性があると報じた。

先端技術をめぐる米国と中国との間の係争は、背後に戦略的な意図があると判断せざるを得ない状況になっている。

米国は同盟国に対し、次世代高速通信「5G」ネットワークへのアクセスについて、ファーウェイを制限するよう求めており、ドイツ政府も足並みをそろえる方向で検討を始めていると独ハンデルスブラット紙が17日に伝えた。

こうした動きは、ジョージ・ケナン氏により提唱され、1949年から実行された米国による対ソ連「封じ込め政策」をほうふつとさせる。

<サプライチェーン変更の衝撃>

米中間の戦略的対立が、一段と先鋭化するのかどうかは今後の動向を見る必要があるが、GAFA(米グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)に代表される米国の多国籍型の企業にとって、ビジネスモデル遂行上の大きな障害になると予想される。

米多国籍企業の中には、製造部門を中国に置き、企画・開発と戦略的な販売部門は米国で展開するという「スマイルカーブ」戦略を採用しているところが多い。

これは、米中が平和的に共存することを前提に、相互依存の構造を形成することで成り立つビジネスモデルと言える。

しかし、米中が戦略的に対立し、米国が中国を経済的に「封じ込める」政策方針を打ち出した場合、もはや中国国内に生産拠点を置くことは、経営上のリスクになりかねない。

生産拠点を中国から他の労働コストが安い国にシフトしたり、主要な部品の供給先を中国から別の国に変更するようなサプライチェーンの大幅な変更が、避けて通れないとみるのが妥当だ。

この大規模なシフトは相当長期間に及ぶとみられ、当該企業にとっては多大なコスト増となるに違いない。

<日本企業への波及度合い>

また、海外からの直接投資で成長率のかさ上げを図ってきた中国経済にとって、外資の流出加速という事態になれば、経済成長率の急低下を招きかねない。

米中経済の減速は、世界経済の減速につながり、その変化が大きい場合、「ショック」が発生するリスクも高まるだろう。

当然、日本経済への影響も、相応に出てくると予想する。足元で認識されている程度の中国経済の成長テンポ鈍化で、日本電産(6594.T)が2019年3月の業績見通しを下方修正したことをみれば、今後、中国経済の減速鮮明化となった際の日本企業の打撃は、かなりの規模になると覚悟すべきではないか。

しかし、マーケット参加者の多くは、通常の景気サイクルを前提に、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを停止すれば、世界経済の先行きを悲観することはないとみているようだ。

米中両国の戦略的対立が表面化した場合、世界経済は「覆水盆に返らず」というシナリオが現実化すると予想する。

●背景となるニュース

・独政府、5Gネットワークでのファーウェイ排除を検討

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