April 3, 2018 / 2:13 AM / 4 months ago

コラム:米金融界の報酬、開示義務化で見えた「意外な実態」

[ニューヨーク 2日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米金融規制改革法(ドッド・フランク法)の目玉規制の1つにより、米金融業界の報酬の意外な実態が明らかになってきた。

 4月2日、米金融規制改革法(ドッド・フランク法)の目玉規制の1つにより、米金融業界の報酬の意外な実態が明らかになってきた。NY証券取引所近くで撮影(2018年 ロイター/Shannon Stapleton)

CEOが巨額報酬を得ているからといって、一般社員との格差が特に大きいとは限らないということだ。また報酬の中央値を見ると、格差よりも海外展開や業界ごとの違いについて多くの情報が得られる。投資家や求職者にとっても有用なデータとなりそうで、職の海外流出を巡る議論が再燃する可能性もある。

トランプ米大統領は歴史的偉業とも言える同法を縮小しようとしているが、同法の中で最も大衆受けする措置が折しも発効されつつある。最高経営責任者(CEO)の報酬が、従業員中央値の何倍になるかを公表するよう企業に義務付ける措置だ。世界金融危機を引き起こした金融業界の行為に対する怒りと格差拡大を背景に、議会が2015年にルールの詳細を定めた。

CEOと平均的な従業員の報酬格差はこの10年拡大し続けてきた。しかしエクイラーの調査によると、データ公表済みの375社の2017年のCEOと従業員の比率は中央値で77対1と、比較的小さい。米金融業界の格差はこれより遥かに大きい。

JPモルガン・チェース(JPM.N)のジェイミー・ダイモンCEOの昨年の報酬は米銀トップクラスの2800万ドルで、従業員25万3500人の中央値(7万7800ドル)の364倍。これに対し、シティグループ(C.N)のマイケル・コーバットCEOは1780万ドルとダイモン氏より3分1程度少ないが、従業員中央値の369倍だ。

両行の違いはグローバル展開に大きな要因があるようだ。従業員の構成を地域別にみると、シティは比較的報酬が低いアジア・太平洋地域と中南米地域が20万9000人と全体の54%を占める。一方、JPモルガンは従業員の70%を北米が占めている。

S&Pグローバルの報酬は、文字通りグローバルな実態を映し出した。ダグラス・ピーターソンCEOの昨年の報酬は1070万ドルと、業界では比較的少ないにもかかわらず、従業員中央値(2万4700ドル)の434倍に達した。同社は投資の引き揚げなどにより過去5年間で米国内の従業員数を半分近く削減する一方、インド事業を急拡大した。ライバルであるムーディーズのレイモンド・マクダニエルCEOの報酬はピーターソン氏よりも4%多いが、従業員中央値の187倍にとどまっている。

富をもっと分散すればCEOとの格差をなくすことは可能だ。ゴールドマン・サックス・グループ(GS.N)の従業員報酬は中央値が13万5200ドルと高いため、ロイド・ブランクファインCEOの報酬比率は163倍に抑えられている。ラザード(LAZ.N)のケン・ジェイコブズCEOの報酬は従業員中央値の67倍にすぎない。バークシャー・ハザウェイ(BRKa.N)のウォーレン・バフェット氏に至っては従業員中央値(5万3510ドル)の2倍以下だ。もっとも、フォーブス誌の計算で840億ドルの資産を持つバフェット氏にとって、報酬を平等にするのはわけもないことだろう。

●背景となるニュース

*米企業は最高経営責任者(CEO)の年間報酬が従業員中央値の何倍に当たるかを初めて公表している。こうした数値は2010年の金融規制改革法(ドッド・フランク法)と消費者保護法で開示が義務付けられ、米証券取引委員会(SEC)が2015年に具体的な開示方法を定めた。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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