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コラム

コラム:米債務上限引き上げ問題、財務長官候補は無力か

[ワシントン 10日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 連邦政府債務の上限引き上げ問題が再浮上しているが、米財務長官に指名されているムニューチン氏は、債務上限という天井をただ座って見詰めることしかできないかもしれない。

 2月10日、連邦政府債務の上限引き上げ問題が再浮上しているが、米財務長官に指名されているムニューチン氏(写真)は、債務上限という天井をただ座って見詰めることしかできないかもしれない。ワシントンで1月撮影(2017年 ロイター/Joshua Roberts)

議会は過去数十年間、定期的に法定債務上限を引き上げてきたが、過去10年において債務上限の引き上げは、主に財政保守派により譲歩を勝ち取るための政治的武器として使われてきた。

この問題はここ数年何度か浮上。2011年には議会は土壇場で合意に達したものの、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、米国の格付けを引き下げた。2013年には議会での対立で一部政府機関が2週間閉鎖された。

現在は「2015年超党派予算法」により法律で規定されている債務上限が適用されなくなっている。ただ、3月15日以降は再び法定上限が復活する。米国の債務は約19兆9000億ドル。3月半ばまでには20兆1000億ドルに達する可能性がある。何も対策がとられなければ、財務省のキャッシュバランスは約250億ドルにまで大幅に縮小される必要がある。財務省は最近、国債入札を制限しており、キャッシュバランスは昨年末の水準から25%以上減少し、3000億ドルを下回っている。

トランプ大統領の選挙活動中のコメントもほとんど安心材料にはならない。トランプ氏は、米国がデフォルト(債務不履行)したとしてもさほど一大事でなないと何度か示唆している。これを受け、過去に債務上限引き上げ問題で議会が対立した時と同じように、金融市場は混乱した。トランプ氏はその後発言を撤回したが、懸念する理由は他にもある。

理論的には、ムニューチン氏の財務長官としての職務は、共和党が過半数を握る議会では、さほど難航しないとみられる。ただ、財政タカ派は債務上限引き上げと引き換えに歳出削減を要求してくるかもしれず、財政健全派とされる行政管理予算局(OMB)局長候補のミック・マルバニー下院議員が加勢するかもしれない。

●背景となるニュース

*米上院は11日にもムニューチン氏の財務長官承認の是非を問う採決を実施する予定。

*財務省はキャッシュバランス縮小に向け国債入札を減らしており、2016年末時点に4000億ドルだったキャッシュバランスは2月8日時点では約2870億ドルとなった。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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